【冷房の効いてるところ独特の匂い ブラック・マジシャン・ガール 】(/青松輝「NAMING LIGHTS」)の話

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冷房の効いてるところ独特の匂い ブラック・マジシャン・ガール
/青松輝「NAMING LIGHTS」

 いや、明らかに〈ブラック・マジシャン・ガール〉の方が、独特な匂いがあるだろう……と思うのだけれど、それは自分にとって〈ブラック・マジシャン・ガール〉が非日常な存在であるから(実際は、そんなことない気もする)で
たしかに冷房の効いてるところで、独特な匂いだと感知することは比較的日常的に起こりうる。のだけれど、冷房の効いてるところでの独特の匂い感知によって〈ブラック・マジシャン・ガール〉を幻視することは容易い。厳密には、この一首の享受によって容易くなった説はあるのだけれど、もともと「冷房の効いてる」と〈ブラック・マジシャン・ガール〉にある独特な匂いには親和性があるような気がする。し、独特な匂いを認知することで「冷房の効いてるところ」だと気づくことと、独特な匂いによって〈ブラック・マジシャン・ガール〉が出現することにも、親和性がある。
 それは〈非日常〉という媒介による親和性だと思う、というようなことを、この一首を読んで思いたくなる。

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