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パールピアス

硬く閉じた貝を開けその身の中から顔を覗かせた真珠に胸が高鳴る。

私が取り出したものは美しい白で少しだけ涙の形みたいに一箇所だけきゅんと盛り上がっていた。

可愛い。

まんまるではない所が世界で一つの私だけの真珠という気がした。

ピアスにして早速耳に。嬉しくて写真を撮った。

これから御守りとして毎日つけようと思っていたのに気づくといつの間にか消えていた。

真珠を取りだしたことも耳につけたことも夢だったのかもしれないと思うほどあっけなかった。

所在無さげに私の手のひらに残る貝殻。

私の耳から滑り落ちた真珠はもしかしたら生まれ育った海に帰りたかったのかもしれない。

そう思ったけれど諦めきれずになくなるまでにいったお店を一つ一つ訪ねて探してみた。

みつからない。

そして日が暮れ暗くなりもう見つけるのが難しい時間になってしまった。

それでも最後にお昼に食事をした海辺のお店へ。

まずは店内へ。

やはり落ちてなかったとのこと。

そして舗装のされていない駐車場へ。

車を停めたあたりにヘッドライトあてるときらっと光る。

あっ!と小さな窪みに手を伸ばすと私の真珠のピアス。

ひっきりなしに車がくる所なのに踏まれもせず拾われもせず何事もなかったかのようにちょこんと私を待っていた。

見つかるとは思っていなかったので本当に本当に嬉しく、そして離れた分余計に愛おしく思えた。

もしかするとこの真珠はずっと一緒に過ごす人を探していて、私が愛情をもっているかどうか試したのかもしれない。

そんなことを思った。

これから私と過ごす時間がこの真珠にとって心地よい時間になりますよう。

海風も連れて歩こう耳元にパールピアスは涙のかたち ぼたん


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