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「だってパルワールド良いゲームだもん」

さあ、次はなにがやってくる?

パルワールドのプレイ時間が80時間を超えても、「パルワールド時間」を楽しみにいそいそ仕事から帰ってくる毎日。
あんまり慌ててプレイして、終わらせちゃうのがもったいない。

でも!
「パルワールドの次に続け」と野心的なゲームスタジオが、パルワールドの系譜をたどった新しく魅力的なゲームを開発してくれるでしょう。

大好きなオープンワールド・クラフトサバイバルゲームが「今このジャンル熱すぎだろ!」ジャンルとして注目を浴びている!

パルワールドの成功の影響で、インディーゲームメーカーに資金を提供する投資家も増えるかもしれません。

わたしはいま、とてもワクワクしています。
くるぞくるぞ…!

かわいいキャラクターの!オープンワールドクラフト&サバイバルゲームを!もっと!!!ください!!!

※これまでの「カワイイ」の限界例

Arkは大好きで、オリジナルのPC版だけで900時間ちかくプレイ、DLCもSwitch版もスマホ版もASAも買って遊んだ、それでも不満はあるんです。

もうドードーやカワウソあたりの生き物を無理やり「可愛い!」と思い込もうとする日々はうんざりなんだ!!

パルワールド、本当に「ただのパクりゲー」?

もちろん、どんなゲームでも好き嫌いはあります。
オープンワールドが好みじゃない人も、クラフトしたりサバイバルしたりが好みじゃない人もいるかもしれません。

散りばめられた悪ふざけのノリは…確かに好みが分かれるかもしれません。
欧米(主にアメリカ)のネットミームやサブカルコンテンツに触れる機会のない人は、えげつなく思えるかも。

ですがまぁ、とりあえずそれは置いておいて。(ノットフォーユー!)

パルワールドは非常によく作られたゲームです。
楽しい、良いゲームなんです。

パルワールドを批判するコメントとして「AIで作ったみたいな感じ」とか「ただのパクりゲーで、開発者にはゲーム作りへの情熱がない」「温もりに欠けている」といった声をあちこちで見かけるんですが、わたしがプレイした感想は、不思議とむしろまったく逆です。

ゲームの端々に、がっつりゲーム好きな誰かがみえてくる。
あちこちに、小さなこだわり、気遣い、好きなゲーム…ゲーマーの気配を感じるんです。

ゲーマーが何を楽しいと思うか、何にストレスを感じるか、何を基準にゲームを評価するかを「わかってる」人が作っている。

「拠点のインベントリーは全部リモートで引き出せる仕様にしておいたよ!いちいちMod(非公式追加パック)入れるの面倒だもんね」
「大人になると昔ほどゲームで遊ぶ時間なくなるよね。…といっても難易度下げて俺TUEEEしてもつまんないし。安心して!難易度ノーマルでも準備込み10~20分もあれば挑める軽めのダンジョンとか作っておいたから。…平日は気分転換程度に軽く遊んでいってよ。週末一緒にがっつり遊ぼう!」
「武器って…こう、少し扱いにくい方が、使いこなしてる感あって楽しくない?だよね!」

ファストトラベルポイントは、ゲーム開始地点付近はあちこち密に配置され移動がとても便利。でも冒険が進むにつれて減っていくので「リスクの高い奥地に踏み込んでいる」緊張感があります。この小憎いマップ設計!

パル(モンスターたち)にも、たっぷり愛を感じます。
アニメーションや表情パターンが豊かで、みんな個性的。愛されるためにデザインされている。

多くのパルには独自アニメーションが割り当てられていて、ただ動き回っているのを眺めるだけで楽しいです。

たしかに、パルワールドではプレイヤーが捕獲したパルをどう扱うかの自由度がかなり高いのが特徴。

労働力して強制的にこき使い、搾取し、屠殺し、食糧やクラフト素材に変えることもできる。パル商人に売り飛ばす事もできる。
面白半分に逆さ吊りにして、タコ殴りにだってできる。

でも、そうしない事もできる。

いっぴきいっぴき撫でてやったり、素材収集や調理に手間のかかる餌を用意し、限られた拠点スペース内に、心地いい寝床や、疲れを癒すお風呂を設置してあげる事もできる。

ゲームにパルとの友情を強いられたりはしないし、ゲームから優しさやモラルを説かれるわけでもないけれど、でもなぁ…パル達は可愛いし愛着が湧いているので、とてもじゃないけど可哀想な事をしようとは思えない。

