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※注意・ネタバレ有 ブックレビュー『かがみの孤城』

※『かがみの孤城』のネタバレを含んだ感想です。たいしてネタバレしてないかもしれませんが、念のため注意書きです。






『かがみの孤城』を土日で読んだ。改めてすごい、素晴らしい本を読了したものだとつくづく思う。読書好きの中には、ベストセラーをあえて読まないようにしている人もいるという話を時折聞くが、売れる本にはそれだけの根拠があるものだとつくづく思う。面白いのだ。
一読しても損はないように思う。私はこれからは積極的にベストセラーも読んでいきたい。

なにから書こう、と本当に悩む。

怒涛の伏線回収、感動的なラスト、痛ましいまでの傷が強固な仲間との紐帯に代わり、主人公は文字通り〝鏡の中〟という閉じられた世界から一歩を踏み出す。

私がなにを書いてもこの作品の素晴らしさを伝えきれない気がする。なぜ若者が心理的に成長する姿が、ここまで人の心を打つのか、と思う。

私は人が成長する姿が好きだ。若者だけではなく、大人、高齢者まで、なにかに挑戦し、急遽に、あるいは一つ一つスキルを身に着ける姿は感動的だと思う。
脳科学者の茂木健一郎先生が著書で語っていたが、「高齢者が戸惑いながらもなにかに挑戦する姿はうっとりするほど美しい」という言葉に私も同感だ。

本書では成長する=脳を書き換える若者の姿が、あまりにも端正な筆致で描かれている。
最初から完璧な脳など存在しない。奮闘し、傷つき、すべての経験が成長のための糧になるのだろう、とつくづく思う。

平易な言葉でしか語りえないのが本当に悔しい。読んでほしい、としか言いようがない。

このような素晴らしい作品を世の中に生み出してくださった辻村先生には感謝しかない。

もはや私の脳には登場人物たち、7人の子どもたちの造形が住み着いている。

彼らも頑張ったのだ。私も頑張ろう。

そう考えて自らを奮い立たせる。また、今日も仕事をしようと思う。

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延岡佑里子(ライター)
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