見出し画像

言語処理能力が高い

私は人からよく、「言語能力が高い」と言われます。私自身はあまり強く意識していませんでしたが、世の中の標準とはずいぶん離れたものがあると指摘されたことがあり、自分の特徴として意識するようになりました。私の脳内で起きている当たり前のことが多くの人には当たり前でないということのようなので、この記事では「私の脳内でどのようなプロセスが起きているか」ということを当事者として出来る限り描いてみたいと思います。
 
まず、ジャーナリスト小島慶子さんの以下の記事を。この記事との出会いが私にとっては衝撃的でした。
 
小島慶子さんがADHDの薬を服用して驚いた「シーンとした世界」
https://withnews.jp/article/f0210426000qq000000000000000W0f310801qq000022886A
 
朝目が覚めて夜に眠りにつくまで、頭脳はあらゆる興味関心に対して絶えず高速回転し続けている。このような人が世の中には存在します。この記事を読んだ人は「クレイジーだ」との印象を持った人もいるかもしれません。
 
私はこの記事を読んで衝撃を受けました。しかしその衝撃は、一般的なものとは真逆でした。私の衝撃は、「多くの人はそうではないの?」というものだったのです。
 
私が自分の脳内を説明するとき、多くの人が「あなたこそが本当のクレイジーだ」と思われるかもしれません。
 
「言葉」は、「会話を発する」という行為を考えたときに、物理現象である、と考えられます。
おっ、もう変態的な語り口で始めたな、という予感があります。呆れずに、ぜひ最後まで聞いてください。
 
声帯の振動と口や舌を使った空気流量の制御で、それぞれの「文字」に対応する空気振動パターンが生成されます。そのパターンの羅列が文字列と認識され、「言葉」として聞き手側の脳内に意味を再現します。
 
一般的なスピーチでは、1分に話される適切な文章量は約300文字である、と言われます(日本語の場合)。
情報密度を上げたいならばその時間当たり文字量を増やせばよいわけですが、かといって1,000文字/分で話した場合、その内容は理解不能なものになるでしょう。つまり、会話における発話は、そもそも情報量という意味において、物理的上限が定められているわけです。
 
ここに私のもどかしさの原因があって、会話を発するときに私の脳内に湧き上がってくる想念の情報量は、口から物理的に発話出来る上限情報量に対して20~30倍(本人体感値)あって、そもそも湧いてくる想念を人に伝えることが不可能なわけです。
 
そうなると、人と会話しているときに私の頭の中でどのようなプロセスが進行しているか。それを描写します。想念は多くの場合は映像、幾つかのキーワードと相関図、幾つかの断片的な文書の混合状態として現れます。その混沌としたドラフトの情報量がいわば1分程度のこれから喋る原稿の30倍ですから、約10,000字程度の情報量、原稿用紙で25枚ほどです。

その素材から取捨選択・推敲を行います。「この部分は分かりにくいな」とか「この表現はポリコレ上問題がある」とか、削って、変更して、「最終稿」となり、長さ十数秒~1分の文章として語り始める。そこまでの文章構築プロセスが0.数秒。
 
原稿を用意したが、皆の会話が隙間無く流れて挟むタイミングが無い。そのうち違う話題に移っているのでさっきの原稿は全ボツ、なんていうのはしょっちゅうです。

そして「腰を折られる」ことのストレスの大きさ。先ほどのプロセスで原稿を用意してマクラを話し出します。「例えば天気の話だけど、『今日は快晴なのに何もすることが無い』ってことあるよね。そんな時に・・・」
 
そこで間髪入れずに誰かが「そうそう、あるよね!天気がいいのに一日事務仕事とかさあ。それで昨日ね・・・」とか。えっ?そんな雑なコメントで私の原稿がボツ!?このストレスは結構なものがあります。
 
この能力を「クレイジーだが便利そう。持てるスキルならば活用してみたい。」と思う方がいらっしゃるかもしれませんが、本人視点では決して幸せでないことを申し添えておきます。
 
一番大きな問題は、人に伝わらない。
スピーチやプレゼンの機会を与えられて、原稿を練りに練った挙句、それを読み上げて全然聴衆を掴まない、という経験をしたことは無いでしょうか。ライブ感が無いわけです。私の場合はライブなのにライブ感が無いという、何だそれ状態。人には「芸風が昭和」、「講談師みたい」などと、色々な言い方をされます。
 
言語明瞭、論理的かつ正確なのに、人に伝わらない。結構なストレスです。
 
最近AI等が発達して、会議の音声を録音してgoogleの機能で文字起こししたりします。その時に気付くことなのですが、私の発言はやたら正確な文章として文字起こしされる一方、他の人の発言はそのときのニュアンスを回想しながらでないと意味が取れなかったりする。
 
AI文字起こしをすると私と似た特性の人をスクリーニングすることが出来ると思います。余り他人に話したことが無い私の悩みでした。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?