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オープンまでちょうど1ヶ月になった日
お店ドアができた。

少し涙が出た。

いよいよ。私のお店ができる。
背筋が伸びた。

約2ヶ月のロングランの工事。
私のわがままに工務店さんもよく付き合ってくださったと思う。

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奇想天外なことを考えることって年々難しくなる
29歳で自分のお店を持つということ自体
13年前の私にとっては奇想天外なことそのものだった

大人になると奇想天外なことを思いついても
なんだか踏みだせなくなったり考え込んでしまう

奇想天外な思いつきを通せるほど
私は怖いもの知らずでもないし

どちらかというと考え込んでしまい取り越し苦労もざらである
小さい頃は奇想天外なことをたくさん考えるのも朝飯前だったのに。

でも、その奇想天外のひとつが叶いそうな瞬間って
とんでもなく清々しい気持ち。

透明というか、新品の気持ち。
なんだかそわそわする。オープンして2か月経った今でもそんな気持ち。

私の中の奇想天外は私の常識を覆すことで
初めて具現化する

他者の中の常識は私の奇想天外な思い付きに関係ないし
なにを言われても
私の芯は誰にも曲げられたくなかった

私の中にあるなんか、あたたかい何か。
突き動かすもの、抽象的な表現だけれども
わくわくそわそわする楽しい奇想天外な思いつきをこれからも私は大事にしたい


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と、言ってもお店を持つということは
難しく面倒なこともたくさんあった

それも女性ひとりというだけで
差別的なことも言われたし傷付くこともあった

慣れたけど

それも家族の全面的なサポートがないと難しいこと

自分の我を通してしまうがために周りを巻き込んで申し訳ない

文字通りわがままを貫き通さなければ作れないので
葛藤は大いにあった

だってひとりじゃなんにもできないから。
本当に周りの人すべてに感謝してもしきれない。

苦しい!息できない!わかんない!わー!どうするの!
って言う暇もなかった。

人間って崖っぷちになると本当声が出ない。
振り返っても記憶が乏しい。

ただ、こんなに切羽詰まる想いをしたのは
後にも先にもこれが最後であってほしい。

自分の弱さも強さも向き合うことができた
貴重な時間にもなった。

まだまだ弱いなぁ。
強くなりたいって思ってたけど、
それ私向いてないなって改めて思ったりした。

強さはいらないから優しさを持ちたいなとしみじみ思った。

優しいって多分、1番強い。

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私のお城を作る上で私はこれだけは
絶対に譲りたくないものを決めた

美容室を生涯君に決めた!みたいになるってなかなかないと思う。

でも、一回でも何回でも
君に決めた!って選んでくださった人は
大事な時間と労力を使って来てくださってるわけで

だから、決めてくださったからには私
全力で期待に応えたい

だって美容室決めてどんな店だろう!って
初めていくから緊張するなぁって思いながら
ドアあけて席に着くまでの何分間か
わくわくとドキドキ、すごいと思う。

お客様の貴重なお時間を預かって
私はその貴重なお客様の時間を使って
お客様を綺麗にするんだから
そこに持てるだけの私の技術を惜しみなく提案して全力で挑みたい

それが直接伝わるようなお店も
ちょっと暑苦しいから
まるくゆるやかに私の言葉でお客様にそれをお伝えしたい

絶対譲れないことは私の心にギュッといつでも
持ってるよう心がけてたりする。

合う、合わないは仕方がないから別として

君に決めて良かった!のためなら
どんな技術も習得したい

シンデレラに魔法かける
フェアリーゴッドマザーみたいな気持ち。
これからもずっと忘れたくない。

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お店を開いて間もなく
今大分で教師をしているお客様が
わざわざこちらに出向いてくださった
昨日まで一緒に居たみたいにお話が弾んだ。

楽しい素敵な時間。

時には香川から、東京から、福島から、海外から

あやのさんみたいな美容師他にいないですよ。
と、笑顔で言ってくれる。

選んでくれて、帰ってきてくださって
本当に心の底から嬉しい。誇らしい。


その度、やってきて良かったと思うし
帰ってきてくれた時、
どんな時も変わらない笑顔と接客で挑みたいのだ

大事な芯だけは絶対に曲げない。誰にも曲げさせたくない。

君に決めた。がドアを開けたあの日あの時から
一生ものになるような
そんな場所にiroをしたい。
これからも、アップデートする努力は惜しみたくない。

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大事なことは、一緒。いつも、一緒。

きっと現在も昔も選ばれること。の本質は
こんなにデジタル化された世の中でも
一緒なんだと思う。

そう。iroを形成するすべては
お客様ひとりひとり。

私ひとりだけじゃ絶対作れない色がある。
私はいつまでも色に例えるなら白でいたい。

だから、また気が向いたらでいい。
違うサロンにちょっと浮気してもいい。
希望のお日にちで予約が取れなくて申し訳ない。

でも、いつかまたどうか気兼ねなく
笑顔で会いに来てほしい。

様々な人の色、形

違うに決まってる。違って正解。
正しいなんてない。間違いもない。

美しいになにも垣根はないから。

それを心ギュッと持って今日も私は笑顔でiroで
君に決めた!って思って貰えるよう鏡に向かう。



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