マンボーだったら、映画館にいったらいいじゃない。
Twitterで繰り広げられる議論や、揚げ足取りや、告発や、批判に疲れて、平和なインスタに移行したんですけど。
いや、別にTwitterが悪いわけではなくて。結局、全ての事柄において正解なんてないのだから、Twitterも続けるうちに、答えのない禅問答みたいな繰り返しになっていると気づいたんですよね。
繰り返しも最初の二、三周はいいけど、それが5、6、7…と続くと良い加減に新しい刺激が欲しい。それならインスタだ。って安易な考え。
そんでもって、せっかくインスタを始めたのだから、何か自分の忘備録を残そうと、その日に見た映画を載せてたら…、リプやDMで感想を聞かれたりするわけで。
そりゃそうだ。映画だってタダじゃない。むしろたった2時間で1800円も取られるなんて、なかなかの高額だ。それだけのお金を払うなら、事前に見た人の感想なんかを聞いて、見る見ないの参考にするのは当然のことかも知れない。
普段から社会のゴミ!女の敵!排水溝にこびりついた汚れ!…などと世間から「役立たずというよりもはや有害物、すなわちゴミ」というレッテルを貼られた私みたいな人間も、たまには他人の役に立ちたいとは思っているので、、
こうして私のゴミ以下の不浄なnoteを読んでくださる、高貴で高尚で、それでいて不思議と気品漂う神様みたいなあなたが、素敵な映画の存在を知れるように、、、最近観た映画の感想なんぞをインスタを引用しながらチョイチョイっと書いておきたいと思います。それでは、最近見た映画を7本。
1. POP
小野莉奈ちゃんが出てるから、見てみたけど微妙。シニカルっぽいけど、ぶっちゃけ話が散らかってて意味不明って感じ。ただ爆弾魔とか、変なおじさんとかの気狂いキャラが浮きまくるのに、主人公の小野莉奈ちゃんだけは軽い発達障害みたいな子を違和感なく演じてたから、すごいと思った。
あとこの手のシニカルでナンセンス系映画の最高峰はやっぱり「Candy」なので、この映画を見に行くならTSUTAYAでキャンディ借りてみた方が良い。
このかわいいジャケットが目印。ただCandyの良さを書き出すと、明日の朝まで書き続けちゃいそうだから、その話はまた。。
2. クライ・マッチョ
クリントイーストウッドも91歳か…。と思わず声を出してしまいたくなる作品。
学生の頃、たまたま早く家に帰ると16時くらいからテレ東やBSで西部劇がやっていて、あの茫漠とした荒野を見るのが好きだった僕は、それを見てるうちに、いつの間にかクリントイーストウッドを認識していた気がする。華麗に暴れ馬を乗りこなし、目にも止まらぬ早撃ちで敵を倒す。それが、彼のイメージだ。そんな彼も…齢91歳。
肝心の内容は、良くも悪くもないってのが率直な感想。老齢な監督が、長い人生経験の中で得た教訓や人生観が投影された、とてもシンプルな作品。これは小説家なんかにも言えるんだけど、歳を取り、おい先が短くなると、作品の主題がシンプルになっていく気がする。伝えたいことが絞られていき、余計なことが削ぎ落とされていくのだろうか?はたまた必要以上に自分を大きく見せる必要がなくなっていくのか?
