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フリーランスエンジニアが東京から仙台に移住してみた

筆者はスマートフォンアプリのエンジニアをやってるのですが、このたび会社を辞めてフリーランスになったこともあって、2019年8月に東京から仙台に移住してみました。
まだ引っ越ししたばかりですが、「東京を離れるってどうよ?」とか「仙台どうよ?」ということについてちょっとだけ書いていきたいと思います。

TL;DR

・勢いで仙台に移住してみた
・仙台は東京に近い。新幹線で90〜100分。
・家賃は安い
・繁華街が大きくないので、仙台駅前周辺に行けば大体の用が足りる
・なので仙台駅そばに住んでみたら、大体の用が徒歩10分圏で足りる
・仕事は付き合いのある東京の会社からいただいているため、ここでは仙台の仕事や就職の話はあまりしません

筆者について

私は社会人になって以来ずっとソフトウェアエンジニアをしています。組み込みやベンチャー、Web系企業といったソフトウェアの中でもいくつかの業種の経験していますが、一貫してソフトウェア開発の現場でソースコード書いたりしています。ここ最近はiOS/Androidのアプリ開発が主。
前職は副業OKだったこともあって、サラリーマンの本業とは別にフリーランスエンジニアとしても仕事をしており、フリーランスは今年でもう6期目。年々仕事が増えてサラリーマンとフリーランスの二足のわらじが現実的ではなくなってきたので、フリーランス一本にするためにこのたび今まで勤めていた企業を退職しました。フリーランスを機に仙台に移住。

この記事で話題にしないこと

フリーランスとしての移住なので、本記事では「宮城や仙台の就職状況」「UターンやIターン」みたいな話はしません。加えて、フリーランスになってそこそこの期間がたっているので、本記事では「フリーランスになったばかりだけど地方に移住してみた」みたいなサバイバル術的な話をするわけでもありません。その点ご了承ください。

一人での身軽な移住です。なので仙台での教育や学区の話、お得なスーパーの話や生活費の状況といった生活の話もここではできません。

私自身は北東北の出身で、関東圏で生活する前は6年ほど北海道にいたこともあって豪雪地帯の生活が長いです。仙台の雪の状況やそれにまつわる生活について訪ねられても「仙台全然雪降らないっすね」くらいのことしか答えないと思いますが、関東以西生まれの方とは雪や寒さに対する感覚が違うと思われ、一般的感覚からしたら見当違いのことを言っている可能性があります。その点も合わせてご了承ください。

なぜ東京を離れることに?

前職ではテレワークがかなり推進されており、その中で私はテレワークを最大限活用していたこともあって週あたりの出社が1〜2回くらいの状況でした。1週間の中で東京にいる必要があるのは週のうち1〜2日しかないのに、東京の高い家賃を払い続けるのはどうなんだろう?という気持ちがあったのがまず1つめ。

スマホアプリの開発をしているとユーザーインタビューやアンケード、ユーザーの動向調査みたいなことをすることがあるのですが、その調査結果を見ると東京のユーザーとそれ以外の地域のユーザーって「違う」ということが見えてくるケースがあります。アプリのユーザー動向を追うだけでも地域の特色を感じるのですが、その中でも東京のユーザーはやっぱり「特殊」だなと感じることは多いです。平均ITリテラシーが他地域よりもかなり高いことがうかがわれたり、新しい情報や流行に対して敏感であったりよく知っていたり、生活のサイクルそのものが他の地域と違ったり、などなど。
東京の会社の東京のオフィスで東京に暮らしている人(または東京近辺に暮らしている人)に囲まれながら働いていると、いつのまにか自分が「東京に染まっているなぁ」と実感することが最近増えました。アプリやサービスの企画について検討するときも、UIのデザインに意見を出すときも、「自分の意見が『東京の人』のことしか想定できてないんじゃないか」とか「車社会のユーザー(←日本の大半の人)はこの機能を作っても本当に使うのか? 無意識に電車移動中の空き時間の利用を想定してしまっていないか?」みたいな自問をするのですが、最近ではこの自問の答えに自信がないことが増えてきました。自分自身は地方出身で地方の生活はそれなりに長いはずなのに、この辺の感覚が分からなくなっているのを感じます。
なので、「これは『東京じゃない感覚』を取り戻す必要があるかもだぞ…」と思ったのが2つめ。

そんなさなかに、付き合いのある会社にフリーランスになるにあたって「東京以外の場所で仕事してもいいっすか?」と聞いてみたらダメって会社がなかったのが3つめ。
お話ししたどの会社も既に遠隔にいるエンジニアと普通に仕事をしているみたいでした。

