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ABSを綺麗にプリントするには?

どもどもYanでっす。

本日のお題は「ABS」。

皆さん3Dプリンターで使ってるマテリアルって何ですか?

僕は飾るものよりも実際に使うものを作ることが多く、強度が必要なのでABSを使うことが多いです。

でも、ABSは反る!

そうなんです、これが問題。反るといっても結局のところ冷えたときに縮むというのが原因で反ってしまうので、縮むというのが諸悪の根源(言い過ぎ)。

Anycubic i3 MEGAでABSをプリントするときに僕が気を付けてることを書いていこうと思います。

ABSって?

アクリロニトリル (Acrylonitrile)、ブタジエン (Butadiene)、スチレン (Styrene)の複合樹脂。頭文字をとってABS。ま、こんな素材の話をしても意味がないので…。FDM方式の3Dプリンターに関わる話だと

・PLAよりも熱に強く、強度もある
・プリントがPLA、PETGよりも難しい
・アセトンで溶かして表面を滑らかにできる
・切削性がいい
ってのがネットでよく見かけるABSの評価かなと。

個人的にABSで気に入っている点は出力物がマット仕上げで安っぽく見えない点。ぶっちゃけPETGがABSみたいな表面でプリントできるならPETGを選ぶというくらいABSでプリントした物の表面の落ち着き具合がお気に入り。

ABSの問題点

実はABSはメリットばかりじゃない、欠点も結構ある。
・反る!
・やすりがけに適さない
・鉱物系の油脂に弱い

反るのは最初に書いたようにABSをプリントする時の難しさに繋がっている。とにかくABSは反りとの戦いだと思う。反りの原因である冷めたときの収縮のせいで、ネジ穴とかも小さめにプリントされることが多いのも困りもの。

やすりがけに適さないというのは適度に粘りがあって削り取れずに毛羽立ってしまって滑らかな表面にしにくいから。柔軟性があってカッターで簡単に削れてしまうのでPLAよりも加工が楽と言われることが多いけれど、個人的には加工が楽なのはPLAだと思う。適切な道具を使えばPLAの方がずっと精度の高い加工ができる。

鉱物系の油脂に弱いというのは、例えばジッポオイルとかエナメルシンナーとか。ABSに付着するとひび割れが起きる。ガンプラ作って塗装もやる人なら、関節部のABSパーツがエナメルシンナーで割れちゃう経験を一度はしてるはず。

ABSを綺麗にプリントするために

・ビルドプレート温度を高く
・プリント温度を高く
・エンクロージャーでプリンターを囲む
・スティックのりをビルドプレートに塗る
・ブリムを使う
・プリントスピードを遅めに
・ファン速度を上げすぎない
・細いノズルは使わない

反りを減らすにはビルドプレートへの密着度を高くするのと、プリント物が急激に冷やされないように気を付ける方向で設定を追い込むといいと思う。

ビルドプレート温度
僕が通常設定しているのは110℃。初期レイヤーだけ密着性を高くするために115℃でプリント。110℃という数値はAnycubicのビルドプレートの説明にABSに適した温度として記載されていた推奨値を採用しているだけ。かなりプリント開始温度にあがるまでに時間がかかるのが難点。たぶん10分くらいかかってる。ビルドプレートの裏側にコルクのシートを貼りつけて保温性を良くするのがオススメ。冷えにくくなるので、ビルドプレートの温度上昇にかかる時間を短縮できる。

プリント温度を高く
フィラメントの推奨温度がWebとパッケージとリールに貼られたシールでまちまちでどれが正しいのかよくわからないので220℃から260℃まで5℃刻みでテストプリントをしてみて一番品質が高かった温度を採用している。僕の場合は通常時235℃、初期レイヤーだけ密着性を上げるために240℃。
Amazonで評価の高いSunluというメーカーのABS+フィラメントを使っている。

ちなみにこのメーカーのフィラメントはPLAとかPETGもそうだけど、Amazonのサムネイルの表示、パッケージ表、中に入ってる印刷物、スプールに貼られているシールとかプリント推奨温度が全部違う数字になってたりするのでテストして探らないとならない。

エンクロージャーで囲む
段ボールを切り貼りしてかぶせてる感じ。保温というよりも変な風が吹き込んで周りの温度が急激に変化しないようにという目的の方が大きい。

スティックのり
ABSはとにかくビルドプレートに密着しにくいのでスティックのりをかるくビルドプレートに塗ってから出力するようにしている。お気に入りはPITのり。塗ってもビルドプレートの温度ですぐ乾いてしまうので出力物を剥がすときにはべたつかない。水溶性なので濡れ雑巾で拭けば綺麗になるので手入れも簡単。出力ごとに全部拭き掃除するのではなく、かなり塗ったのりが厚く積み重なったなーと感じたら掃除する程度で大丈夫。

ブリムを使う
本来なら出力物に接した状態のサポートは除去が面倒なので使いたくないのだけどスティックのりを使っても端が反って持ち上がってしまうことが多く、ブリムを使ってビルドプレートへの密着を強化している。
ブリムのおかげでビルドプレートから出力物の端が反って浮き上がるのはほぼ押さえ込めるようになったのだけど、サポートルーフの上で出力物の底面に反りが発生してしまうのは避けられない。

プリント速度
遅くすることでビルドプレートへの密着性も高くなるし、各レイヤーの結合も強くなる。ABSはPLA、PETGよりもレイヤーの結合が弱い傾向があるので遅めでプリントするのが良さげ。

ファン速度
冷却ファンの速度が速い方が、オーバーハングが綺麗にプリントできたり、ブリッジが綺麗にプリントできたり、表面が綺麗になりやすかったりするのだけど、急速にノズルから吐出されたマテリアルを冷やすだけでなく、風が周りにもあたってプリント済のエリアを冷やすことにもなる。これが意外に反りに繋がっていることがあるので、ファン速度はあまり速くしない方が無難。 

細いノズルは使わない
綺麗な出力をしたくて0.2mmノズルを使ってABSをプリントしたら細いラインは簡単に冷えすぎてしまうらしくレイヤー間の結合がとても弱くなってしまって簡単にはがれちゃう状態になってしまった。今ならセッティングを詰めて0.2mmでもプリントできるかもしれないけれど、展示物とかプリントする訳じゃないのでABSは0.4mmノズルでいいやと開き直った(笑)

まとめ

ABSの反りは面積が広いもので起きやすいので、反りのテストで20mmキューブを使っても発生しないことが多い。

なので品質を突き詰めた設定で、本番プリントしたら反りが出て涙目になりがち。時間はかかってしまうけれど、底面積がそれなりにあるモデルでテストした方がいいと思う。

反りの出るポイントはビルドプレートに張り付く底面部分と、サポートの上に出来る底面部分なので、ここに注意してテストするのがオススメ!

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