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現代社会のワークライフバランスへの渇望とそれを盾にする愚者の構図の考察

背景

近年問題になっている過労死の問題は相当根深いと思う。
社会全体として、そういった問題に向き合う必要があって、そう規制をかけていくことは素晴らしいことであるし、今後もそうあるべきであることは初めに強調しておく。

ただ、近年、ワークライフバランスの必要性が社会であまりにも声高に叫ばれている気がしてならない。
社会全体の主張は一貫して、労基法の順守。
少し違反したら、ブラック企業だなんだと内部告発の嵐。

個人のマインドセットとして、
ワークラフバランスを隠れ蓑にして、仕事を疎かにしていいというモチベーションになっているのではないか。
この一点が近年、すごく気がかりであり、
自分への警鐘も兼ねて執筆している。

ワークライフバランスとは、「仕事と生活の調和」である。
幸せな人生を送るのに、ワークライフバランスは欠かせない。
ワークライフバランスを良くするには、仕事をほどほどにしても仕方ない。

圧倒的な勘違いの一例

アメリカ人やヨーロッパ人はオンオフがはっきりしている。
我々日本人も、オンオフはっきりしてしっかり休暇を取るべきだ。
この妄信をどうにか取り払いたい。
(そもそもこんな断面で人種を切ること自体ナンセンスではあるが。。)

アメリカのレジデンシーがどれだけ大変か。外銀やBig4の監査法人の新人。
少し調べてもらえればわかると思う。
日本人と同等、それどころか何倍も働いていることが。

海外だろうが、国内だろうが関係ない。
優秀な人材であればあるほど、業務時間が減っている代わりに、時間外労働が増えているだけだ。ただ、もちろんその分、成長機会は多い。

その反面、日本の社会全体の潮流は、「オンオフはっきりしよう」一択。
労基法に甘やかされた彼ら理想像は、平日の勤務時間は短く、休日はのんびり娯楽に勤しむ生活。

これでいいのだろうか。

それはミクロの視点で言うと、個人の成長機会、
マクロで見ても、日本の国力の回復に大きく障害となっていないだろうか。

世界的に有名な心臓血管外科医が語った本音

この記事を執筆するにあたり、きっかけとなったのは
インターン先の直属の上司に言われたからでもあったが、
執筆している最中に、大学の臨床実習で偶然似たような話を聞いたからでもあった。

心臓血管外科の手術に参加していた時に、
うちの大学の病院長をされている、世界的に有名な外科医がきて
その場で見学しながら2時間程度お話させていただく機会があった。

その際に、彼は20年間どれだけ忙しくても1日たりとも
30分の縫合の練習は欠かしたことがなかったとおっしゃっていた。
どれだけ私生活を大切にしてもその時間で外科医としての実力は伸びない。
勤務時間とかは関係なくプロフェッショナルなら執刀医として何件こなすか。それが外科医の実力と匹敵する。
徹底した反復練習。ただそれの繰り返し。

そのマインドセットに触れて本気で心が震えた。
これがプロだと。これをできる人が世界で戦える一流なんだと。
別分野であったとしても自分も世界で戦うなら、
最低限そのレベルは担保しなくてはならない。

必要なマインドセット

自らにいかに負荷をかけられるか。
こんな世の中だから、この一点に尽きると思う。
もう説明は不要である。

畢竟するに、
量も質も最高峰の努力をし続けられる人材であるべきだ。
自分への戒めにしていきたいと考えている。

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