GWにキツめの虫歯になって、ひそかに「死」と向き合った。


今年のゴールデンウィークに、夜も眠れないくらいの凄まじい歯痛に襲われた。

それはもう過去に体感したことがないくらいの痛みで、歯の神経を取り出して直接捻られているような、極太の注射を歯茎に刺されているような感覚。

全身から冷や汗がでて、今年3歳になるかわいい娘が話しかけてきても、まともに反応する元気もない。

運の悪いことにGWなので行きつけの歯医者も空いておらず、家にあったロキソニンを飲んだがそれも全く効かない。

激痛に耐えながら検索しまくった結果、どうやら歯痛は冷やすとマシになるらしく、氷を口に含んでいると痛みが和らいだので、1日で1年分くらいの氷を食べた。

氷がなくなると激痛が復活するので、結局、その日は言葉通り一睡もできなかったのだが、満身創痍で休みでも空いている歯医者を探して、急遽応急処置をしてもらい、なんとか痛みが和らいだ。

痛みの原因は、簡単にいうと、1年ほどまえに虫歯治療した歯の神経が知らず知らずのうちに半分くらい死んでいたことで、処置後も少ししみる期間が長かったので予兆はあったのだが、歯というのは神経が死ぬ時がマジで死ぬほど痛いらしい。マジで死ぬほど痛かった。

結果的に応急処置のあとに、2-3件の歯医者をまわり、自分でもいろいろ調べたり勉強したりして、そもそも最初の歯科の治療がまずかったのではということがわかった。最終的には、地元で有名な根菅治療の専門医にみてもらい、信頼できる技術と環境で歯の神経を抜く処置をしてもらうことになった。

このあたりの流れはもっと細かくいろいろあったのだが、今回は割愛するが、以下の記事がすごくタメになるので、気になる人はぜひ読んでみて欲しい。
日本の歯医者は時代遅れ! タイで歯科治療したら日本の歯医者には二度と行きたくなくなった件


さて、本件は2021年の上半期でもっとも辛かった個人的ニュースだったのだが、そんな悲劇の中でもいろいろと得たことがあった。

まず、(今年32歳になるいい大人としてはすごく恥ずかしい話だが)そもそも虫歯にならないようにデンタルケアに対する姿勢を改めた。

あまりしてなかった歯間ブラシとかも、かなりしっかりやるようになった。

しかし今回 、痛みに耐えながら眠れない夜に考えたことが、それ以上に大きな学びとなったので、ここでみなさんに共有したい。

それは、虫歯になると、めちゃくちゃ「死」に向き合えること。

以前から、凄まじい成果をだしたり活躍をしている人は、だいたい身近に「死」を感じる経験をしていることが多いと思っていて、そのひとそれぞれだが、幼い時に家族や友人をなくしていたり、自分が臨死体験をしていたり、ということが圧倒的に多い。

自分の時間や人生の有限性を腹の底から理解していて、そのことが意思決定や行動を変えているように思う。

それに対してほとんどの一般人が、身近に死を感じることはないし、身近にあったとしても、直面しなくてもすむ場合は、怖いからできる限り考えない。

僕自身も例外ではなく、頭では理解しているものの「死」にはまともに向き合えていなかった。

そんな中、今回経験したキツめの「虫歯」は、一般人にも比較的身近に発生するプチ「死」体験だといえた。


1 「虫歯」は万病の元である = その万病はしっかり「死」につながるやつ

まずこれはけっこうみんな知っている常識なのかもしれないけど、「虫歯」って万病の元らしい。しかもどれもけっこうがっつり「死」に直結する系の病気。

例えば、動脈硬化や心筋梗塞になりやすかったり。これはデンタルケアを怠ったことで、増殖した歯周病菌が血管の中に入り込み毒素を出すことが原因。

あたりまえだけど、外部環境との接点である口はすごくいろいろな菌が入ってくる上、温度も湿度も菌が繁殖するのにちょうどの環境らしそんなところに虫歯や歯周病が原因で、穴ができたら、そこからいろんな害のあるものが入ってくるようになるらしく、これはすごく納得した。

ほかにも糖尿病とか肺炎とか、いろいろ細菌感染が影響するらしいうえに、歯がなくなると咀嚼による刺激が脳にいかなくてボケるとか、バランスを崩した時に踏ん張りにくくなってこけやすい、とかいろいろデメリットがあるみたい。

めちゃくちゃ大切な割に、あまりその重要性を知らなくて(というか聞いたことはあったけどそこまで深刻に捉えていなかった)、今回、ちゃんと勉強して再認識。「虫歯」というのが言葉通り「死」につながる具体的な仕組みや、予防策としての口腔ケアについてもしっかり考える機会になった。


