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努力なくして儲けなし

Twitterで「楽をしょうとする人は儲けられない」という書き込みを見て「確かにそうだ」という実例を思い出した。

今はコロナのせいで行われなくなったが、以前は月に一度フリーマーケットに参加していた。
どちらかと言えば妻がやっていて、私は手伝いばかりだったが、私の妻は「どうすれば買ってもらえるか?」を常に考え、工夫していた。

まず通行人に足を止めてもらうために看板を作った。
看板と言っても、ダンボールの裏に、商品名と値段を書くことが基本だ。
「天然石ブレスレット 500円〜」というふうに。
それだけでも集客が変わる。
そして、商材が小さいので、手にとって見やすいように、台を用意して客の目線に少しでも近づけた。
以前はシートに置いていたので、ディスプレイにも立体感が出て見栄えも良くなった。

さらに改良し、プリンターを使ってキレイに印刷したものを貼り付けた。
すると以前より視認性が上がったので遠くからでも目立つようになったので、もっと人が寄ってくるようになった。

次に妻は全ての品に値札を付けた。
一つ一つつけるのは面倒だが、実はこれをする前後で売上は変わった。
「わざわざ声をかけてまで値段を確認するくらいなら、買わない」という人が、見るだけで値段を知ることが出来るわけだ。
「この値段なら買ってもいいかな?」という人が買ってくれるようになったのだ。

さらに妻は集客を上げる工夫を考えた。
ゲーセンで取った細々した景品、メルカリでセット売りされていたが自分には不要なものを透明な袋に複数入れて「お楽しみ袋、一袋300円」として大量に用意した。
これに目を留めた子供が足を止めると、親も立ち止まるしかない。
二人以上の足止めが出来る。
人の心理というのは、人の集まっている場所に興味を持つので、誰かが楽しそうにしていると別の人を引き付けるのだ。
結果、妻の出店スペースには人だかりが出来るようになった。
全員が買ってくれるわけではないが、確実に売上は増え、多い月では2万円ほどになった。

「あなたのところは売れていいね」
同じく出店している人によく言われた。
ちなみにその人のスペースを覗くと、妻のメイン商材の天然石ブレスレットと被っていたが、値段はどこにもない。
しかもせっかく足を止めてくれている客に声もかけない。
完全に受け身で、ただ売れるのを待っているだけだった。
参加料が約3000円なのだが、当然ながらいつも赤字らしい。
そのうち、その人は出店を止めてしまった。

もちろん、労力を惜しまない人は妻のやり方を取り入れ、売上を増やした人もいる。
「ゴメンね、真似しちゃった! 商材は被らないようにするからね?」
なんて言ってくる人もいた。

それから場所選びも重要だ。
たまたま私達が参加していた会場は、商業ビルの入口〜中庭だったのだが、中庭には屋根があるので、みなそちらを選びたがる。
誰も外を選ばないので運営スタッフがメインで使っていた。
私と妻はあえて外を選んだ(雨天以外)。
ここは天候の影響を受ける。
風が吹けば商品が飛ぶし、埃も被る。
定期的に埃を払うのは面倒だ。
だが、ビルに入る人以外にも通りを歩く人に見てもらえる絶好のロケーションだ。
もちろん外のスペースに移動してからの売上は中庭の頃を遥かに凌ぐ。
暑い、寒いはあるが、それに耐えれば売上は上がる。

『フリマなのに何本気になってるの?』
なんて思われるかもしれない。
『私は人とのコミュニケーションを取りたいから、あえて値札は出さないの』
そう言って声掛けさえしなかったあの人。
結局は労を惜しんで勝機を逃している言い訳にしかならないのだ。

ゲーム業界に身を置いたのは、はるか昔…… ファミコンやゲームボーイのタイトルにも携わりました。 デジタルガジェット好きで、趣味で小説などを書いています。 よろしければ暇つぶしにでもご覧ください。