Sai

ソーシャルワーカー。縁の下が自分の居場所。

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最近の記事

支援者になろうとしなくていい。子どもと自分にとってのウェルビーイングとは?

私が働くNPO法人PIECESでは、「Citizenship for Children」(CforC)という、子どもに関わる大人向けのプログラムを開催しています。現在、2021年度の参加者を募集中なのですが、改めてこのプログラムが今どうして社会に必要なのか、どんなことを大事にしているかについて書いてみようと思います。 ※主に、既に何らか子どもとの関わりや支援の機会を持っている人向けに書いていますが、プログラム自体は、これから何か始めてみたいという方もご参加いただけます。プロ

    • 徐々に蝕まれる、私たちの関係性

      自分の言葉で語るのも、何より抗い方が難しすぎるのだが、「サービスの産業化(市場化)」がもたらす弊害について、どうすればもっとこの危機感を共有できるのだろう。 貧困が見えにくい、とか言うけれど、今の日本で最も見えにくい、かつ深刻な社会課題であるとさえ感じている。 例えば保育園。 保育園が保育サービスを“提供”し、保護者は“利用”する。この構造は実はとても危ういのだが、たぶんこの違和感は日常ではほとんど語られない。保育中にできたほんの小さな傷を、迎えの時に真っ先に報告するこ

      • 市民育成プログラムの展開プロセスに「地域性」をどう埋め込むか?

        こんにちは、斎です。 今日もPIECESについてのお話です。 そこで、本題に入る前に一つだけ・・・ 多くの方に応援・ご支援いただいたクラウドファンディングですが、本当にありがたいことにネクストゴールの250万円を見事達成しました! 今日の話の中心でもある育成プログラムの他地域展開が、これにより幸先よくスタートできます。応援・ご支援いただいた皆さま、本当にありがとうございます! 他地域展開を水戸から始める理由さて、前回のnoteでは、PIECESが育成プログラムを他地域

        • 育成プログラムの全国展開を水戸から始める2つの理由

          PIECESは今期から、これまで都内で行ってきた育成プログラムの他地域展開に取組んでいく。 この取組にチャレンジできることに当然興奮もしているのだが、一方できっとうまくいくことばかりではなく、むしろ次々と課題が立ちはだかってくるだろうと思う。 ということで、せっかくなのでこの他地域展開のプロセスで、チームとして何を考え、どんな気づきが生まれたのか、その時々の課題や葛藤などについても触れながら赤裸々に語っていこうというのが、このnoteの主旨である。 育成プログラム、つい

        支援者になろうとしなくていい。子どもと自分にとってのウェルビーイングとは?

        • 徐々に蝕まれる、私たちの関係性

        • 市民育成プログラムの展開プロセスに「地域性」をどう埋め込むか?

        • 育成プログラムの全国展開を水戸から始める2つの理由

          子どもたちと離れたからこそ気づいた、子どもがもっている“チカラ”

          この3月で、4年間勤めてきたスクールソーシャルワーカーの仕事を退職させていただいた。 「させていただいた」というのはもう本当にその通りの意味で。 同僚や上司からは最後まで「週1日だけでも・・・」とお引止めの声があり、関わっていた保護者からは嘆きにも似た声をいただいていた。 さらに、特に今年は長く関わっていた子たちの多くが、この4月から中学入学を迎えるという年。 彼ら彼女らの「中学からは学校行かなきゃな」「中学になったら行ってみようかな」の気持ちに寄り添えないのは、もどかし

          子どもたちと離れたからこそ気づいた、子どもがもっている“チカラ”

          一歩ずつ、一歩ずつ。

          昨年、ある夏の日に書き留めた日記を、せっかくなのでnoteにも大切に保存しておく。 ----------------------------------------------- 久々に子どもの前で涙流してしまった。。 彼女との関わりは、彼女が学校に行けなくなってしまった2年弱前から。 何かハッキリした原因があるわけじゃないんだけど、両親のこと、出自のこと、先生との関係、友人との関係などが相まって行けなくなり始め、この2年間で学校へ通ったのは中学入学後の3日だけ。 学

          一歩ずつ、一歩ずつ。

          公的サービスを拒む、あるお父さんが教えてくれたこと

          「行政のやつらになんか二度と相談するか!」 何年間も全く学校に通えていない状態が続いている子が卒業を控え、本人・お父さんと学校も交えて話し合いを行った先日。 訪問を続ける中で、学習の習慣は積み重なってきたものの、発達の細かな凸凹まではつかみきれていなかったので、中学入学前に発達検査を受けてみることを進めてみた。 本人は「まぁいいけど」と否定的ではなかったので、お父さんにも確認すると、「いいんじゃないですかね」と前向きな返事。 ほっと一息と思った矢先、お父さんの表情がや

          公的サービスを拒む、あるお父さんが教えてくれたこと