見出し画像

女子サッカーへの感謝

私が大学1回生の初夏の話。

家に帰ると私立女子高に通う二個下(高2)の妹がこう告げる。

「私、サッカー部に入ってマネージャーすることにしてん。」





私は大反対した。


そもそも妹は中学生時代に決して安くは無い楽器を買ってもらい、高校でも音楽を続けていた。

ただ、他の高校のようなよくある『吹奏楽部』ではなく、『音楽部』といった名目で、部員数もまったく足りていなければ、まともな顧問もいない、という
状況だった。

そんな中で音楽を続けるのは正直、気の毒だなと思いつつも、

なにかを途中で投げ出して、最後までやり遂げない、ということ自体に私は強く反対した。


そして、それもまた今まで無縁だった運動部、
そしてサッカーというスポーツ。

その部活は地元では有名で、
他県からも選手が集まってくるような女子サッカー強豪校。

練習もスケジュールもハードだ。
スポーツが苦手で病弱で華奢。
そんな妹が周りと足並みをそろえて着いて行けるとは思えない。

幼い頃からサッカーに捧げてきた選手たちを
サッカーに特に思い入れもない妹にサポートしきれるとは思えない。


しかし、
私の決して前向きではない思いや発言を受けてもなお、妹の決意は揺らがなかった。



サッカーのルールを覚えること
体力をつけること
選手と信頼関係を深めること

入部して多くの課題を抱えつつも
妹は生き生きしていた。


新たな世界に踏み出す人間ってこんなに眩しく輝いて見えるんだ。
素直にそう感じた。


大きな決断したをした人に対して周りができることはただ一つ。
サポートすること。


毎日、嬉しそうに
「今日はこんなことがあってん〜」
と話してくるので聞いてあげた。



最初は聞いてあげていた、という気持ちが強かったのが本音ではあるが
いずれは私が聞きたくて聞いていた。




そこで私は
「サッカーに人生を捧げる女子」に出会う。


15歳で親元を離れ、寮生活を選んでまでサッカーをする女の子

毎日片道2時間かけて他県から通う女の子

めちゃくちゃ可愛くて美意識も高いのに、プレーになるとかっこよく豹変する女の子

男勝りな性格と見た目でそこらの男子よりもイケメンな女の子


感心・尊敬・憧れ


そのどれもに値する感情が生まれた。


そして私はそのチームのファンとなり応援することを決めた。


妹は体調により電車に乗れない時期があった。
その時は試合会場まで送迎し、そのまま試合を観戦した。

ウェルネスパーク五色(淡路)、六甲アイランドのINAC神戸のクラブハウス(神戸)、大商学園(大阪)、時にはビッグレイク(滋賀)まで足を運んだ。


正直、この経験が私の行動範囲を莫大に拡大し、友人に引かれるほど足を軽くした大きな要因だと考えている。

おそらく昔の私だったら、関西学生サッカーリーグの会場でいうと三木防にしか行けてない。

現地で観戦するということは
試合観戦におけるモチベーションの土台となる。


その土台を作ってくれた女子サッカーにとても感謝している。



今年度の関大女子チームには多くの強力な部員が増え、
新たな風が吹いていると聞いた。


そう教えてくれた彼は嬉しそうに
「女子チーム初のインカレ出場の場面に立ち会えるかも」
とその話を私に聞かせてくれた。


そして、先日初めて女子チームの試合観戦ができた。
応援したいと思えるチームがまた1つ増えた。


きっと私は
これからも女子サッカーと妹に感謝し続けるのだと思う。




p.s.【女子サッカーを始めるきっかけ】

女子サッカーに触れてから素直に疑問だったのが「この子達はなにをきっかけにサッカーを始めたのだろう」
ということ。


多いのは、家族の影響なのかな。


私が小学生の時はやはりまだサッカーは男の子のスポーツで、地元の少年サッカーチームに女子メンバーが2,3人いるほどだった。


高校生全員、年下にも関わらず
彼女たちに憧れ続けた私は

何度も
「サッカーしとけばよかったな…」
と思った。

そのことを母に言うと
「お母さん、実はな小学生の時サッカーしとってん〜」
と返ってきた。


え、え、えーー!!
やらせてよ!やらせといてよー!


とまた何度も思った。


新しいことを始めるに、早いも遅いも無いのは分かっているが、

素直に幼少期にサッカーを始める環境があった選手のことを羨ましく思う。

そして、同時に女子サッカーの発展を強く強く希望する。

W杯がたのしみだ。







この記事が参加している募集

サッカーを語ろう

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?