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認知症世界の歩き方【読書感想文】

こんにちは、おまきです🌷

本屋さんで、たいてい表紙が見えるように配置されていて、ずっと気になっていた本がやっと読めました~!

こんなひとにおすすめ! 

*認知症介護をしているひと
*身近に認知症の方がいるひと
*高齢の家族がいるひと
*認知症に関心のあるひと

認知症世界の歩き方


【2022年上半期、日本でいちばん売れた認知症の本】(日販・トーハン調べ)
だそうです。
そりゃどこの本屋さんでも主役の顔して陳列されるよね。

そこそこ分厚い本ですが、絵や図もたくさんだったので読みやすかったです。
2時間かからずにサラッと読み終えることができましたので、気になる方にはぜひ手に取っていただきたいなあ。



本のテーマ


この本は「認知症のある方が生きている世界」を、実際に見られるように。という思いからつくられたそうです。

医療従事者や家族、介護者視点での論理的な内容ではなく、「認知症のある方」へのインタビューを行い、その内容をまとめたものになっています。

「旅人の声」として、認知症になって困ったエピソードがたくさん掲載されているため『できないことに対して、当事者たちはこんな思いで受け止めているのか。』と新しい発見がありました。



認知症は、ただ忘れていく病気ではない


この本の中では、認知症によって起こるトラブルが散らばっています。
そのネーミングセンスがわたしには刺さりまくり。

  • 乗るとだんだん記憶をなくす「ミステリーバス」

  • 誰もがタイムスリップしてしまう住宅街「アルキタイヒルズ」

  • 時計の針が一定のリズムでは刻まれない「トキシラズ宮殿」

  • 一本道なのになかなか出口にたどり着かない「服ノ袖トンネル」

などなど。

目次(世界地図)を見ただけで『うわ~分かる~』ってなるようなネーミング。
こんなユーモアのおかげで、ちょっとシビアな内容でも暗くならずに読めるのかも。


この本で言う認知症とは「認知機能が働きにくくなったために、生活上の問題が生じ、暮らしにくくなっている状態」のこと。

認知症の方とあまり接する機会のない方は「最近のこと忘れちゃうんでしょ?」くらいの認識かもしれません。
でも、認知機能が低下すると「物事の捉え方」「思考や判断、言語化」「五感での感覚器官での反応」など、さまざまな機能に影響が及んできます。

認知症の種類もよってもそうですし、人によって「できること」も「できないこと」も本当に様々です。

「認知症だからこれはできない。」と頭ごなしに否定するんじゃなくて、「この人はこの作業が苦手なんだな。じゃあこうサポートしよう!」っていう風に想像できる本でした。



「会計」ってとってもハードル高い


わたしがこの本の中で一番印象的だったのが「カイケイの壁」
「この世界屈指のクライミングスポット・カイケイの壁は、なんと、とあるスーパーマーケットの目の前にそびえたっています。ほぼ直角のこの壁を登り始めると…。」っていう設定も好き。

元々「認知症があると小銭が全部同じに見える、ってよく聞くなあ。会計って難しいんだろうなあ。」とは思っていました。

でも今回学びました。
いやいやいや!!会計って想像以上に難しすぎるやろ!!!

というのも、「会計」という行為は分解すると
「金額を聞く」
「金額を覚える」
「小銭と紙幣の組み合わせを計算する」
「必要なお金を計算する」
「お金をつかむ」
「店員さんにお金を渡す」
という6つの手順に分かれます。
意外とやること多いんですね。

認知症の方にとっては「記憶の壁」「計算の壁」「錯覚の壁(お金の色と形を見分ける)」「注意の落とし穴(店員さんの声かけやBGMに気を取られたりする)」「空間の壁(トレイにお金を置く)」というトラップがたくさん。
どこかのトラップにひっかかると、とたんに動作が止まってしまうのも納得…。

こんなトラップまみれの作業も、なかなかないよな。
会計って侮れん。


最近進んだキャッシュレス決済は認知症の方にとってもありがたいシステムなようで、「金額を言われたら画面を出す」ことで会計が終わって助かる、という声も紹介されていました。

高齢者ってこういうデジタル化についていくの大変だなって思っていたけど、活用できれば助かる人ってたくさんいるんだなという発見でした。



まとめ

前半は認知症の方が迷い込む世界を分かりやすく紹介されていますが、後半はガイドブックとして、困ったり悩んだりしたときのための情報がたくさん書いてありました。

認知症の方と一緒に生きていくためには、まずその病気と症状を正しく理解することが大切です。

当事者の声を聴くことができるのは、正しい理解への近道だと思います。

「できない」ことがたくさん紹介されてはいますが、ユーモアたっぷりなので楽しく読むことができました。

認知症について勉強したいけど、たくさんあってどれを読んだらいいのか分からない…っていう方にはまずおすすめできる本です。

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