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映画「竜とそばかすの姫」を見てSecondLifeを思い出す

細田監督は以前にもバーチャルワールド型SNSを題材にした「サマーウォーズ」という作品を作ったが、今回の「竜とそばかす姫」もバーチャルワールド型SNSをモチーフにした物語となっている。
個人的には「サマーウォーズ」におけるバーチャルSNSとその演算式という表現に不満があったので、今回のSNS自体にはあえて触れず、その中で行動しているアバターに焦点を当てた作りに非常に満足している。
そしてこれを見ると懐かしくなってくるのがSecondLifeというバーチャルワールドだ。

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公開当初は「RMT」を公式にしたそのシステムに注目が集まり、SecondLife(以後、SLと表記)で一財産築いた人を紹介しては話題になったものだ。
ちなみにRMTとは「Real Money Trade」の略で、ゲーム内通貨を現実の通貨に交換することを意味する。
SLの運営会社であるリンデンラボはこのRMTを公式に行ったのだ。

SLの中には多くのユーザーが生活しており、作った商品を売り買いしたり、自分の家や土地を買ったり、貸し借りしたりする。それを行うためにゲーム内通貨があり、ユーザーは現実の通貨でゲーム内通貨を購入するか、中で行われているcampという「滞在してもらうことに対する報酬」を得ることで稼ぐことができる。このcampがなんのためにあるかというと、現実世界に例えるなら「サクラ」だ。
店主が店が流行っていることをアピールするために、「滞在客数」を稼ぐため「特定の場所で15分滞在したら1リンデン$」などのアルバイトを募集する。
すると人の多い店や土地は検索で上位になるため、次々客が訪れて活性化する。活性化すれば売り上げも増える……という仕組みだ。

そんなSLを私が始めたのはRMTのためではない。
私の所属する会社がSL内に出展することになったからだ。
あいにくこのSL出展はあまり告知に結び付かず、1年ほどで撤退となったが、その頃には私はSLが楽しくて仕方なくなった。
このSL内で知り合った人と、現実世界であったりと今でも繋がりがある。
距離が関係ないため、例えば東京にいながら、北海道や九州のユーザーと集まって遊ぶことができるのだ。
これはプレステ3でも基本機能として模倣されたほどだ。

映画のようなフルダイブはできないが、モニターの中の世界と自分を投影したアバターにはまるで自分の分身のように愛着が持てるし、友達になった人のアバターにも愛着が出てくる。
これはTwitterのアイコンと同じで、慣れてくるとそのアイコンを見るだけで誰かわかるようになる。それはアイコンそのものが、その人を表すということだ。

SLの中ではアーティスト活動をする人も多く、バーチャル空間を使ったライブなども盛んに行われていたし、作った楽曲を販売する人も多かった。
(これが「竜とそばかす姫」を見て思い出した要因でもある)
定期的にラジオ放送をする人もいたり、本当にあそこだけで世界ができていたのが面白かった。

残念ながら今のSLは過疎だろうし、私も10年近く遊んだのにやめてしまった。
私の中ではいい思い出になっているが、また似たようなものが出たらまたやってみたいものだ。

ゲーム業界に身を置いたのは、はるか昔…… ファミコンやゲームボーイのタイトルにも携わりました。 デジタルガジェット好きで、趣味で小説などを書いています。 よろしければ暇つぶしにでもご覧ください。