組織を変えることについて
先日初開催となったEOF2019に、スポンサー、および登壇者として参加した際、この一年におけるDMMの変革過程での方法論、そのメタなところにある考え方についてお話しました。今回はその話を踏まえつつ、組織を変えようとしている方々向けに、登壇中話しきれなかった大切なことについて書こうと思います。
登壇時の内容については下記の資料を参照ください。
また内容については下記のまとめなどを参照すると良いかもしれません。
仲間の善を信じる、システムを疑う
例えば上場や買収、また立て直しなどで組織に参画すると、その中では様々な課題が上がってきます。課題を聞くと、ひとまず対症療法を始めてしまいがちで、自分も前職での初めての組織の立て直しではそうしたミスを犯しました。
DMMでその失敗から意識したのは、上記の資料にもあるヒアリングと、それによる問題の多面的な理解です。とにかくできる限り多くの人にヒアリングを重ねます。特に、情報量の獲得が多くなるであろうメンバーを優先してヒアリングを行います。情報量、言い換えると別々な立場・視点からの意見ですね。
スライド中にあるネットワークの意識などを徹底していくと、問題の構造が浮かび上がってきます。多くの課題において、各々が善意や貢献しようという思いからのアクションの組み合わせが全体では問題を起こしている、という状態が見られます。例えば、"チームごとの目標設定に対するアクションが現場ではコンフリクトを起こしている事例"や、"過去のシステムではその振る舞いが正しかったのですが、現状のシステム変化の過程でボトルネックになるケース"など様々なものが挙げられます。
変革において、一番大事なのは最高の仕組みを用意してそこに人を放り込むことではなく、一人ひとりのモチベーションを理解し、組織の方向性を明確にし、各々が自身の意志で課題を解決できるよう導いていくことです。名著OODA Loopで語られているAgilityの話とほぼ同じですね。
そのためには、各々の善意、この組織を改善したいという気持ち、姿勢を理解し、絡み合ったシステム一つ一つを解きほぐし、モチベーションを原動力として組織の中の仕組みをうまく噛み合わせて行くことが必要となります。
だからこそ、とにかくヒアリングに徹し、自分の担当する組織やその周辺にまたがるシステムを徹底的に理解していくことが重要なのです。このシステムの中で一番レバレッジがかかる解決策は何か掘っていくと、必然的に関わる多くのメンバーのモチベーションを理解してその上に成り立つちょっとした施策になります。奇抜な手ではなく、多くのケースで王道な仕組みを、導入するためのリーダーシップを大事にしながら適切なレバレッジポイントに投入することになるでしょう。
今回のEOFの講演でお話した4つの概念も、あくまで上記のスタンスに対するツール的なものだと、講演後に振り返りながら感じました。
最後に
まだまだDMMをテックカンパニーに変えようという旅も道半ば、まだ全体の30%も完了していません。最終的に、多くのエンジニアや事業家が生まれ、育ち、そして自分自身も多くの事業を生み出していく、そんなDMMにしていきます。
先日始まった42 Tokyoもその一つですが、今後も資本や意思決定スピードを活かし、長期短期含めて様々な事業・取り組みを打ち出していきます。組織を作るだけではなく、組織を変える過程自体が日本にとって重要な資産になるであろうと願い、DMMではこうした流れの中でEdutechやVR、SaaS、AI等様々な領域で一緒に戦っていける仲間をいつでもお待ちしています。
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