見出し画像

無料で簡単に使える地域医療分析ツールをご紹介します

1.退院患者調査について

今回のノートでは、退院患者調査について取り上げます。
同調査の結果として厚労省のHPに公開されるファイルには、
各病院の診療実績が医療機関の実名付きで公開されています。

【厚労省HP】※2019年度版(最新)がダウンロード可能
https://www.mhlw.go.jp/stf/shingi2/0000196043_00004.html

疾患別2019

最新の調査(2019年度)では約5,100病院が対象となっており、
集計対象となった入院件数は1,191万件にのぼります。
医療費の動向調査における全国の入院件数が1,568万件ですので、
入院全体の76%が退院患者調査の結果から把握できる計算になります。

入院件数_上昇病院2019

2.入院件数を確認する

退院患者調査の結果を使うと、
病院別の入院件数を取得することができます。

下の図は、ある医療圏に所在する各病院の実績を並べたグラフです。
折れ線グラフで表現している医療圏内の入院件数シェア累積値をみると、
入院件数が多い2割の病院が64.5%のシェアを占めているのが分かります。

入院件数シェア

3.入院件数の増減を確認する

退院患者調査は毎年実施されているため、
前年の実績を参照することで入院件数の増減を算出することもできます。

下の図は、横軸が入院件数、縦軸が入院件数の増減を表しています。
A病院をみると、医療圏で2番目に年間入院件数が多い病院である一方、
前年と比較した入院件数の増減をみると減少してることが分かります。

病院全体

4.疾患別の増減を確認する

退院患者調査では、疾患別の情報もみることができます。
前年に比べて患者数が減ってしまったA病院の疾病別実績をみると、
消化器系・循環器系・呼吸器系などは増えており、
神経系・筋骨格系・耳鼻咽喉系などは減少していることが分かります。

A病院疾患別実績

5.地域の動向を確認する

疾患別の患者数が減少するパターンはいくつかあります。
ここからは、A病院で年間入院件数が減少していた、
神経系疾患、耳鼻咽喉系疾患、その他疾患を取り上げます。

まず、神経系疾患では、2017年度に開業したB病院が、
2018年度に入院件数を2.3倍に拡大させたことが、
A病院の入院件数減少に繋がったと考えられます。

神経系疾患

次に、耳鼻咽喉科系疾患をみると、
多くの病院で入院件数が増加しているため、
神経系疾患とは異なる状況であると推測できます。

耳鼻咽喉科系疾患

最後に、その他の疾患をみると、
A病院に限らず入院件数が減少している状況のため、
地域全体の需要が下がっているように見受けられます。

その他の疾患

このように、地域全体の動向を確認してみると、
入院件数の減少要因は必ずしも同じではないことが分かります。

6.無料で簡単に使える地域医療分析ツール

今回は、厚生労働省が公開している退院患者調査の結果を用いて、
特定の病院において入院件数が減少している疾患を確認し、
その要因について地域医療の観点から分析する方法をご紹介しました。

このような分析は、「上昇病院.com」というWEBサイトを利用すれば、
無料の会員登録を行うだけで手間をかけずに実施できます。
「自分も分析がしてみたい!」と思った方はぜひご利用ください。

上昇病院

上昇病院.com:https://www.jyo-sho-hospi.com/


【Twitter】 https://twitter.com/y_ogawa_mhg 【Speakerdeck】 https://speakerdeck.com/y_ogawa_mhg