3Dプリンター トラブルシューティング① 細い部分の品質劣化
どもどもYanでっす。
MEGAアップグレード計画も途中なのに新しいマガジン作っちゃいました。てへ。
題して!
3Dプリンター トラブルシューティング集!
3Dプリンターでプリントしていると出くわすトラブルにどうやって対処すれば解決できるのかを書いていきたいと思ってます。
症例写真が撮れたら更新みたいなノリなので、不定期更新です。トラブル多発しているときは毎日更新されるかもしれません。
今回の症例はコレ。
おかしいですね。明らかに上の方がおかしいです。
原因
1レイヤーのプリント時間が短すぎる。
FDM方式の3Dプリンターは熱したマテリアルのノズルから吐出して層を重ねていきます。プリントされたマテリアルはある程度冷えないと不安定なままで、その状態で次のレイヤーをプリントすると品質が悪くなります。具体的には積層痕がとても目立つとか波打つとか。
今回のケースはモデルの上の方の面積が狭すぎるため1レイヤーのプリント時間が短すぎてしまい、冷却時間を確保するためにヘッドが退避したことで起きています。
これを回避するためにCURAにはいくつかの設定がありますが万能ではなかったりします。
CURAの設定を説明しておきます。
Minimum Layer Time:1レイヤーの最低プリント時間。これを設定することで、この値を下回る場合、時間を満たすようにプリント動作が変更される。①Minimum Speed:設定速度までプリント速度を落として時間を稼ぐ。②Lift Head:プリント速度を落としても時間に達しない場合、時間に達するまでヘッドを退避させる。
今回の症例では①でも対応しきれず②も実行されヘッドが退避しました。しかしヘッドは退避するもののマテリアルは垂れてくるので症例写真の様な状態になってしまったという訳。
対処法
さて原因がわかったところで対処法を紹介していきます。
対処法1(オススメ!)
CURAのExperimentalにあるDraft Shieldを冷却時間稼ぎに使います。本来の用途は冷たい外気がモデルに当たるのを防ぐために、モデルの周りに壁をプリントするものなのだけど、壁のプリント時間をモデルの冷却に使っちゃおうという使い方。
ExperimentalのEnable Draft Shieldにチェック。X/Y Distanceはモデルからどれだけ離れるかの距離。Draft Shield Limitationで「Full」を選択することで、モデルと同じ高さの壁をプリントするので、冷却時間稼ぎができます。
リトラクションの設定が正しく行われていないと糸引き、blobの原因となってしまうので注意しましょう。
対処法2
症状がでたモデルと一緒に他の適当なモデルをプリントして1レイヤーのプリント時間をMinimum Layer Timeを上回るようにする。上の画像では適当に柱状のモデルを配置して一緒にプリントしています。これによって症状が出ていた部分のレイヤーでもMinimum Layer Timeを上回ることができ品質の劣化を起こさずにプリントが可能になっています。
CURAではDraft Shieldを使う方法がオススメですが、この方法はどんなスライサーでも使えるという点で便利。
対処法3
Minimum Speedを落とす。時間稼ぎのためにプリント速度を落とすので、この最低速度をさらに遅くします。うまくいけば余計なモデルをプリントせずに本命のモデルだけ綺麗にプリントができます。
しかし、極端に遅いプリント速度は品質の劣化に直結します。加熱されたノズルがすでにプリントされたモデルの上を通過する訳ですが、スピードが遅すぎると下のレイヤーを柔らかくしてしまうからです。また、極端に狭い面積の場合はスピードを落としてもMinimum Layer Timeに到達できずヘッドが退避してしまうことになります。
対処法4
Minimum Layer Timeを短くする。この値に達しないからプリンタが余計な動きをしてしまうということで、この値を短く設定してしまえば簡単には回避動作は起きなくなるはず。
確かに短くすればよほど狭い面積でなければクリアできるでしょう。しかし、マテリアルがプリントされた後十分な冷却が行われないうちに次のレイヤーのプリントが開始されてしまうことになるため、品質の劣化につながる可能性があります。
まとめ
今回の様な症状の場合、一番無難なのは対処法1になります。デメリットはプリント時間の増加とマテリアル消費量の増加ですが、プリントクオリティには影響しにくい方法です。
柱のようなものは必ず本命のモデルの症状が出る部分よりも高さがあるものでなければならない点に注意してください。
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