わたしは屠殺用のナイフをアンロックしてないし、拠点の作業パルは効率より、アニメーションの愛しさ重視がちだし、拠点がやたら狭苦しくなっても、バカでかい…私のキャラクターのベッドより場所をとるパル用ベッドを敷き詰めてしまう。
これだけ高待遇なのに、こころなしかうちのパル達は、プレイ動画でみかける他のプレイヤーの子達より、だらだらと気ままに働いている気がする。
いいの、素材足りなければ自分で集めればいいだけだから。

わたしみたいなプレイヤーはべつに珍しくない。
みんな好きこのんで、パルを甘やかしてる。
自分のパルが何かおかしな動きをしてるのをみると、自然と笑いながら「もう、何やってんの?」って話しかけてしまう。

そんなゲームを「温もりに欠ける」と呼ぶのは、ちょっと雑で適当な言いがかりすぎないですか?


未プレイの方、すこし想像してください。

あなたはゲーム開始と同時に、まるまるモフモフのヒツジの姿をした可愛い動物に遭遇します。

「ごめんよ~」と思いながらぶん殴ると、キュウ~と情けなく目を回し気絶して、おにぎりコロコロのノリで見えなくなるまでどこまでも坂を転がり落ちていってしまう。

そんなの、可哀そう!って思いながら、笑ってしまうじゃないですか。

うっかり可愛いなぁって思ってしまったら、そしたらもうパルワールドの罠にかかった証。

小高い丘のうえ。
野原を見下ろし、冒険が始まるワクワク感。
そして、この転がり落ちていくヒツジの可愛いアニメーション。
このゲームがどんなゲームなのかが一気に伝わります。
ゲームの魅力を伝えるには最高の導入じゃないですか?

こんなの、ゲームをやらない人、ゲームに情熱のない人、ゲームでワクワクしたことがない人、何がゲームを魅力的にするのかに注意を払わない人が思いつきます?

トレンドに乗る=〇〇警察が厳しくジャッジ

ほかにも、細かいところに妙なこだわりを感じるんですこのゲーム。

引用させていただいた動画は、ゲーム自体にはまったく興味のない、銃のコレクター&エキスパートがパルワールドの銃器の形、機能がどこまで現実的かレビューしつつ、実際のモデルをつかって解説するというもの。(※英語です)

銃器の形や、リロードの動作、反動のアニメーションが正確だと高評価しています。(ゲームの内容に好感を持っているかはまったく別ですが。)

コメ欄を読むとさらに「銃器を発射するとき以外は、トリガーに指をかけてないところに感心した」と細かすぎる指摘がありました。
こういう細かい描写、好感もてます。
「雰囲気が伝わればいいや!ファンタジーだし!」って感じで雑なゲームも多いです。


いまYouTubeでは、普段ゲームと関係のないジャンルのチャンネルでさえ同じように、こぞって「パルワールドのココを専門家がレビュー」という動画を作っています。

瞬発的で笑えるネタ動画が好まれるTikTokと違い、あらゆるジャンルの専門家が巣食うYouTube。あらゆる〇〇警察が突っこんでやろうと待ち受けています。

トレンドになると、再生回数を稼ぐためなら必死になるクリエイター達に、ポジティブにもネガティブにも激しく動画のネタにされる。
…そのなかで全体的にポジティブに評価されていることは、ある程度ゲームの品質保証になると思いませんか。

(あれだけ言われている盗作疑惑。それを立証するなんていう美味しすぎるネタみんなやりたくて仕方ないのに「っぽい」とか「らしい」程度の話しか上がってこないのは…そういう事です。わたしが見落としているだけかもしれませんが。)

もちろんゲーマーからのレビューや、記事も溢れかえりますよ。

とてもよくまとまっていると感じた動画をひとつ紹介します。
パルワールドがポケモンにもたらす影響の考察がなされています。(※英語です)

上の動画にはない、これはわたしの感想なんですが、ポケモンにとっても良かったんじゃないかな…。

こどもたちのために設計しているゲームなのに、大人のプレイヤーから「ものたりない」「いつまでターン制なんだ、進化しろ」「主人公が戦わない」「偽善的すぎ」と批判され続けるのは、しんどいと思うんです。

今後はその部分を求めるプレイヤーは、パルワールドに棲み分けができればいいじゃないですか。

We love Depresso!

