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最近の記事

『ドードー鳥と孤独鳥』と少しだけジェンダーのこと

以下は、2023年11月12日にフェイスブックに書いた文章です。 今ちょうど著者がXで話しておられるので、思い出して転載。「英語で考えて…」は考え過ぎだったようですが、主語theyで英訳されたら面白いでしょうね…。               * * * * * 『ドードー鳥と孤独鳥』を読み終えました。(途中、だんだん難しくなって、どこまで理解できたかは疑問ですが。) これはタマキ(環)ちゃんとケイナちゃんという幼馴染み同士と絶滅した鳥たちの話な

    • 『パーフェクト・デイズ』で思い出したこと

      ヴィム・ヴェンダースのインタビューを聞いたときのことを、少しだけ。 それはたしか2006年のこと。池袋の文芸座でヴィム・ヴェンダース作品をオールナイトで上映したとき、来日していたヴィムが舞台挨拶とインタビューをするというので、私も聞きに行きました(新作宣伝にあわせての上映だったかもしれない)。 メモによると、まず「ブエナ・ヴィスタ・ソシアル・クラブ」のことを、こんな風に言っています。 それから『パリ・テキサス』については、ロード・ムービー愛を語り、『ベルリン・天使の詩』につ

      • 雪の変幻

        京都にもかなりの雪が降り、雪の銀閣寺の写真がSNSにアップされていました。 それと同時に思い出したのは、10年前に書いた「雪の変幻」という文章です。   雪の変幻               『御幸町御池下ル』より 冬の京都に帰るのは三十年ぶりだった。新幹線から降りてホームに立つと、即座に冷たい空気が顔をつつみ、足元から冷えが伝わってくる。「底冷えがきついから」とずっと冬の帰郷を避けてきたはずなのに、生まれ育って身体で憶えたこの感覚が懐かしい。寒さが身にしむと、気持ちがき

        • 夏休みなので、読書感想文をば...

          久しぶりに、感激しつつ一気読みする本に出会えた。 『枕草子のたくらみ』山本淳子著。 https://publications.asahi.com/ecs/detail/?item_id=18976 若い知り合い女性が「えーっ、どんな本なんですか?」というので、かいつまんで話す。 つまり、清少納言は今で言うと、バリバリ仕事のできる丸の内OLなのね。 子どもがいる年頃で才能を買われ、勤め始める。 上司(中宮定子)は年下だけどとても素敵で頭の切れる女性。 社長(一条天皇)の覚えも

        『ドードー鳥と孤独鳥』と少しだけジェンダーのこと

          祇園祭の思い出

          私は京都で生まれたものの4歳まで東京に住み、それから京都に戻って幼稚園に通いました。ですから、最初に家の人に「今日は祇園祭だから、鉾が通るよ…」と言われたときも、鉾が何だかよく分かっていませんでした。 御池通りに祖母と一緒に出ると、そこは人で埋め尽くされていました。 小さな私は、人混みに入ると押しつぶされそうです。 やがて、遠くからお囃子の音や人の声が聞こえてきます。 あの「コンコンチキチン」という鉦の音、太鼓に笛、そして「ソーレ」というかけ声……。 目の前を鉾が通り過ぎ

          祇園祭の思い出

          短歌25首

          昨年暮れに、私が所属していた短歌会「砂丘」が閉じられることとなり、『砂丘 終刊記念 合同歌集』が出されることとなりました。 私は、砂丘入会以前からの短歌25首を載せさせていただきました。 (砂丘短歌会、今は「雪影」に引き継がれております。とてもとてもお世話になった師・萩原光之先生については、また追って...と思っております)

          短歌25首

          半歌仙 本屋二階の巻 のこと

          6月11日土曜日、半歌仙を巻きました。 場所は、私が棚を借りている本屋さん、brewbooksの二階です。   半歌仙 本屋二階の巻 表 一 紫陽花や本屋二階に卓ひとつ   端七 二   天道虫の窓に飛び入る    賢 三 ビッグボス新人次々見いだして  遊眠   四   表通りにともる提灯     瑞枝   五 月見舟中州あたりにとどめ置き  眠 六   雁の音聞こゆ人もなき宿   賢 裏 一 滾々と湯の出づる地に猿(ましら)酒 きらら   二   広き厨(くりや)に西

          半歌仙 本屋二階の巻 のこと

          お茄子のオーラ

          子どもの頃の京都での思い出を書いた『御幸町御池下ル』(ごこうまちおいけさがる)の中から、「お茄子のオーラ」を期間限定で公開します。 島根県出身の祖父母と小学生の私、京都の町家での夏の暮らしです。    *   *   * ある日。いつものように学校から帰る。 紅殻格子の引き戸から土間を通り抜け、玄関で靴を脱ぎ、家の中に入ると、 「あれ?」 家の様子が違っている。 間違って違う家に入ってしまったのかしら?  でも、祖父も祖母も何ごともないように、いつもの座敷に座っている。

          お茄子のオーラ

          最近読んだ本

          年末年始に『旅ごころはリュートに乗って〜歌がみちびく中世巡礼』(星野博美、平凡社)を読んだ。 著者が「時空酔いしそう」と書くだけあって、リュートをきっかけにオランダ、イギリス、イタリア、コンスタンチノープルを辿って、カトリック・イスラム教・ユダヤ教の入り交じるイベリア半島に到着する。 そして13世紀に編纂された『聖母マリアのカンディガ(頌歌集)』を訳したり調べたりして、当時の政治事情や宗教、十字軍やら庶民の暮らしを掘り起こしていく。 その後、殉教に話が及び、キリシタン時代の日

          最近読んだ本

          国家珍宝帳を見たあとで

          正倉院供物というと「光明皇后が聖武天皇供養のために東大寺におさめた天皇遺物」であると国家珍宝帳に書かれており、よく知られている(①)が、昨年の正倉院展@東博の冒頭に置かれていた国家珍宝帳の解説パネルには、その先が訳してあった。 それを、あとからでもネットで見られるだろうと思ってメモせず、図録も買わなかったので、探し回るハメになったが、それが次の②の箇所。つまり、あの世で仏に会って修行して、徳をつんでその徳がこの世をよくするように、という願いが書かれており、それは私の「供養」と

          国家珍宝帳を見たあとで