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懐ゲー「Cyber Doll」

5chのとあるゲームのスレッドを見ていたら、こんな事が書いてあった。

「敵を倒して、パーツを奪って強くなるってゲームなかったっけ?」

ありました。

私が真っ先に思いつくのはセガサターンのサイバーパンクRPG「Cyber Doll」(アイマックス)です。

これはエンディングを迎えたとき、思わず目を疑い、もう一度プレイしてしまった程です。その理由は後述します。

そもそも「Cyber Doll」とはどんなゲームだったのかを説明すると、サイバーパンクの雰囲気ただようRPGで、主人公も多くの人々も体を人工パーツに置き換えたサイボーグが一般的になった世界。その改造により人体に武器を内蔵することで、犯罪率が異常に高くなった都市が舞台。主人公は犯罪組織を撲滅させるために生み出されたサイボーグ刑事です。とはいえ、刑事というよりもバウンティハンターのように、街でお尋ね者を見かけると問答無用でバトルを仕掛け、相手の体を破壊。そして相手の体に使っていた部品を強奪して換金、または質の良いものを見つけると自分のパーツと置き換えて強くなります。犯罪組織を追う内にとある女性を助け、なぜか彼女に好かれ、なんとなく恋人になってしまう(主人公も周囲も何故か彼女を恋人に認めてしまう)

バトルは武器による距離適性があり、ナイフや剣、チェーンソーの間合いである「近」、ハンドガンやサブマシンガン、ショットガンの間合いである「中」、ライフル、チェーンガンの間合いである「遠」、バズーカやランチャーの間合いである「極遠」の4段階があり、自分の使いたい武器や相手の使ってくる武器に合わせて間合いを調整して攻撃します。そして間合いが武器の適性を外れるとまぐれ当たりさえしなくなるというバランス。これは絶対で、ボスでさえ間合いを外せばまったくノーダメージで倒せますから、武器の間合いを見切れば初見でも楽勝です。

さて、ここからがネタバレ含む驚愕のエンディングです。

まず犯罪組織のボスがなんと自分の親父らしいです。ある科学者夫婦がいて、母親はこの都市のマザーコンピューターになったが、行き過ぎた政治をしたのでこれを止めようとした夫は自らを戦闘サイボーグに変えて、また犯罪組織を作ってでも抵抗していたらしい。

これを聞かされた主人公はマザーコンピュータに事実を問に行き、何故か戦闘に。戦いの最中「お前にあう娘を見つけて恋人になれるようにしてやったのに、何が不満だ」といきなり理不尽な強制恋人イベントがマザーコンピュータが仕組んだことをカミングアウト。そしてなんと、このラストバトルが驚愕の「負けイベント」!!! どんなに有利に勝っていても、突然主人公のターンがなくなり、主人公が死ぬまで「ずっと敵のターン」!!! そして主人公が倒れると犯罪組織のボスこと親父登場。サイボーグなので主人公より若い外見です。そして親父が自爆攻撃でマザーコンピュータを倒してしまう。「お前は逃げろ。 ……あの子が待っている」そういって爆死する親父。次のシーンでは爆発が続く施設の廊下を足を引きずりながら歩く主人公。長い通路の先、出口付近に彼女の姿が見える。そのときひときわ大きな爆発が起こり、主人公の姿は爆炎に飲み込まれ、彼女の写った視界が歪み……エンドロール!

「……なんだ、コレ?」

ラストの強制負けイベントで親父に助けられたと思ったら、彼女のもとにたどり着くことも出来ずに死亡だと?

ここで私は思った。

「ひょっとして、自分がマザーコンピュータを倒す展開に行けばいいんじゃないか?」

そしてレベルを上げ装備を整え、再度ラスボス戦突入。

マザーコンピュータの攻撃はすでに見ていたので、やつの攻撃が絶対に当たらない位置から強力な火器を叩き込む! こっちの体力はまったく減っていない。これなら負けイベになる必要もない。 ……だが甘かった。

こちらのコマンド入力がなくなり「ずっと敵のターン」に以降。しかし先のバトルシステムの説明で行ったとおり。「距離適性は絶対で、たとえ敵の攻撃だとしても絶対に当たらない」おかげで1時間放置してもこちらが死なないため、事実上の進行不能に。

仕方なく3度目のバトルで「ずっと敵のターンに入るギリギリで、相手の攻撃が届く位置に移動」 だが回避を上げすぎて避けまくる! 回避だけは乱数で失敗することもあるので、じっと自分が死ぬまでやっぱり1時間ほどまった。やっと膝を折る主人公、そして「やっぱり俺が必要のようだな」親父登場。 結局エンディングも変わらず。

どんなにこちらが強くても、イベントには逆らえない。

そういうゲームだった。

サイバーパンクの雰囲気は良かったが、本当にラストでぶち壊しになった作品でした。

ゲーム業界に身を置いたのは、はるか昔…… ファミコンやゲームボーイのタイトルにも携わりました。 デジタルガジェット好きで、趣味で小説などを書いています。 よろしければ暇つぶしにでもご覧ください。