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SKI-O GPS観戦の楽しみ方

多くの場合オリエンテーリングはあまりテレビ観戦に向きません。森の中の広い範囲で行われるので競技中の撮影は限られるし、映像を見ても競技者がどういう状況なのかよくわからないからです。しかし、大きな世界大会などでは、競技者にGPS端末を付け、WEB上で地図に投影して中継してくれます。これはいつでも再生できるので、いつでもどこでも無料で世界大会を観戦できる、実はとても観戦の面白いスポーツです。手の込んだ大会では、このGPS中継を映像の中継と組み合わせて解説していたりして、楽しく観戦することができます。この記事では今年私が参加したスキーオリエンテーリング(スキーO)のワールドカップを例にGPS観戦の楽しみ方を少しだけ紹介したいと思います。

GPS観戦のできるサイト

gpsseuranta.net
SPORTREC
O-GPS Center
TracTrac
などがあります。今年私が参加した大会はどちらもgpsseuranta.netで中継されました。こちらのページがイベント一覧で、大会ごとに各種目のGPS中継へのリンクが置かれています。

基本的な観方

タイトルなし

種目の名前をクリックすると、このようなページに移動します。このように、地図上を人の名前の書かれた点が移動するのを観戦するというわけであります。

①地図
地図上に△、○、◎が書かれています。△がスタートで、○(コントロール)をその番号順に周り、◎がゴールです。このレースでは地図が3枚あった(3周した)ので、△が3つ重なっています。茶色い線が等高線で、地形を細かく描いています。そのほかに地形や植生、人工の特徴などが細かく描かれています。縦横無尽に描かれた緑の実線や破線が圧雪路です。スキーOの場合は基本はここを滑ります。場合によってはしばしばショートカットもします。
②競技者一覧
名前の左の点をクリックして点灯させるとその人の軌跡が地図上に投影されます。この画面ではすべて点灯しています。その時点での移動速さと累積の移動距離も表示されます。
③再生/停止
再生/停止、再生速さ(倍率)が変更できます。
④時刻/スケール
オリエンテーリングのスタート方法には主に個別スタート(1分や2分間隔)とマス(一斉)スタートがあります。マススタートの場合は"REAL"の時間でそのまま観戦できます。個別スタートの場合は"SYNC"を押すと全員のスタート時刻を合わせ、全員一斉に観戦できます。つまり、画像に示したレースは2分間隔の個別スタートですが、このようにスタート時刻を合わせると、"①"付近にいるIshihara(JPN)は20番目のコントロール手前でWalheim(SWE)に少し遅れBartos(CZE)に少し先行していたということがわかります。
➄ラップ、ルート表示
この右端の〈をクリックすると、メニューが表れてラップタイムやルートを表示することができます。これは競技者向きですがこんな感じです。

キャプャ

見どころ・注意

①ルートチョイス
コントロールからコントロールまでのルートは競技者の自由です。距離、圧雪路の幅、地形、ナビゲーションの単純さなどを総合的に考えて決めます。自分だったらどう行くか考えながら、人のルートを見たり比較したりするのが面白いです。人によってルートの取り方に特徴があったりします。

キャャ

簡単な例では、この10→11に行くルートはいくつかあります。
※圧雪路は、緑実線は1.5~3m, 緑破線は1.0~1.5mの幅があります。緑点線は人の踏み跡です。より太い実線はより広いです。

キャ

赤ルートが最短ですが、一度深い沢に下りてから急斜面を登り直さないといけないので遅くなるし疲労もたまります。一方の青は迂回しますが、沢に下りずに、また実線を多く通るので楽にスピードを出しやすいです。

②フォーキング

キプ

マススタートで全員同じコースだと、ただの大名行列になってしまうかもしれません。そこで選手ごとにコースのパターンを変えることになっています。これをフォーキングといいます。例えば上の例では、1、4、7番コントロールがそれぞれ3種類あり、2、3、5、6、8番コントロールが共通です。これにより、スタートから8番までで3^3=27通りのコースがあることになります。この場合も地図交換かリレーで、全員(チーム)が同じコントロールを通ることになっており、公平です。上の例で3周すると、3^3×2^3×1^3=216通りのコースができることになります。たぶん。

③地図
オリエンテーリングの地図(O-map)はとても細かく作られています。ある人々にとっては眺めているだけで楽しめるものだと思います。先程紹介したサイトにはスキーOだけでなくたくさんのオリエンテーリングの大会が掲載されているので、世界中の地図を眺めることができます。

キャプチ

ロシア・ハンティ=マンシースク (gps-seuranta.net)
とても複雑で急峻な地形で、四方八方に深く沢が切り込んでいます。滑ってしんどい、読んで難しい、とてもタフなテラインです。急すぎてスキーを外して走ることも多々ありました。西シベリアの大河、オビ川とイルティシ川の合流点近くに位置しています。

ャプチャ

スウェーデン・ウメオ (gps-seuranta.net)
平坦と急峻な場所のメリハリがすごいです。北部はとても爽快でしたが真ん中の下りは大恐怖です。氷食地形です。

プチャ

エストニア・タルトゥ (SPORTREC)
ぽこぽこの湿地です。冬なのでカチンコチンですが。

ぜひ観戦をお楽しみください!

観戦して面白いですが、やるともっと面白いです。

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