杜崎結

ここでは、いろいろ書きます。

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    仕事のこと、創作のこと、日々のことを書いていきます

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DOPING PANDAはロックバンドなのか? "It's a long - awaited hero's coming"

「DOPING PANDAはバンドじゃないだろ。三人で弾く気ないじゃん」  高校時代の同級生の一言を今でも覚えている。  同じ軽音楽部だった彼とはもう交流はない。  しかし、そう言った彼の表情や情景をいまだに覚えている。  きっとDOPING PANDAが、私にとって音楽の聴き方を決定づけたバンドだからだ。  それは文化祭のライブに向けて練習をしていた日の夕方で、彼は私とは違うバンドで文化祭に出るベーシストだった。とても技術が高く、みんなから尊敬されていた彼とは文化祭の準備

    • ”一生に一度のワープ" を使う主人公たち 新海誠監督

      ※『すずめの戸締り』を含む新海監督過去作のネタバレ要素を含みます 2007年 春 地方の映画館で『秒速5センチメートル』を観た時のことを私は忘れない。 自分の記憶とリンクしたのか、ただラストシーンに驚いただけなのかわからなかったが、動悸がして席から立ち上がれなかった。きっと、初めての恋人と別れた直後に観たからだろう。 私は何を観たのだろう。帰り道、反芻してもなかなか消化できなかったが、当時の私は「いつまでも恋愛を引きずると、こんな大変なことになっちゃうよ」というメッセー

      • 【シンエヴァ・ネタバレ雑感】(エヴァのない)この世界はなんて美しいのだろう

        正直、エヴァにあまりハマっていませんでした。リアルタイムで追いかけてきたわけでもないし、膨れ上がった自意識を見せつけられる演出にもずっと違和感を覚えていました。むしろ、嫌な気持ちさえ持っていたと思います。 エヴァのデザインも気味が悪いし。 ただ、私は物心ついた時からエヴァのある社会に暮らしてきて、周りにも好きな人が多かったので、なんの疑問も持たず、全ての作品を観てきました。エヴァを観るのが社会的に是だったから観ているのだとどこか義務感に近い形でエヴァを観ていました。 も

        • 【エッセイ】ミルクシェイクとマスクのジョブ/コンフォートゾーンを飛び出す(2020年8月)

          このエッセイは、仕事の話、創作の話を雑多に書いていくものです。 興味関心があるところをご自由にお読みください。 報告:【受賞】カクヨム『コロナの時代の読書』特選3作に選んでいただきました 角川書店とはてなが運営する小説投稿サイトカクヨムにて、 公式企画「読書で考える新型コロナウイルスとの共存」の特選レビューに、森博嗣『すべてがFになる』を扱った書評「私たちは距離をどう捉えるのか」が選ばれました。 ダ・ヴィンチニュース、KADOKAWA文芸Webマガジン「カドブン」にも上

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          5本

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          【エッセイ】 無駄の価値と豊かな時間の作り方(2020年4月)

          はじめにアカウントを作っておいて、これまで活用してこなかったので、月一回くらいのペースで更新できればと思います。普段は仕事のかたわら公募に出す小説を書いています。このエッセイも仕事の話と創作の話に分けて書きます。長い文章ですので、お好きなところをお読みください。 ※仕事の話はすこしドライですが、不満があるわけではありません。そもそもドライな人たちが集まる職場なのです。 ヘッダーは、ほろよいのクリームソーダサワーとスーパーカップでつくったクリームソーダです。最近、『放課後ソ

          【エッセイ】 無駄の価値と豊かな時間の作り方(2020年4月)

          平成初期生まれはクウガの夢を見るか?

          はじめに 私は90年前半、平成初期に生まれた。  これから書くお話は、私の心を捉えてはなさないヒーロー、仮面ライダーの話だ。去る4月20日に平成仮面ライダー20展に行ってきた。その感想を書こうと思ったのだが、せっかく平成最後の日なので、仮面ライダーを通して私の平成を振り返ることでそれに代えたい。最初に言っておくが、記憶を頼りに書いたエッセイなので、思うところも多いかもしれない。「大体分かった」くらいの気持ちで読んで欲しい。  子どもの頃に観たヒーロー、ヒロインは、スーパー戦

          平成初期生まれはクウガの夢を見るか?

          アートの意味とクエスト

           休日はよく一人で美術館に行く。  ここ数年は誰かと一緒に行ったことがない。  高校生の頃は、面白そうな企画展があると友人何人かと一緒に美術館に行っていた。みんな、個性が強い人ばかりで、チケットを買った瞬間から別行動。各々自分のペースで回り、最後の一人の気が済むまで、ロビーに置いてあるソファーで待っている。そして、一緒に美術館を出るのだが、帰り道は好きなタイミングで離脱して、感想を共有することはなかった。  なんだかドライな関係だったが、仲はよかったと思う。そう思っていた

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