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Anycubic i3 MEGA アップグレード計画⑦ ダイレクトエクストルーダーmod 前編

どもどもYanでっす。

今回のお題は「MEGAをダイレクトエクストルーダー化してしまおう」です。

まずダイレクトエクストルーダーとはなんぞやというところから説明していこうと思います。メリットとデメリット両方あるので、理解した上でやるかやらないかは決めてください。

注意

この記事の内容は改造にあたります。メーカーの保証範囲外となりますので自己責任で行ってください。

ダイレクトエクストルーダーって?

いわゆる格安プリンターと呼ばれているプリンタはほぼ全てがボーデン式と呼ばれるもので、プリントヘッドにはエクストルーダーがなく、プリンタ本体のどこかに取り付けられたエクストルーダーからテフロンチューブ(ボーデンチューブ)を通してヘッドにフィラメントが送りこまれます。

ボーデン式のメリット

ヘッドに必要なのはホットエンド、パーツクーリングファン、ヒートシンクファンで済むためヘッドを軽くすることができます。軽いヘッドのメリットは

・加速減速時の反動が少ないので速度が上げやすい
・パーツ点数が少なくてすむので強度を高くしなくていい
・動かすモーターへの負荷が低くなるので脱調しにくい

という感じ。いくつか同じものを別解釈してるという面もあるけど。格安プリンターで採用されている一番の理由は、部品点数が少なく、速度を上げられるのでコストを抑えられるという部分かと。

ボーデン式のデメリット

メリットばかりではなくデメリットもあります。ボーデンチューブを通ってフィラメントがヘッドに送りこまれる仕組みがネックとなってくる部分があり

・エクストルーダーから距離があるのでレスポンスが悪い
・距離とボーデンチューブ内の摩擦の影響で正確な押し出し圧のコントロールが難しい

ざっくりまとめると、ボーデン式は価格を安くあげられるけれど、速度をあげていくとプリント品質を維持できない。ということになります。

で、今回のテーマであるダイレクトエクストルーダーです。

ダイレクトとあるようにホットエンドに直接エクストルーダーを接続します。こうすることでボーデン方式のデメリットである距離を可能な限り短くすることができます。またエクストルーダーからノズルまではほぼ直線になるので押し出し圧のコントロールが簡単になります。

ダイレクトエクストルーダーのメリット

・プリント速度をあげても押し出し圧を維持しやすい

メリットとして言葉にするとコレだけになっちゃいますが、速度を上げても綺麗なプリントができるってことです。

TwitterでMEGAの様なプリンタにどんなとこに不満を持ってるかアンケートを取ってみた結果。綺麗にプリントしたい、速くプリントしたいという回答が7割でした。ダイレクトエクストルーダーにするというのは、ほとんどの人の不満を解消することができる可能性が高いです。

ダイレクトエクストルーダーのデメリット

もちろんデメリットもあります。エクストルーダーとそれを駆動するモーターをヘッドに搭載しなくてはならないのでヘッドが重たくなります。ここら辺から以下の様なデメリットが浮き彫りに。

・重量増による脱調のリスク増大
・加減速時の反動が大きくなる
・配線が増える

MEGAの場合はフレームが鉄製でかなり頑丈にできていて、重量増に伴う強度不足の不安はありません。またX軸のモーターも最初から搭載されているものを使っていますが、100mm/sプリント、150mm/sトラベルでも脱調は起きてないです。

加減速時の反動によるクオリティの劣化はあります。しかしこれはAccelerationとJerkを調整してあげることで回避することが可能で特に問題にしなくてもいい部分だと思います。大きな面で影響が見受けられるレベルの問題なので。

ざっくりまとめると、ダイレクトエクストルーダーにするとプリント速度を速くしても品質を維持できる。という感じになります。

実際に僕がメインに使っているMEGA(アップグレード計画のとは別)ではダイレクトエクストルーダーmodを取り付けていて、プリント80mm/s トラベル100mm/sでかなり綺麗にプリントできています。TPUだけは速度を60mm/s以上にあげると層間ではなくライン間(横方向)がくっつかないので50mm/sくらいでプリントですが、PLA、ABS、PETGはボーデンの40mm/sとそん色ないレベル、下手したらそれ以上でプリントできます。

実はプリント速度はもっと上げられるんです。でもスピードを速くすると加減速時の反動を吸収しきれなくて、振動による影響が出てきて、ひどく表面が荒れてしまうのである程度のとこで抑えてるという感じです。

