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「まちづくり」とはなんなのか


(結論)

 「まちづくり」とはいったいなんなのか考えました。
 以下に挙げる二つの目的のための、地域に密着した活動を意味します。
1:困った時に助け合う「安全保障」の目的に、相互理解を深める活動
2:「地域の価値」を向上する目的に、地域を住みよいものにする活動

(本文)

 「まちづくり」という言葉をいたるところで目にします。しかし見るたびにこれは意味のないバズワードだと感じます。
 例えば、フェイスブックといったSNSを使った「まちづくりの仲間を募集します」といった記事とか、色々な行政による「まちづくりを進めます」といった宣伝に使われています。なにかしら地域への貢献をしたいという印象は感じ取れます。しかし具体的にどういう意図で何をしたいのかは、具体的な内容がないままではちょっと読み取れません。
 そういうわけで、ここでは「まちづくり」とは一体何なのか考えてみようと思います。

 私は、いわゆる町内会に関連した地域の活動に参加しています。そこでもやはり「まちづくり」という言葉がよく使われていました。
 「まちづくり」としてふさわしい活動はなにか、あるいは活動について何か参考になるものはないかと思い、「まちづくり」というキーワードでインターネット検索をしました。そこで見つけたある記事に「まちづくり」とは「生活の安全保障を目的とした地域に密着した活動」であるという、ある大学の教授の議論がありました。(ずいぶん前に読んだ記事なので、実際に使われた言葉とは違います。私の理解した範囲で、私の言葉で表現しています。)

 この考え方は、実際の「まちづくり」の実情にあっていると思います。安全保障というと大げさな気がしますが、要は日々生じる小さなトラブルや危険をご近所同士が協力し合うことで回避するということです。
 これに従うと「まちづくり」の活動はこうあるべきというモノではなく、ご近所同士の相互理解や融和を深めるものであればなんでもよくなります。こうしてご近所同士で絆を作ることができれば、急な病気で買い物に行けなくなった時など助けてくれるといった具合です。
 コロナのおかげで最近は取りやめにしている所もあるようですが、町内会で遊びや旅行に行ったりすることもあります。生真面目な人や仕事で忙しい人には無駄なことに思えるかもしれませんが、親睦を深めるという意味で立派な、といいますか実際にとても効率の良い「まちづくり」です。

 この一方で、まちの清掃や美化活動のような活動もあります。みんなですることで親睦を深める面もありますが、やはり住んでいる地域を住みよいものにするのが主目的ととらえるべきではないでしょうか。そう考えると、「まちづくり」には「安全保障」の目的以外に、「地域の価値」を向上する目的があると見てよいと思います。
 「地域の価値」とはズバリ「地価」そのものです。美化活動などを通じまちの景観が向上すれば多くの人が住みたがるまちになり、「地価」が上昇します。
 では逆に「地価」を上げる目的から始めて、住民ができる「まちづくり」を考えると、ちがった可能性が見えてきます。例えば交通の便が良いとか近所にスーパーや医療施設などがある地域は、利便性という点で多くの人が住みたがり、「地価」の高い、すなわち「地域の価値」がある地域になります。そうであるなら、色々な会社や商業施設の誘致をすることも「まちづくり」に含めることができますし、いわゆる議員を支援したり行政に要望を提出するといった政治的な活動も「まちづくり」と言えなくもありません。

 まとめると、「まちづくり」は地域の活動「生活の安全保障」あるいは「地域の価値」を高めることを目的とした活動です。
 「生活の安全保障」にはご近所同士の相互理解が必要なので、その文脈では「まちづくり」は住民主体の遊びも含めた各種グループ活動になります。
 「地域の価値」を高めるには、地域生活の質や利便性を上げる必要があります。美化活動のような団体活動もありますが、企業や商業施設の誘致であれば住民個人の経済活動、あるいは政治活動も「まちづくり」と言えなくもありません。


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