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資格試験にチャレンジ(その2:無線免許の巻)

以前に「資格試験にチャレンジするなど」として、きくせんせいが今までにとった資格・免許などをちょっと書きましたが、その後何にハマったかと言うと「無線従事者免許」であります。
一度勉強したことを足がかりにして、ちょっと勉強をプラスして国家試験レベルまで引き上げるのは結構楽しいと思ったのです。で、同じ無線従事者であっても、アマチュア・陸上・海上と運用する分野の違いで、当然運用のための「法規」の違いはあるだろうと思ってました。しかし、何と、意外な事に「無線工学」の出題傾向がすんげぇ違うぞ、ってことに気づいたのです。
ってことで、この先は、この半年で取得・合格した無線従事者免許(従免)試験についてのおじさん受験者の考察です。

第三級アマチュア無線技士

以前の記事でも書きましたが、これが最初の一歩でした。
小学校の頃に、帰り道の途中にあった、おじの所有する借家に、警察官の方が数人入居されて、そこでその頃はまだ存在していたJARLの標準教科書を貰ったのが何となくアマチュア無線にあこがれた第1歩でした。模型店で売っていたゲルマニウムラジオとか2石レフレックスラジオのキットをハンダ付けをしながら作っていたこともあって、教科書をちらちら見てたんですが、なかなかそれ以上の理解に進めなくて、挫折しておりました。
中学校に進むと、同級生で免許を持っている友人(JA9KUE)ができました。アマチュア無線部もその友人と再興しました(あったけど開店休業だったのです)。顧問の酒井先生(JA9BT)という古参のハムもいらっしゃって、金沢大学のクラブ局の局免(JA9YFD)も持ってきてくださって、附属中学校アマチュア無線部の再興後初めての on air を横で見ることができました。
でも、おいらは、勉強をサボって、そのまま立ち消えに(^_^ゞ

月日は流れて四十数年。病気で引退したおいらが、電気通信の工事担任者試験で勉強したことを糧にして、
「そうだ、アマチュア無線の免許もとろう」
ということで一念発起してとったのが第三級アマチュア無線技士だったのです。

昔のようなJARLの欽定教科書はありません。いろいろ本はありますが初版が今世紀初頭で改訂版がなかったり、「丸暗記」だったりして、
「なんじゃこりゃ〜〜〜、まともな教科書が無いんかい〜〜〜」
と言う感じでした。ただ、三級・四級についてはプールされた問題をきちんと解けることが肝要、ということで、試験を突破できました。
敢えて言いましょう。「要点マスター」をちゃんと読んで理解する、その上で「完全丸暗記」でたくさん問題を解く。計算問題は、値を覚えるんじゃなくて「計算で解く」ことができるよう。これで三級ハムは受かります。これは請け負います。

他に読んだ本もありますが、その多くはモールス符号の覚え方です。「モールス符号覚え方一覧表」みたいなのが代表的ですが、こんな感じで覚えればOKです。昔は実技試験もありましたが、今はペーパーテストだけです。周波数や出力の制限事項を覚える必要の多い四級より、さらに上級でも使うモールスを覚えて三級をとる方が有用である、と力説します。
免許はこいつです。総合通信局長名の判子です。

三級アマチュア・総通局長の判子、英語の記載があります

第一級アマチュア無線技士

さて、三アマをとってしまって、とりあえず144/430 MHzのハンディトランシーバを購入して、無線局免許状もとってしまい、JF9SGFというコールサインももらいましたが、引退して暇を持てあましているオッサンとしては
「もう一つ上の免許もとってやれ」
という野望が出てきてしまうものなのですよね。
市内にあるアマチュア無線の機材を扱ってるお店でトランシーバを購入した時に、
「うーん…2級でしたら講習会を受けてとる事もできますよ。1級と2級は昔は結構違ってましたけど、今は計算問題の質が違うと言うか、まぁ、程度はそれほど変わりませんね」
という話を聞きました。
で、本屋さんに行って、参考書を見るわけですよ。

やさしく学ぶ-第一級・第二級アマチュア無線技士試験、とか、第一級アマチュア無線技士国家試験-計算問題突破塾-第2集あたりをちらちら立ち読みすると、
「一級も二級も、たいして難易度が変わらんのじゃないかね?」
と思うわけですよ。問題ほとんど同じなんだもの。

