一輪の薔薇からの贈り物
昨日投稿した、一輪の薔薇の蕾が花開くまでの物語。
この物語にはまだ続きがあった。
頑なに咲こうとしない、蝋燭のように細い薔薇の蕾が、ついに美しく花開いた。
どんな場所でも一生懸命生きてさえいれば、いつか花開く日が来るのだという感慨に耽りながら、私は食卓に座って薔薇を眺めていた。
すると「あら!この子、中にハートを持っていたのね!」と母が言った。
私も急いで覗き込んで見ると、確かにあった。
花びらの中にちいさなちいさなハートが。
ぎゅっと握っていた拳を少しずつ開いた掌のような花びらに、ちょこんと乗ったかわいい贈り物。
「どうぞ」と差し出されているような気持ちになった。
私はこの可憐な薔薇がすっかり愛おしくなってしまった。
彼女との別れの日は避けられないが、その日まで大切に見守りたいと思う。
贈られたハートをしっかりと胸に刻みながら。
一輪の薔薇の蕾が膨らみ、花開き、そして贈り物をしてくれるまでのちいさなちいさな物語。
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