【第24回】シナリオ分析実践ガイドSTEP5-2:リスク対応・機会獲得のための今後の対応策の検討
今回紹介する内容は、これまでのSTEPで把握された事業インパクトの大きいリスクと機会に対して、どのような対応策をとっていくかを検討するプロセスになります。
1.対応の方向性の検討
シナリオ分析の結果として、業種にもよりますが、気候変動による長期的影響は、マイナスの影響として把握されるケースが多いのではないかと推測されます。継続企業であれば、何もしなければマイナスになる事が想定される場合に、何らかの対策によりマイナスの影響を回避する、転嫁する、軽減する、といったリスク管理活動を行っていると思います。この点は気候変動でも同様ですが、TCFD提言で求められているシナリオ分析は、時間軸がかなり長期であり、おいている仮定なども現在の延長線上にはない不連続なものであるケースが多く、このような分析から得られた結果に対して、具体的な対応策を打ち出すことが難しいケースが少なくないと思われます。
TCFD提言では、「気候関連のリスクと機会に対する自身の戦略にどの程度レジリエンスがあるかを記述すべきである。」とされており、シナリオ分析実践ガイドにおいても「どのような状況下でも対応しうるレジリエント(強靭)な対応策を検討しておくことが重要である」としています。一方で、上記の事情も踏まえ、シナリオ分析実践ガイドでは「TCFD 提言で言うところの対応策は、企業が行うより具体的な対応策(事業分野の変革、低炭素投資等)を求めているが、一足飛びには不可能である」との認識が示されており、「対応の方向性を大まかに決め、その後の継続的な検討を実施する中で対応策を具体的に検討することも一案である。」とし、下記の図のようなレベル感の対応策を紹介しています。
【リスク対応・機会獲得のための今後の対応策の検討】
2.対応策の開示例
現時点の先行事例では、シナリオ分析を実施して影響を算定している企業も多くはなく、更にその対応策まで開示している企業は更に少ない状況です。開示企業の対応策についても、上記のような対応の方向性を開示しているケースがほとんどです。
【対応策の例①】
【対応策の例②】
次回は、今回の現状把握を基に、今後の対応策を検討するプロセスについて紹介します。
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