唐突に話を変えますが!
こだわりを感じるといえば、パルたちの名前。日本語名とは別にちゃんと英語名もあるんですよ。

英語版の名前、結構くすっとくる洒落のきいた名前が多いので、英語に抵抗がない方はぜひ英語セッティングでも遊んでみてほしいです。(ネーミングのセンスに拍手!いやほんと!)

お気に入りは… 日本名"ンダコアラ"  英語版では"Depresso"
Depression(憂鬱)+Expresso(エスプレッソ)
カフェインたっぷりエナジードリンクを飲みながら夜通し働き、気が付くとストレス値をため込みすぎてキレ寝する…どこか、親近感が…。

かったるそうなアニメーションがとても可愛い。
仕事が早いわけでもないし、休まず勝手にストレスをため込むので、まめに様子をみてあげないといけなくて少し厄介者なんですが…。お気に入りなのでわたしの拠点のスタメンです。

あとは、カモノスケ!
鴨のクァックァッという鳴き声とFワードをかけて、”Fuack” (ああひどい!笑)
声に出して呼びたくなる名前です!ファック!
ラッキーカモノスケ(レア版でノーマルよりデカくてステータスが強化されているパル)を捕まえたので、この子も拠点のスタメン。

そうそう、拠点といえば…

ゲーム内拠点の建設も楽しい! ゲームプレイ時間の半分以上は拠点でパルたちと遊んでいます。
パルの挙動が不安定なので(バグなのか意図的なのか謎ですが)あちこちで挟まったり動けなくなってしまい、放っておくと飢えてしまいます。
拠点のレイアウトの工夫で避けられるようですが、そうするとものすごく殺風景な拠点になってしまう…

パルたちの幸せと、見た目のいい拠点の両立を考えると、わりとこまめなお世話が必要です。でもいいの。楽しいから。
(パルワールドが動物を虐待・搾取しているって?それはプレイヤー次第ですよ。うちはホワイトでアットホームな職場です。)


パクりパクられと、ポリコレ問題の類似点

ソーシャルメディアとマーケティングにアンテナを張っていないといけない仕事柄、パルワールドが大炎上する様子は、個人的にはとても興味深いなと感じていました。
日本語圏と英語圏、珍しくどちらも同じノリで炎上してましたから。
炎上するネタや炎上の仕方はわりと地域差や文化差がでるので、どちらの言語でも同時にみんな同じような怒り方をしてるのは珍しいなと思ったんです。

ゲーム業界英語圏の炎上ネタで思い出すのは、ハリーポッターのホグワーツ・レガシー。
原作者がセクシャルマイノリティに対して差別的な発言をしたという理由で、多様性に注意が払われて作られているスピンオフゲームの方がなぜか延焼。(開発チームが可哀そうすぎる…)

くらべてみると、いくつかの類似点があります。

①ゲームの本質やゲームの出来の良し悪しともあまり関係のない「感情」や「正義感」が炎上の根っこという点。
②抗議している内容が、本人が傷ついたとか、損をしたからではなく「傷つくだろう誰か」「損をするだろう誰か」の声を代理している点。
③「これは許されるけど、今回のコレはダメ」という言語化できないラインがある点。
④抗議している多くのひとが「そもそもゲームで遊ばない人」だったという点。

ゾンビゲーのゾンビのデザインやコンセプトがゲームAとゲームBでそっくりだからって誰も怒らないです。
ええと、ゲームではないけれど、ウォーキングデッドがすべてのパクられ元かな。いや、もっと遡れる…?
え? あのゲームには太っちょで自爆する刑事ゾンビがでてくるって? 面白いから他のゲームにもじゃんじゃんぶちこんでよ!

