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動脈採血はツラいよ・・・。

とうとう入院初日を迎えてしまった。前日に夜なべして作った枕カバーにも見える大きめのカバンにマイ枕を入れ、膝に抱えながら旦那さんの運転する車で病院に向かった。

外来とは違う別の窓口で受付を済ませ、実母と旦那さんと3人で病室へ。六人部屋の一番奥です。


試練は突然に

ベッドの周辺に荷物を置いてまもなく、白衣を着た若い男性がやってきました。

「採血しますね〜」

実母と旦那さんに見守られながら採血、っていうのもちょっと見せ物的で嫌かなーと思ったので、病室の外へ行ってもらうことに。

ベッドに横になり、右手首からの採血。

「動脈からなのでちょっと痛いですからね」

うん、痛いのね。チクッと刺した感じはそんなんでもない。しかーーーーーし!異変に気づいた。なんて言ったらいいんだろう、搾り取れるはずのないところから、無理矢理搾り取ろうとするようなキューーーーーーッとした痛み。いやいや、手術控えてるんだし、これで痛いとか言ってちゃね、と変なプライドが出てきて、痛いと口に出せない。娘たちの顔を思い浮かべてみたり、なんとか頑張ろうとしても、ああ、もう意識が遠のいていきそうかもーーー、ひだりてに、あせかいてるかもーーーーー。

「痛いです(泣)」

「痛いですか・・・」

こんなに痛い思いをしたのにも関わらず、「あまり血が採れなかったので、静脈からも採りますね」と、いそいそと病室を出て行った白衣の彼。静脈でもよかったんかーーーい!!!!という想いと、もう2度と動脈からは採らせない、という想いが複雑に交錯して横たわっていると、そこに

「きうらさ〜〜〜ん、大丈夫ですか〜〜〜?」と、白衣の天使登場。

私のメイン担当だというOさんが現れた。

年甲斐もなくという言葉がピッタリなんですが(恥)思わず涙が出てしまったんです。きっと看護婦さんもびっくりしただろうなー(笑)いい大人が入院初日に大泣きとは。しかしあの白衣を着た彼は、研修医だったんだろうか、練習中だったんだろうか。今でも時々思い出す。

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呼び出し事件

泣くほど痛かったわけなんですが、いつまでも痛いわけではなくお昼になればお腹も少しは空いてくる。

昼から病室で入院食というのも味気ないので、病院内にあるレストランで実母と旦那さんと三人で「最後の晩餐」をとることになりました(大袈裟ですね)。実母が強く勧めてきたので、手術に勝とう!ということでカツカレーを食べた。

レストランを出て、食後のコーヒーでも飲もうと販売機で買い、病院入り口近くのタクシーを待つ付近のベンチで三人で並んで飲みました。誰かが寄りそってくれるって、ありがたい。その日は、そこまでで二人とはバイバイです。

さあ、ひとりになりました。病室に戻るためにエレベーター前に行くと、見慣れた顔が。近所に住むYちゃんです。Yちゃんはお見舞いに来ていました。私の、ではなく、数日前に私より2階上の病棟に入院手術のためにチェックインしていたKちゃんのために。心配させないため、というよりは言うタイミングがなかったため私の入院を始めてそこで知ったYちゃんの驚いた顔!後で、「ゆかちゃんゾンビみたいに近づいて来てさ〜〜〜」と言われました。

一緒にKちゃんの病棟前に上がっていくと、他のお友だちもいて、話も盛り上がっているようすで、なんだか入院中とは思えない雰囲気。ちなみに盛り上がっていたのは、病棟に入る前にある、壁際にそった長ーーーーい椅子にて。お友だちが一人帰って、また一人来て。入院・手術経験のある方もいて、私にも親身になって心がまえを教えてくれて、ありがたいばかりだった。楽しい時はあっという間に過ぎるものですね…。

〈♪着信音♪〉

「きうらさんですか?今、どこにいます?戻ってきてくださいね〜〜〜」

かけてきたのは、さっき涙を見せてなぐさめてもらった看護婦Oさんだった。

「ゆかちゃん、初日に呼び出されてやんの〜〜〜!」とKちゃん(笑)。

いそいそと病室に戻りましたとさ。

その日の夜、始めて一人で食べた入院食のデザートには、お月見ゼリーが出ました。波乱の入院生活はまだ始まったばかりなのでした。

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