ダイレクトエクストルーダー化で必要なものと作業

今回は実際の改造は行わず内容紹介までにしておきます(実はプリント失敗してて出し直してるんで)。

必要なもの

・はるかぜポポポさんのダイレクトmod
・薄型モーター
・ハンダ付けできる環境
・ヘッドの上からスムーズにフィラメント供給できるスプールホルダー
・BLTouch又はそのクローン(オートベッドレベリングをする場合のみ)

ダイレクトmodはオートベッドレベリングをするかしないかでプリントするものが変わります。

カスタムMarlinを使ったメッシュレベリングでいいという場合ははるかぜポポポさんのオリジナルを。最新版はプリント時の難所に少しサポートラインが追加されているので、プリント難易度がちょびっと下がりました。

BLTouchを使ったオートベッドレベリングをする場合は僕のRemixの方を。

ボディとファンインテークの2つとホーミングの際にモーターがキャリッジにぶつかるのを防ぐスペーサーをプリントしておきます。Amazonで買える20mm厚のモーターならスペーサー不要。E3Dからモーターを買う場合は5mmスペーサーのプリントが必要です。

あとサブ基板を固定する場所がないので、BLTouchを使う人は同梱されている基板ホルダーもプリントしてください。こんなやつ。ポポポさんのオリジナルはサブ基板をタイラップで固定するための穴がついているはず。ついてなければ僕のRemixに含まれているサブ基板ホルダーはポポポさんのオリジナルでも使えるのでこれだけプリントしてください。

薄型モーターはE3Dの400stepモーターがオススメ。なぜオススメかというと、アリエクで買ったやつからこれに交換してみたところ、マテリアル吐出が安定してプリント品質があがったからです。

日本のAmazonで購入するならばすでに動作確認がとられている20mm厚のものがオススメ。

アリエクのこのモーターも僕自身が使って使えることは確認しています。

ハンダ付けはモーターの配線を延長するために必要になります。

スプールホルダーは各自の設置環境によって置き場所など変わると思うので、Thingiverseで好みのものを探すなどしてください。MEGA、MEGA-Sのホルダーはキャリッジに取り付けたエクストルーダーにフィラメント供給するためのものなので、ダイレクトエクストルーダー化してヘッドの上からフィラメントを供給する様には作られてません。

MEGAの組み立て式スプールホルダーであれば置き場所を工夫するなどすれば対処は可能かも?

MEGA-Sの場合は横に取り付けるものなので、別に必要になります。

ちなみにプリント可能な高さが150mmくらいになってしまいますが、僕のモデリングしたやつもThingiverseにあります。

一応150mmくらいまでのプリントは確認できてます。高さを上にあげたバージョンを現在テスト中。ネジ山のところにサポートできるんですが、サポート設定を甘めにしないとガッツリついて取れなくなります。軸側はなんとかなるんですが、ナット側が厳しいです。ご注意を。

BLTouchは僕が使っているのはアリエクで買ったクローン品。

ベッドの四隅のネジでなるべく水平にする手間は変わらないですが、25か所での計測をBLTouchがやってくれるので、作業量は減ります。精度もそこそこあるのでレベリングが面倒という人にはオススメ。

ダイレクトmodは前回のボーデンmodと同様PETGでのプリントがオススメ。理由は言わずもがな、収縮の少なさと耐熱性です。

ダイレクトmodはちょっとプリント難易度が高いです。

インフィル 15%
オーバーハング 65°
サポート密度 8%

くらいで少しゆっくり目にプリントしてあげるといいでしょう。サポートをがっつりつけると外すのに苦労します。きちんとサポートが外せて、ベルトを通す部分もベルトが通りそうなくらいの幅が確保されているか確認は必ずしましょう。さっきも書いたけどダイレクトmodはプリント難易度がかなり高いです。

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まずはインテークをプリントして穴にM3ネジが入るかを確認してみるといいかも。これが普通に入ればプリント時のマテリアル吐出量は大きく狂っていないのでボディをプリントしてもベルトが入らないという類のトラブルはないと思います。

まとめ

ダイレクトエクストルーダー化はボーデン式である程度3Dプリンタのことが分かってきて、速度や品質に不満が出てきたら採用することをオススメします。中級~上級者向けの改造になります。

品質を上げることができるのは確かなのですが、スライサーの設定も詰めていって初めて綺麗なプリントができる感じの改造ですね。

PETGでもこれくらいの品質で80mm/sでプリントできます。

次回はダイレクトmodの組み立て方なんかを紹介しようと思います。Marlinのコンパイルとかも必要なのでたぶん3部構成。

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Have a nice printing. :)

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