ファンタジー系ゲームのエルフやドワーフのビジュアルやコンセプトに、指輪物語(ロードオブザリング)ファンが「パクリだ!」と叫ぶ事はありません。
エロ漫画やポルノに女性エルフが登場したって、「汚された!」と怒る人も見たことがないです。…いるかもしれませんが、エルフネタ限定で怒る人は希少すぎないですか。
…指輪物語のスピンオフドラマがポリコレのせいで台無しになった!Amazon許さない!と激怒し、悲鳴をあげている指輪物語ファンは大勢みかけましたが。

こういう問題って、あまり建設的な議論ができず「法律や他の誰かが許してもわたしの感情が許せない!」と激怒する人を宥めるため、もしくはそういう炎上トラブルを避けるために「じゃあこういう事はやらないでおこうネ」と自粛ムードができあがり、お行儀のよい方向に業界が「去勢」されていきます。

映画好きなひととか、ここ最近のポリコレの流れ、うんざりしてません?
(ゲームも最近ずいぶん浄化されてますね…)
言いたいことはわかるけどさ…と、正義感の矛先が自分の好きなジャンルに向かないように祈ってしまいます。

著作者が何も言ってないパクり疑惑にまわりが大騒ぎするのも、結局は「言ってることは正しいかもしれなくても…」なポリコレ棒と同じ構造じゃないですか?

「お互いさまだよね」「切磋琢磨しよう」ではダメですか

任天堂はアメリカゲーム市場でのビジネスを、スペースインベーダーのパクり版からスタートし、成功の足掛かりをドンキーコングでつかみました。
もちろん映画キングコング側に訴えられましたが「コングという言葉はすでに大きなゴリラという意味の一般名詞として使われている」という、韓国の「ガンダムは大きなロボットを意味する一般名詞」とまったく同じ理論で勝訴しています。(※そもそもコングに類人猿という意味はありません)

ちなみにこの裁判で、任天堂側の代理人をつとめた弁護士の名前がカービィ氏。星のカービィの名前のモデルだとも言われています。こういうちょっとした小ネタ好き。

で、何が言いたいかって? 

パクりパクられながら、みんな面白いゲームを作ってきたんです。
ドンキーコング裁判に任天堂が負けていたら、ポケモンもカービィも生まれていません。
黎明期だからOK、いまはNG? そんなぁ。

おたがいさま、パクりパクられ一緒に切磋琢磨していこう!…じゃ、ダメなんでしょうか…。

そしてこれはとても個人的な好みの問題なんですが、IP頼りのゲームってキャラクターやブランドに頼りきりで、ゲーム自体はどうなんですか…。まぁ、戦略が違うだけなんでしょうが。好きなIPだとつい買っちゃうけどさ。買うたびほとんどの場合がっかりするけど。普通のゲームよりちゃっかり高かったりするし。キャラクター商品でがっつり稼いでるなら、ブランドの根っこを支えてるゲームファンにせめて値段で還元してくれればいいのに。…ただの愚痴です。

結論:パルワールドの嫌われる勇気

ゲームとは違う業界ですが、ネット上で物を売ろうとしているという大きなくくりで同業者として。
クリック率ほんの0.数パーセントの差を睨みながら調整を重ね、販売プラットフォームの何ページ目に自社商品が表示されていのるか日々やきもきするポジションの人間として、これは確信しています。

あのキャラクターデザインは英断です。

素晴らしいマーケティングでした。もうね、脱帽。
炎上商法?
いいえ、ゲームそのものの良さがあったからこそのマーケティングです。
ゲームが面白くなかったら燃えただけです。

覚悟が要ったとおもいます。批判されるのはわかっていたはず。それに備えてチームを説得しないといけない。チームのメンタルを炎に備えさせないといけない。

それでも、無視される=売れないより何倍もマシなんです。

せっかく素晴らしい商品(ゲーム)を作っても、興味をひかなければ誰にも気づかれないまま、ビジネスは吹き飛びます。
チーム全員の生活とキャリアがかかっています。
売れなければ食えないんです。
趣味や自己表現のためにやってるんじゃないんです。
オリジナリティを信じて埋没しても、誰も助けてくれません。
褒めてもくれません。
次の挑戦への資金を提供もしてくれません。

消費者にとっては1スクロールすれば吹き飛んでいく長い一覧のなかのたった1ゲームでしかありませんが、誰かにとっては資金と、時間と、自分がチームに招きいれたスタッフ達を背負った大切なプロジェクトです。

ポケットピアの嫌われる勇気に拍手を。

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