以前は、二級は英文モールスの「実技」、一級は和文モールスの「実技」が関門だったけど、実技が無いんだもん。さらに書くと、和文モールスは試験に出ないし、英文とQコードを覚えればいい。モールスの実技試験が無くなったからおいらでも三級に合格できたんで、
「こりゃ行けるんじゃね?」
と、おじさんが勘違いするのは自然な流れですよね。ふつうにガシガシ勉強して、化学療法(抗がん剤治療)直後で体調が悪くて、
「うぁ、これは落ちたかも orz」
と思ったけど、ぎりぎりセーフで(もう大問1つ落としてたらアウトでした)通ったのは、神の配剤というか、ラッキーというか、ど根性で馬力が出たというか、とにかく受かりました。
この2冊の本はお薦めです。他に何冊か買いましたが役に立たないか、古くて見る気になりませんでした。わからん項目はGoogle先生で検索しました。調べるのは大事です。

で、この免許です。これは、総務大臣の判子のある免許です。
ヽ(^o^)ノ

一級アマチュア・総務大臣の判子、英語の記載があります

第一級陸上特殊無線技士

ワクチン接種でいろいろな会場にお邪魔してますが、スタッフ間の連絡はトランシーバを使っているところが多いです。特に(石川県産業展示館4号館みたいな)会場が広いところでは、トランシーバは必須です。
あと、空撮にみんなが使ってるドローン。高度が高くなると、無線が高出力の機材じゃないと、制御もデータ通信も難しいようで、陸上特殊無線技士の免許があると何かと有利なようです。
本屋さんで参考書を見てると、一陸技とか二陸技みたいな放送局の勤務でもOKみたいな資格はやたらと難しいですし、「特殊無線なら第一級でも行けそうかな」ってことで受験しました。
主に使った教科書はこの3冊です。ちゃんと読んで問題を解けば合格できます。

よくわかる 第一級陸上特殊無線技士 合格テキスト
第一級陸上特殊無線技士国家試験 計算問題突破塾 第2集
第一級陸上特殊無線技士試験問題集 第4集 合格精選420題

携帯電話会社やその下請け、コンサートホールの高出力のワイヤレスマイクなど無線関係の就職には有利になると思われます。警察関係だとレーダーが大事なんですが当然カバーしてます。放送局は一陸技が必要ですが、中継局のメンテなどSHF関係の仕事ではこの免許でも業務に使えます。就職に使おうと思うなら、最低一陸特はとりましょう。大丈夫、いけます。

で、こういう免許がきます。総務大臣ではなく、総合通信局長名です。

一陸特・総通局長の判子、英語の記載がありません

第四級海上無線通信士

とか書いているうちに、知床で観光遊覧船が沈没するという事故が起こりました。

整備が正しくなされていない船で、インチキなコンサルに騙された会社が安全装備を疎かにして、非常通報を携帯電話に頼って、旅客船で必要とされるはずの無線装備を搭載しなくて、違法にアマチュア無線を遭難通信に使おうとした遊覧船が、遭難して、救助も遅れて、生存者が今のところいらっしゃらないという、なんとも悲惨な事故でした。
たまたまアマチュア無線家が乗り合わせて船長に依頼されて「メーデー」を出したなら適法ですが、無線の免許が無い人が免許の必要なアマチュア無線機材を使おうとしてた時点でアウトです。一海通・二海通・四海通の免許をとれば四級ハムの免許もついてくるんですけどね。これなら普段の業務通報は違法ですが、遭難時に限り適法です。

「業務で使う免許・機材なのに何やってるんだよ。そんなに難しい試験かどうかおいらも受験してみるぜ」
ということで、受験勉強をいたしました。
これに関しては、管轄の北海道総合通信局も「役所だから犯罪といわれない」程度のひどい監査をしているような実態もありそうでしたので、どんな難しい免許か受験してみよう、ということで。

ところが、本屋に行っても、amazonで検索しても、四海通にはたいした参考書が無いのです。成書として出版されているのは、
四海通 無線従事者国家試験問題解答集
っていう、過去問集ぐらいしかないのです。

