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GPSを時刻ソースにしたntpサーバの構築

はじめに

 インターネットに繋がっていると、最近のコンピュータやスマホは時刻が正しくあってますよね。でも、電子カルテとか企業機密を扱うイントラネットとか、インターネットに接続したくないシステムでは、個々のクライアント端末のシステム時計の時刻管理が悩みの種になることがあります。文書の最終更新時刻が前後してしまうなど、「おや〜〜〜?」ということもあります。
 システム内のサーバに時刻同期サーバの機能をもたせることが一般的ですが、この時刻ソースをどこから持ってくるか。手であわせるのか?短時間外とつないでntpとつなぐのか?なんてことが問題になったりします。外のネットワークと繋がってることが、情報漏えいなどのシステムの穴になることが懸念されます。

 イントラネットの中に、閉じた環境でも、正確で、構築維持が簡易で、安価な時刻ソースサーバがあると、システム内サーバに負荷をかけることもなく、いつでもネットワーク内クライアントからの時刻同期のリクエストに応じることができ便利です。
 今回構築するのは、原子時計を搭載したGPS衛星からの電波を時刻ソースに使って、安価なRaspberry Pi (ラズベリーパイ、以下ラズパイ)コンピュータを使ったネットワーク内専用のntpサーバです。

 構築・設定のためにインターネット接続が必要ですが、設定終了後はインターネット接続なしで運用できます。
 クライアントはWindows, MacOS X, UNI* (linux, *BSD)など、最近の普通のコンピュータ・OSで、時刻の自動同期ができるものであればまず問題ありません。イントラネットのwi-fiから情報端末の同期も出来ると思います。サーバ室の片隅に転がってる小箱と、窓に伸びているGPSレシーバ、小箱からルータへのネットワークケーブル、電源コードだけでOKです。スマートにネットワーク内の時刻同期をしてみましょう。

 ラズパイを使ったGPS校正の自家用ntpサーバは、かつて私が運営していた診療所の電子カルテシステムで実運用していました。数年使ってましたがトラブルになったことはありませんし、Windows端末のレジストリを正しく書き換えることで、端末が時刻を校正するタイミングを所定の値より短くして運用前後の誤差を少なくすることも出来ました。外とつなぐことができない端末や、サーバ・ルータの時刻設定にはおすすめです。

 この文書は2020年秋に作り、NT金沢ででも発表しようかと思ってたものですが、コロナのせいで発表する機会がなくなってしまったので需要があるのか無いのかもわからず埋もれていたものです。私も病気でそろそろ寿命が尽きそうなので、とりあえず娑婆に出してやろうと思います。もしどなたかの目に留まって「ワォ」と思っていただけると幸甚です。
(と思っていたら、意外に寿命が延びたので、NT金沢2022(2022年6月18日・19日)に出展しました。当日お越しいただきデモを見てくださった皆さまに感謝いたします。)

おわび1:書式がきれいな「コード表示」にしたかったのですが、noteのシステムの制限のため、エラーになってしまいます。書式が崩れてますが「引用表示」でコンピュータ画面の解説にしています。直せるところは順次直しますので、あとからもう一度来てみてください。 m(_ _)m

おわび2:当初どうやっても投稿が出来なくて、サポートに伺ったら、怪しいURLとか、IP addressなどのピリオドのたくさん入った投稿は撥ねることがある、とのことでした。「引用表示」でとりあえず投稿して、そのあと「コード表示」に直しています。もう少しで検証が終わりますのでお待ちください。

おわび3:ようやく満足なものになりました。コード表示で色が付いたり斜体になったりしてるのは、noteの仕様です。ご容赦ください。

おわび4:ntpq の説明で、reach欄の記述に誤りがありました。訂正しました。

追補:ラズパイ400についての記述を追加しました。
追補:簡略化のできる項目の記述をしました。
追補:前書きにNT金沢2022の記述を追加しました。

本文書の対象読者

イントラネット用にntpサーバを構築したいネットワーク管理者

必要なもの

ラズパイ本体

今回用意したのはPi 4 model B 2GB。
問い合わせを投げてくる端末が多いようなら、速い機械の方がいいかも。
他の仕事をさせないなら、メモリの量は多くなくていい。

ラズパイ本体です

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