といろいろあるのですが、実際のところは東京で住んでいた賃貸のオーナーが変わったことに伴う管理会社の変更があったのですが、この新しい管理会社がどうも仕事ができない感じがすごくてこっちに不利益がでそうだった(実際にここで引っ越さないと少々の不利益が出る状況だった)ので移住の1ヶ月前の2019年7月に引っ越しを思い立ったというのが実情です。東京から仙台に移住を決める理由としては自分でもしょっぱい理由だなと思うのですが、前々から検討だけはしていたので思い切って移住してみました。
管理会社の件がなければ、年内くらいは東京に残ったのかなという気がしています。

東京はいろんな人がいて面白いしご飯も美味しいし、住環境に折り合いがつけば楽しい場所なので、私としては東京はとても好きなのですが。
なので、もしかしたらオリンピックが終わったあたりとかに東京に戻る可能性はなくはないのかなという気がしています。

なぜ仙台を選んだのか?

出勤するべき場所が無くなり日本のどこに定住してもよさそうな状況になったため、仙台以外にも札幌や福岡、金沢、甲府、長野県の上田、名古屋あたりが候補にありました。
けれど、私自身はテレワークには慣れているとはいってもテレワークのみという状況は初めてで不安もあったので、定期的に東京に行ける状況にしたかったのと、何かあったときに東京にある先方のオフィスに駆けつけられる安心感が欲しかったために自宅のドアから山手線内の先方のオフィスまで2時間程度の場所に限定することにしました。
その結果、札幌・福岡・金沢が候補から落ち、仙台・甲府・上田・名古屋が候補に残ったのですが、この中で一番生活が楽そうだなと思ったのが仙台だったので仙台を選んでいます。
仙台ならば、仙台駅から東京駅までは新幹線の「はやぶさ」で90分〜100分程度と時間上では東京とは大分近い場所になります。
ほかにも仙台を選んだのは、私が東北出身で候補の中で仙台が他よりも幾分か身近だったのも大きいと思います。

今回仙台でテレワークしてみて、東京の近くにいなくてもよさそうと判断すれば次は札幌や福岡なんかも候補に入ってくるのかなと思いますし、逆に東京にいた方がよさそうだと判断すれば東京に戻るのかなと思います。
これがどういう結果になるのかは今から楽しみです。

仙台の住環境、家賃について

「仙台の中心街にある賃貸の家賃」と「山手線から乗り換えて数駅くらいのところにある賃貸の家賃」を比べると、仙台の方が東京の半分くらいかなという感覚。
逆にいえば東京都内山手線からちょっと外側に住める程度の家賃を払えば、仙台駅徒歩数分から10分以内くらいで倍以上の広さの賃貸が借りられるくらいかなーという感じです。ワンルームや30㎡未満の部屋だと仙台の方が2〜3割安い程度なのですが、部屋が広くなるほど割安感が増していく感じがします。

私は東京の頃よりもちょっと家賃を上げたところ(東京では家賃安めのところに長く住んでたため)、仙台駅徒歩10分以下で広さは以前の2倍以上の50㎡超の物件で、コンビニもスーパーもヨドバシも東急ハンズもユニクロもジュンク堂も丸善もTOHOシネマズも徒歩圏という場所にマンションを借りることができました。
徒歩10分圏内で生活が完結しそうでヒキコモリが加速しそう。

仙台で自家用車は必要か

自家用車については仙台駅近辺は駐車場が1ヶ月2万円を超え、平面駐車場だと3万円を超えてたりとわりと高いです。ですが、駅前に生活に必要そうなモノがそろっているのと、仙台駅を中心に南北と東西に地下鉄もあるので、自家用車なしでも生活はできそうという感じ。今のところは自家用車を買う予定はありません。
カーシェアも近くにあるのですが、私自身が車の運転を日常的にしなくなって長いので、カーシェアを積極的に使うことは今のところ考えていません。

ですが、これは実際に生活を始めてから気づいたのですが、東京近郊では電車と徒歩で行けない場所というのはまずないのですが、仙台には「地下鉄の沿線から外れるところにある『電車やバスでは行きにくい場所』」というのが結構あります。これは完全に盲点でした。
半ば勢いで仙台駅そばの繁華街の中心近くに家を借りたけど、実のところ「郊外に家を借りて車買った方が良かったんじゃ…?」と思うことはそこそこあります。

物価について

まだあまり仙台で買い物をしていないのですが、今のところ家賃以外に物価の差を感じることはありません。
野菜とか魚とかは東京よりは安いのかなーという感じはうっすらとありますが、少なくともすごい安いということはなさそう。