それは良いことなのかも知れないが、なんだかこの老いによって好々爺みたいになり、世の中を善の眼差しで、懐かしむように眺める老人を見るのは、とても物悲しい。人は有限であり、いつか必ず死ぬ。その当たり前なことを改めて考えさせられた。この映画は単体としてのデキは普通だけど、クリントイーストウッドという一人の人間の経歴と照らし合わせると非常に訴えかけるものがあったと思う。
3.白蛇 縁起
これは本当に素晴らしかった。中国に古くから伝わる「白蛇伝」の前世の話らしいけど、ストーリーは王道でわかりやすいし、古典の道理や習わしが作中に引用されてて説得力もあった。
この映画で一番感動したのは、やはりその美しい3Dアニメーション。まるで現実かと見間違うほどに洗練されていて、空想の世界に自然と見るものを引き込んでいく。この作品は中国のアニメ会社がワーナーと手を組み実現したようだが、こういった中国企業の技術獲得への貪欲さも素晴らしい。
この映像を見て僕が一番心を打たれたのは、3Dアニメーションで描かれた蛇の妖怪を見たとき。何千年も昔に中国で語られていたこの逸話の妖怪は、昔はおそらくモノクロの絵だった、それが時を経てカラーになり、時代と共に少しずつリアルに近づいていったと思う。また、時には石造や木彫りの置物になったり、小説や物語の中では活字で描かれて、人々の想像の中に残っていった。そうやって中華の歴史と共に、その時代や文化の中で紡がれてきた存在が、今こうして最新鋭の技術で、まるで本物のように描かれている。
この映画を作った中国のアニメーター達は、おそらくハリウッド映画や、日本の映画に憧れてこの世界に入ったのだと思う。そういった人達が世界から技術を学んで、自国の歴史の中の伝説をアニメーションとして作ったことは、とても尊いことだ。これをみた中国人達は自国で紡がれてきた伝説を美しい映像で楽しむことができる。またこれを目の当たりにした幼い子供の中から次の世代のクリエーターが生まれる。未来は変えられるが、過去は不変である。不変だが忘却されることで無にもなってしまう。そういった忘却されていくものを新しい世代が、形を変えて未来に残していくことに心を打たれた。
はるか何千年も昔、夢想家だった中国の若者はきっと夜空を見上げながら大きな蛇の妖怪を想像したと思う。それが何千年の時を経て、同じ民族の子孫達が映像により具現化させたのは、なんともロマンのある話だと思う。そんなことに思いを馳せながら見ると非常に面白い、おすすめ映画。
4.HOUSE OF GUCCI
「レディーガガはどこでもすぐ乳を放り出すから、ありがたみがないんだよな」と、呟きながら映画館のシートに座ったが、なんとも残念、ノーオッパイ。なんてこった。
まあ、乳の話は置いといて…、肝心の内容は、やはり史実をもとに作っているから退屈と言えば退屈。レディーガガは演技力も華もあるけど、吸い込まれるほどの美人ではない。また、他の役者も基本的にはみんなグッチ家の愚か者を演じているためか、視聴者を惹きつけるカリスマ性がない。どうしたって見てると飽きてくる。。
内容を要約すると、金持ちの一族の嫡男が、上昇志向の強い女と結婚して、父と対立して、叔父と揉めて、愚かな従兄弟を出し抜いて家業を牛耳るが、案の定没落していく。そんな感じのお話。本当にそれだけの、よくある話。。
あと、そもそも80年代のGUCCI自体がそんなおしゃれでもないから、映画自体に華がない気もした。
5.Coda あいのうた
僕は割とコレステロールだらけのアメリカ映画的な単純な考え方が嫌いで、この手のアメリカのティーンエイジャーの話は基本的に好きではない…はずだったのだけど、これはめっちゃ良かった。
話の内容は主人公のルビーは健常者なんだけど、家族の父と母と兄は聾唖(ろうあと読む、耳が聞こえない人のこと)で、ルビーが家業である漁の手伝いをしたり、一家が町の住人と意思疎通できるように通訳をしながら暮らしている話だ。
こうやって文章にすると、いかにも悲観的な話で、健気に頑張る主人公が可哀想って内容と思いきや、内実はとても明るくハートフルな話である。その理由はとにかく家族が明るい。
時代が変われば世の中も変わっているのは事実で、一昔前を題材にしたら聾唖や盲目は辛い境遇で、常に社会から虐げられている存在だった。ところが今は2021年。世の中の福祉環境も変わったし、技術や制度も進歩している。それは完璧ではないけど、(そもそも健常者にとっても社会が完璧であったことなど一度もない)当人達が悲観して暮らすことが運命付けられてないし、周りの人間が彼らに過度に同情する時代ではない。
もちろん作中では聾唖ゆえの問題は多々起こるのだが、それは絶望という行き止まりではなく、模索することで希望という抜け道がある。そういった意味では聾唖であるってことが、背が低いとか、頭が禿げてるとか、包茎であるって事くらいの問題のように思えてくる。