2 「虫歯」はめちゃくちゃ痛い = 「死」もめちゃくちゃ痛い

つぎに、当たり前なんだけど、虫歯ってめちゃくちゃ痛い。

冒頭にも述べたが、本当に進行した虫歯は神経が直接やられているので、まじで気絶しそうになるくらい痛い。ロキソニンはカロナールみたいな一般的な痛み止めももちろん効かない。

これはもう本当になってみないとわからないとおもうけど、少なくとも僕にとってはこれまでの人生で経験したなかでは一番痛かった。

小さい時から虫歯がテーマの絵本やアニメなどはよくあるが、あんな可愛らしいバイキンマンみたいなキャラで表現するのはやめてほしい。

なんとなく虫歯=こどもの病気、みたいなイメージで適当に捉えていたけど、恐怖のイメージとしては、もっと「死」に準ずるくらいのイメージが適切だとおもう。

虎に下半身を噛みちぎられるとか、腕に太い釘を打ち付けられるとか、顔の皮を剥がされるとか、それくらいシリアスでリアルな感じで脅かしてもらわないと、イタズラっ子っぽい黒い妖精がドリルでダダダッてやってるのは、ちょっと違いすぎるし、あんなんだと油断してしまう。

それくらいリアルでえぐい痛みが、応急処置がされるまでしばらく慢性的に続いていて、その時に思った。

「今回は虫歯なので歯の神経をとるなり、何かしらの処置をすれば痛みはおさまるけど、ガンとか難病とか怪我で死ぬ時って、こういう痛みがもっと全身にあって、しかもどうしようもなくあとは死ぬまでおさまる見込みもない、という状況もきっとあるんだよな」と。

歯痛がそういう病気で、このまま激痛がとれなくて、余裕もない精神状態のまま、家族や友人にもちょっと八つ当たりとかしちゃったりしながら、死を待つしかない状況って本当につらい。

病気や体調不良の人、加齢で辛い高齢者、病気がちな父の気持ちをもっとわかってあげないといけないし、もう30代なので健康維持をしっかり意識しないといけないこと、そして何より自分もいずれそのような「死」を迎えることになるかもしれないので、いまのうちにやれることはやらないといけないし、大切な人を大切にしないといけない、ということを身に染みて感じた。


3 「虫歯」は不可逆である =  「死」は不可逆である

最後に、これがもっとも重要だと思うポイントなのだが、人間は「不可逆」なものが怖いらしい。

その根幹は、生と死、有限である時間という資源を失うことから来ているらしいが、逆にいうと、ビジネス的なテクニックで、「返品・交換無料!」とか「キャンセル可能!」とかで、この「不可逆」を打ち消すようにしたら売上UPに繋がるとかどうとか。

「虫歯」もまた身近な「不可逆」で、歯の治療は基本的に元通りになる、ということはなく、削れば削っただけ、歯がなくなり、なんとなく他のもので代替したり見た目を整えるだけ。一度失うと、もう、もとには戻らない。

それぞれが手持ちの資源として与えられているはの量は一定で、死ぬまでの数十年の間、それをいかに保ち続けるか、という一度限りの一発勝負を強いられている。

子供のころに永久歯に生え変わるし、そもそも体の一部にしては比較的数が多いパーツなので、なんとなく歯というものに「無限性」を感じていたけど、じつは全然そうではなくて、しっかり「有限」。

いうなれば両手両足の指みたいなもんで、指を切り落としたらもう生えてこないのと同じくらい当たり前に生えてこない。

「虫歯」になって、歯の処置をしたことで、幼い時、20歳くらいのときには全く感じなかった自分の体の「老い」とか「加齢」そういう「不可逆」の一種をリアルに感じて、眠気と痛みの狭間で意識が朦朧している中、同じ不可逆の王様である「死」をも強く意識せざるをえなかった。



今回、「虫歯」になって痛みに耐えたり、治療をしたり、いろいろ勉強したことで、そもそも「虫歯」は万病の元だし、「死」を連想するほど痛いし、なにより「不可逆」を身近に感じることで、プチ「死」体験をしたように感じた。

まだ「死」について考えたことがない人は、機会があればぜひ「虫歯」で、プチ「死」体験をしてみてほしい。

幸運にも、いま「虫歯」があるひとは、あらためてそういう目線で、「死」について考えを巡らせてみてほしい。自分の人生や時間との向き合い方も少し変わるかも?

もうひとつ、「虫歯」=プチ「死」体験のいいはところは、毎日習慣で歯磨きやフロスをするたびに、この「死」への意識、人生の有限性への意識を呼び覚ませる機会になるということ。

僕自身も、今後も毎日しっかり歯磨きとデンタルフロスをしながら、今回感じた「死」への感覚を日々忘れないように、自分の人生に向き合っていこうと思います。


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