海上の無線工学はこれまでにやってきたアマチュアや陸上無線と出題傾向が違ってて、Q=CVみたいな基礎的な高校物理の問題だったり、オペアンプの増幅率の原理を穴埋めで求めさせるとか、お気楽に公式に当てはめるだけでは解けない格調高い問題が多いように思います。
海上遭難用の機材の知識は海上通信以外では使う事もありませんから、一から知識を積まないといけません。
また、法規では、遭難通信、遭難通信の取り扱い、緊急・安全通信など、陸上やアマチュアでは出題がほとんどされない運用の知識が必要とされます。

第四級海上無線通信士 法規 (無線従事者養成課程用標準教科書)
という本もあるにはあるんですが、通り一遍、ずらーっと重要点も例示せずただ、だらだらと法律文書と簡単な解説を並べるだけの本で、この本を見て勉強しようと思う人はなかなかいないでしょう。百歩譲ってレファレンス用に、としても大いに不満があります。
e-Gov法令検索で電波法、電波法施行規則、無線設備規則、無線従事者規則へのリンクをブックマークしとく方が有用かと思いました。

結局、英語のある三海通を避けて四海通の願書を出して、(他に適当な教科書がないため)しょうがなく購入した三海通の参考書で勉強してわかりました。GMDSSという国際的な海上通信・遭難通信の枠組みには三海通以上の資格が必要だったのです。
三海通以上じゃないと体系だてて学べる参考書が無いってのは実につらい。
という事で、

やさしく学ぶ 第三級海上無線通信士試験
という参考書を購入して、三海通の範囲までの法規を総覧しました。どうせ買うならこれを買いましょう、四級でも。

試験当日に金沢市の受験会場では、受験番号は3番までの3人、実際に受験したのは2人という、「まぁ、なんだかなぁ」な試験でした。試験監督は、一アマ、一陸特でもお目にかかったお二人でした。(^_^;;
三級になると英語の試験がありますが、やっぱりこちらを受験すべきだったと後悔しましたがあとの祭り。試験そのものは9割以上解けたんで「まぁ、よしとしよう」というところです。
ただ、四海通の試験は「問題解答集」と無線協会にアップしてある過去1年分の過去問の丸暗記(っても理解しないで暗記するのは結構つらいと思いますけど)で合格点が取れる事はわかりました。

ただね、この資格を持っている人が会社に一人でもいれば、主任無線従事者って制度があるので、配下の従業員を乗船させて通信させても、陸上基地局で無線の応答をさせてもオッケーなんですよ。「免許を持った元締めと、管理された部下による無線通信」ということができるように法律で定められているのです。

知床旅客船の会社では、誰も従事者免許を持っていなかったのか。免許を持ってるのに無線局を開局してなかったのか。その辺の監査を北海道総合通信局がちゃんとやってたのか。これは問われる事でありましょう。

海保の職員さんが必ず聴取している周波数はいくつもあるという事を勉強しました。国際的にも使える、FM 156.8 MHz (いい語呂やと覚える)などの周波数で「メーデー、メーデー、メーデー」と発信する事の重要性も勉強いたしました。
FM 156.8 MHz単独のハンディ・トランシーバを船と会社に用意しとけよ、海保さんも聞いてくれてるんだし、本当に、せめてこのくらいは。
で、当事者の怠慢と違法性、国(北海道総合通信局)の監査の遵法性は厳しく問われるべきかと思います。

なんて事を書いてますが、とりあえず、この半年で3つ目の免許はこれです。四級であっても総務大臣の判子があります。

四級海上・総務大臣の判子と、英語の記載があります


四海通はオプション?で裏に本人自署欄があります(免許申請時の筆跡)
自署欄のある免許は初めてです(^_^)

ということで

とりあえずちゃんと免許をとったぜ、ということで、でかい顔をして書かせていただきました。学んで初めてわかる正しい手続きの重要性。世界の船舶の安全の担保のためにどれだけの手間や人手がかかっているのかを知ることができただけでも、これらの免許をとった価値はあると思いました。
少なくとも、緊急時の連絡を担保する無線通信について疎かにしていた、知床旅行船の会社はこの点についてだけでもかなり非難されるべきと思いました。
「おいらでも取れるんだぜ、この免許」
と言うてやりましょう。

たくさん作ったカンペの一部
書く・書く・書く、書いて覚える!ヽ(^o^)ノ


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