この作品は、僕が見た映画の中で歴代でも上位になるくらい素晴らしかった。内容の秀逸さは僕が保証するので是非観てもらいたいです。
あと、内容とは別の視点で良かった点をあげると、とにかく画が美しい(内容の良さを書くとどうしてもネタバレになっちゃうから、そもそも書けないけど)
僕が映画の中で一番重点を置いているのは、内容より意外とここだったりする。小説には景色がない、描写することで読み手に連想させることは出来るけど、それは読み手だけの想像の世界であり景色の共有はされない。またアニメの景色は書き手の裁量で足せるから、それもまた想像の世界であり、この世界の美を作り手と受け手が共有できてるわけではない。
映画というか映像だけが、唯一この世界の美しさを作り手のセンスによって切り取り、不変として時間を止めることができる。それこそが映画の醍醐味だと思う。その切り取られた永遠の一瞬と、物語の内容(キャラの心理描写や、作り手の伝えたいこと)がリンクする瞬間は正に映画だけに許された奇跡だと思う。
そんな奇跡の瞬間がこの映画には沢山あった。豊かな自然に包まれながら育む若い二人の恋模様。歌声が自然の中をこだまする瞬間。星空の下で娘の声を必死に身体で聞き取ろうとする聾唖の父。
と、まぁとにかく色々ある。聾唖の家族達を本当に聴力に障がいのある人が演じているっていうのも、この映画の瞬間の奇跡に寄与してるとも思うが、とにかく観ているうちに自然と引き込まれる映画である。
最後にこの映画は終盤のあるシーンで、急に作中に視聴者をぶち込んでくる。映画ってのは常に客観的に劇中の登場人物を眺めて、笑ったり、感動したり、ハラハラドキドキするものだけど、その概念が覆される。実際に僕もこの映画を見てて、登場人物の心中を察しているつもりでいたけど、このシーンで全く想像外の衝撃を受けた。
人は他人を理解しているようで、結局それは的外れだったりする。それでもお互いを許し合い、認め合うことが大切だなと通説に感じさせられた。そういった意味でも、色々と気付かされる映画なので、是非これはみんなに見て欲しい。
6.ゲームボーイズ
フィリピン発のBLドラマという触れ込みだけど、割と面白かったと思う。
要約すると、ゲイの主人公がマイノリティで、社会の理解のなさから色々と苦労するよって話なんだけど、この主題は割と世界中どこでもあることなんだなと思った。
20年くらい前にLA発の「Lの世界」ってドラマが大ヒットしたんだけど、内容としてはそれの踏襲って感じ。
ゲイのカルチャーは、アングラゆえに独自の発達をするんだけど(日本で言えば歌舞伎町2丁目とか)、フィリピンは文化的に家族や親戚のつながりが強くて、さらにキリスト教が多いから、余計にカミングアウトのハードルが高いと感じた。
でも本質的な部分はLAも、新宿2丁目も、フィリピンのゲイも同じだったりするから、シロクマもヒグマもツキノワグマも環境によって独自の進化した部分はあるけど、クマであるっていうのは同じであるように、こういったアングラでマイノリティな特定地域の話も、世界中で受け入れられるんだなと思った。
肝心の映画自体のデキは割といいと思う。最近のSNSカルチャーが反映されてて、テンポや展開が早くて観てても飽きないし、コロナ禍の閉塞感による若者の鬱積した悩みなんかもうまく表現されていると思う。
美しいフィリピンのビーチの景観と、フィリピンの中でも富裕層に当たる主人公の生活水準の高さなんかも、若者が羨望と憧憬を持って観れる理由なんだと感じた。
7.バイオハザード -ウェルカム・トゥ・ラクーンシティ-
正にアメリカ映画って感じのクソ映画。開始30分で、あらかたキャラが出揃った時点で一回一時停止して「はい、この映画はみなさんの予想通り何人か死にますが、主人公と数名が見事に助かります。では、助かる人は誰でしょう?」ってクイズ出したら、ほぼ全員当たると思う。
愚か者は死んで、裏切り者も死んで、真面目なやつは犠牲になって、何度か命拾いしたずるい奴は結局死ぬ。そんな感じ。
あとは、暗い画面に気味の悪いバケモノが跋扈してて、消えたと思ったら大音量と共に目の前に現れる。それを絶叫した登場人物が銃で滅多撃ちして殺す。それの繰り返し。ひたすら繰り返し。
CGの綺麗さとか、音のクオリティはハリウッドゆえに高いけど、どうしたって内容が…なので、彼女と一緒にハラハラしたいって人とか、ゾンビを殺しまくる映像を見てスカッとしたい人とかにはオススメかも、、、個人的には他の映画をお勧めしますが。笑
といった以上の7本が最近見た映画です。マンボウで酒も飲めないし、たまには映画でもって人の参考になったら嬉しいです。
最後に、
映像は世界の美を切り取れる人間の素晴らしい発明だと思います。その映像を極限までに洗練したものが映画ですから、その極上の美を楽しむには、絶対に映画館のフルスクリーンで観た方がいいと思います。ぜひぜひ、映画館へ…
はい、
ってことで、おわり。