物価の差を狙って仙台に住むというのは難しそうです。

仙台からのテレワークについて

やっと引っ越しが落ち着いて生活が立ち上がったという状況なので、仙台で東京の仕事がやっていけるかが分かるのはこれからかなという感じです。
今のところ一度だけ打ち合わせのために東京に行きましたが、新幹線なら往復で3〜4時間で、ネット環境を確保しておけば車内でも仕事ができそうでした。
仙台から東京まで新幹線なら往復で約2万円と高価なので、どれだけ東京に行く回数を増やさないようにできるかがこの生活のコスト的な頑張りどころかなという感じです。とはいえ、この辺のコストをキリキリとケチって気にするのも面倒という気持ちもあるので、個人的にはこの辺はあまり気にしないようにしています。

仙台のIT事情について

仙台のIT界隈とはつながりがないので状況は分からないです。仙台のIT界隈の人ってどこにいるんだろう? 勉強会とかに行けばいるのかな?

仙台に引っ越しするにあたって一応は仙台近郊のソフトウェア開発関係の求人も目を通したのですが、東京のWeb系やベンチャー系の企業でアジャイル開発とかでバリバリ開発していたとかいうタイプのエンジニアだと、仙台は案件でも年収でも厳しそうな印象を個人的には持ちました。東京でいい感じにやれているエンジニアなら、仙台の求人サイト等に載ってる上限金額でも転職や移住は検討しがたいだろうなというお値段感です。
このあたりは仙台のソフトウェア企業に勤めている人などにもうちょっと突っ込んで聞かないと実態は分からない部分ではありますが、ソフトウェア開発でバリバリやっていきたいんだというなら、今のところどうしても東京以外の選択肢は無いのかなという気がします。

人生は仕事だけではないですし、子育てしていたり、アウトドアや車やドローンなどの趣味などがあると、地方ならば東京ではできなかったことができるようになります。そういうところが移住の面白さかなと思います。

今のところの仙台に来たメリット

上述の通り徒歩10分圏内で必要なものの98%がまかなえるのが大きいメリットと感じています。
東京にいたときは、コンビニとスーパーと飲食店以外のどこに出かけるにも最低片道40分くらいはかかっていました。以前は何をするにもそれなりに時間を要していましたが、大半の用事が徒歩10分で住むようになったことで、1日の中で使える時間がかなり増えたのと、出かける心理的ハードルがものすごく下がりました。

東京にいる間に映画「天気の子」を見に行こうと思ってたのですが、自宅から最寄りの上映館まで大体40分程度、映画が2時間ちょっと、帰宅が40分程度と半日くらい時間が取られるために結局行かないでしまいました。仙台なら徒歩数分で上映館があるため、先日の夜にその場の思いつきでレイトショーに行くことができました。万事がこんな感じなのでフットワークは軽くなったかなと思います。

今のところの東京を離れたことのデメリット

個人的にはエスニックが好きで特にネパール料理が好きなのですが、エスニックレストランの量とレベルは東京がダントツに高いという現実の前にちょっと屈しそうです。
仙台も駅前を中心にインド料理・ネパール料理店が何店かあり、ネパール人が経営していると思わしきネパール雑貨店もあるので、仙台近辺にはネパール人がそれなりにいるのだろうと思いますが(仙台市内で1100人ほどいるそうです)、今のところエスニックレストランについては東京ほどにはいい出会いがない状況です。東京ほどには選べないんだろうな…とは覚悟していましたが。
とりあえず、もうちょっと粘り強くあちこちのエスニックレストランをまわってみたり、同じ店でもいろいろなメニューを頼んでみるつもりです。
東京の目黒と西小山にあるバルピパルのせいで私の舌が肥えてしまっていたのを仙台に来て実感した次第です。

仙台で過ごしての雑感

・役所の窓口でも、宅配便の在宅確認の電話でも、レジでお金を払うときにも、大抵向こうが仙台弁なのでこっちが一瞬構えてしまう。
・8月半ばの日中って東京だとうだるような暑さだった記憶があるが、仙台はそこまで暑くない。
・メガバンクの店舗がごく一部にしかない。つらい。仙台で強いのは地銀の七十七銀行
・駅からほど近い吉野家で客がほとんど若い女の子だったのだけれど、若い女の子が一人で吉野家に行くような感じの県民性だったりするのだろうか? それともたまたま?
・レジ袋が有料なケースが少なくない。仙台でのゴミ処理が無料ではないことも関係しているのかも?
・駅前に必要なものがそろっているため、1度のお出かけで必要なモノがそろうのは楽。だけれど決してお店とお店が近いケースばかりではないので、いくつかの用事を済ませられる反面、結構な距離を歩く必要があることがよくある。
・地下鉄が高い。初乗りが200円。
・地下鉄がなかなか来ない。7分おきくらいなのですが、東京に比べるとそれでも本数が少ないせいか結構長く感じます。