[ラジオ感想文]人間を考える〜共に生きる〜(2)/伊藤亜紗さん
はじめに
まず、ありふれた、だけど、なぜか色々と考え込んでしまった今週の2つの出来事から聞いてください。
1つ目。
娘が保育園でお世話になった先生が退職されました。
担任もして下さったことがあり、個人的にも思い入れのある大好きな先生でした。
私としては、お手紙でも書いてきちんとお別れをしたいところでしたが、そこまですることはないか、と思って書かず。ご挨拶くらいは、と思っていたけれど、現担任のクラスの保護者の方々が盛大にお別れしていらして中に入り込めず。結局きちんとお別れできずじまいでした。
なんとなく心残りような感じがあるものの、全ての先生と熱いお別れが出来るわけでもなく、この先生だけ特別にする必要はないかな。とか、もしかしたら、お手紙なんか重いかもしれない。とか、逆に、誰とも言葉をかわさないあっさりとした退職はやっぱり寂しいはずだから、気持ちを伝える必要はあったのかな。なんてぐるぐる考えてしまいました。
2つ目。
ママ友から突然連絡をもらいまして。
どうしようもなく体調不良になってしまったので、お迎えついでにウチの子を家まで送り届けてくれないか、とのこと。
このママ友、3人のお子さんをほぼワンオペで育てるスーパー母さんなのですが、実家は遠方、旦那は出張ということで、完全にやばい状況というのは容易に想像できます。
電話口では、送ってくれるだけで大丈夫と言っていたけれど、いやさすがに何か手伝いたいと、遠方のご両親が到着するまでの数時間だけ子どもたちを預かることにしたのです。
だけどこの状況。完全に弱っている彼女に対して、正義を振りかざすのはなんか違うっていうか。ありがた迷惑ってこともあるから、深入りせずに頼まれたことだけこなすのが、スマートな付き合い方なのかもしれない。と思ったりして、またもモヤモヤ。
まあ、子どもたちと過ごしたのは楽しかったから、それだけで十分良かったことになるのだけど。
1つ目も2つ目も、どちらも相手とどういう距離感をとるのか、どういう関係をもっていくのか、自分の気持ちを相手にどう伝えるか、などなど。「相手に何かしてあげる」という点でなんとなく根源的な部分は同じモヤモヤなのかな。という気がしています。
さて、話は変わりますが、私はラジオ/podcast 好きの人間でして、仕事中や移動中はもっぱら大好きな番組を聴くことを生きがいとしております。
そしてやっとこさ登場する今回のタイトルについて。
利他研究をポツポツおいかけていた私としては外すことのできないこちらのラジオをご紹介いたします。
NHKラジオ『カルチャーラジオ 日曜カルチャー 『人間を考える〜共に生きる〜」(2)伊藤亜紗』
11月7日まで聞き逃し配信で聴けます。
お話の中で、まるで私のモヤモヤに答えるかのような言葉がたくさん出てきました。
人と接するときに大切なのは、道徳でなく倫理
お話の中で
道徳:一般論 普遍的なもの
倫理:その場その場での状況による最善の方法を探ること
と出てきます。
更に倫理とは
・この状況でどういうふうに振る舞うのが最適かを考えること
・合っているのかという悩みや迷いがつきまとうもの ゆらぎ
と続きます。相手と接するとき、道徳をもって接するのはまさに、正義をふりかざすようなもの。倫理をもって接することが重要で、いかに悩むか。いかに決めつけないか。が大切と言われます。
つまり、まさに今の私のように、あーでもないこーでもないと考えを巡らせる、この不甲斐ない状況こそが良いということです。(たぶんね)
利他とは、どういうふうに受け取るか・どう受け止められるか
今回、私は「相手を思って何かしてあげる」というところで立ち止まってしまったわけですが、相手のためになったかどうかなんて、結局のところ発信側は分からないままなのです。相手が嬉しいと思ったか、迷惑と思ったかなんて、本人のみぞ知るところで、こっちが考えめぐらしたところで、どうってことないのです。
単純なことなのですが、人間は盲目で、ついつい正義を振りかざし、自分がやって差し上げた良いことに酔ってしまいそうになります。
もしくは、手も足も出なくなります。
だけど、相手を思って行動することは、決して無駄ではありません。
関係がうつわにたまるまで、じっくり待つということ。
一つ一つの行為が即効性をもって関係性に影響するわけではありません。
相手を考える態度の一つ一つが積み重なって関係性が出来上がっていくのです。
だから、私の場合も、今回ママ友を助けられたのかどうかということに注目してしまうと、正しかったのか否かという答えを求めてしまいたくなるけれど、相手のことを考えて行動した事自体がこれからの関係性をつくっていくと考えると、なんだかホッとします。
まとめ
相手を考えてする行為は、相手のためになったかどうか相手の受け止め方次第だけど、それでも相手を想うことで関係を創造していくことが出来る。
これが今回のまとめです。
今回わたしがモヤッとしたこと、こんな些細なことでいちいち考える人なんていないかもしれないけど、考えられたことが良かったな。ということにしておきます。
ちなみに、ラジオの最後で触れられていましたが、素直に相手の好意を受け取れるかどうかは、自己肯定感に関係しているとかなんとか。
なるほど。自己肯定感の低い私がつまずいてしまうわけだ。
なかなか根深い問題だし、やっぱり、娘の自己肯定感は育てていきたいと改めて思うところです。
このラジオ、シリーズもので、「人間を考える〜共に生きる〜」は全4回あります。
どの回も、このコロナ禍に重要な考え方も学べる素晴らしいお話ばかりなので、たくさんの方に聞いてもらいたいな。
そして、優しい世の中になるといいな。と思っています。
読んでくださった方、ありがとうございました。
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