見出し画像

コロラドトレイルを振り返る"7/27〜9/10/2022"[日本発からデンバーモーテル到着まで]

なんとなく文を書きたくなり、コロラドトレイルでの体験を振り返ることにした。
こういうのはきっと歩いている最中に書き留めているものがリアル感あっていいのだろう…が少し経過してから振り返るのもいいじゃない。

いやしかし、時間が経ちすぎると忘れてしまうし、経過後故の脚色は入ってしまいそうなので頑張ってさっさと書こうと思う。


2022年7月27日、僕はハイキング仲間のじろさんと共にアメリカ合衆国のコロラド州中心部デンバーに立った。
この日からおよそ1ヶ月と2週間、アメリカで生活をした。

ロッキー山脈を歩くコロラドトレイルを始めるためだった。
40Lのバックパックを背負ったおじさん2人、主に僕がやらかすロングディスタンスハイキングの始まりだ。


出発まで

僕が海外のトレイルを歩きたいと思ったきっかけは2021年8月にみちのく潮風トレイルを歩いた時だった。
トレイル上で会ったハイカーがPCTを歩くという。
アメリカにあるPCT、AT、CDTのトリプルクラウントレイルと、ニュージーランドにあるテ・アラロアくらいは知っていた。
元々アメリカ西海岸のロックミュージックや映画、ファッションなどが好きで、いつかその街並みを訪れてみたいと思ったこともある。
その文化が生まれた主要な街を通るPCTは憧れの対象だ。

その思いは一時的に膨れて、歩行許可の申請合戦にも参加した。
結果としては許可は取れず、PCTは後の人生のお楽しみとなった。
きっといつか行けるだろう。

そんなわけで8〜9月で考えることとした。
どこに行くか色々と見てみるがなかなか決まらない。
●Colorado Trail
●IceAge Trail
●Buckeye Trail
●John Muir Trail
●Tahoe Rim Trail
●Florida Trail
●Superior Hiking Trail
大小様々とにかくアメリカにはたくさんのトレイルがある。これ以外にもめちゃくちゃある。どんだけ広いんだアメリカ。

その中でもColorado  Trailはホームページがしっかりと出来ていて、情報が豊富だった。
迷い切っているところで、仲間内から「やなさん、コロラドでいいんじゃないすか?もういいすよ。」と飽きられ気味の意見も出ていたところで、コロラドトレイルで進めることとした。
データブックと地図を買い、少しずつ準備をする。
僕は歩くのが遅い。
かなり長い期間を設けて歩こうかなぁといったところで
じろさんから「近い時期に行くんだし、向こうでの宿泊代とかも節約できそうだし、なんなら一緒に行きますか?」と声をかけてもらった。
というわけで、2人旅が決定する。

今回僕は、仕事を辞めて行く。
7年間勤めた会社を辞める時は流石に少し寂しかったけれども、新しい体験へのワクワクが圧倒的に勝っていて何も躊躇いはなかった。

「突然で申し訳ないのですが、退職をさせていただきたくて…」
7年間共に働いた直属の上司に告げた。
「どうして?」と上司は驚いた。
僕は「ハイキングが好きすぎて、アメリカに歩きに行きたいんです。流石に2ヶ月の休みは無理かと思って。」と返した。
「そういう理由で辞める人は初めてでビックリしたよ。でもいいね。好きなことやりに行くのか。」と応じてくれた。

借りていた部屋を引き払う準備をし、部屋のものをたくさん処分した。
残しておきたい荷物は実家に置かせてもらうことにした。

そういえば家族には「仕事やめて、アメリカの山行ってくる」としか話していなかったな。
実家に荷物を持って帰った時にきちんと話をした。
割と自由奔放な父なので、「なんだか面白そうなことやってくるんだな。」とそれだけだった。
理解があって大変助かる。いや、理解しているのか、それとも田舎の父には理解の範疇を超える突拍子もないことなのかは分からない。
まぁとにかく何事もなくコロラドトレイル行きが進行していく。

少しの間東京の部屋と実家を行き来していた。
そのため、こんな状態で数週間生活をした。
慣れると割とこれで十分とも感じる。

荷物がない生活は軽やかで快適だ。
身の回りのものを一度ゼロにしたいくらい。
無くしてから足していったほうが人生は豊かになるのではないかと思う。
その少ない状態をキープすることが実に難しい。
それほど社会は物がたくさんあり、そして気軽に買えるくらい安いものが溢れている。

有給消化に入り色々と身辺整理をしていた。
たまにくる職場からの連絡を対応しつつ、有給休暇がたくさん余っていた僕は、アメリカにいる間に退職日を迎えることとなった。

前職の人たちには「頑張ってね」「熊に襲われないようにね」「死ぬなよ」などなど…色々な言葉を掛けてもらった。
キャンプやハイキングを通じて知り合った友達には壮行会をしてもらった。
東京都三鷹市にあるロングディスタンスハイキング向けのショップ"ハイカーズデポ"の土屋さんとニノさんには海外トレイル情報等々でたくさんお世話になった。
その縁で出会ったハイカーの先輩たちにも色々と情報をもらい助けてもらった。
当の本人は初めてのアメリカに浮き足立ちつつも、実感は薄く、これからフライト時間14時間の遠い国に行くなんて気持ちはあまりなかった。


三鷹のいつもの中華そば店があるビルに集まる
キャンプ仲間

今回のコロラドトレイルでは、じろさんが作った新しいシェルターをテストすることとなった。シェルターメーカーの名前は「Blue Traverse Gear」

少し前にようやく手元に届いたSuperior Wilderness Designsのバックパックに、リッジレストとUGQのキルト、シェルター、その他必要なものを詰め込んだ。
「足りないものは向こうで買い足したらいい」旅慣れたじろさんが一緒なので心強い。
1人だったら、色々と詰めて持ち込み重量をオーバーしていたかもしれない。


出発からデンバーのモーテルまで

いよいよ出発の日。
日暮里から成田空港まで向かう。
7年借りた部屋最後の日。
退去してそのままアメリカに行くなんてちょっと無茶なお願いを聞いてくれた不動産屋さんにも感謝だ。
東京に引っ越す人がいれば是非おすすめしたい不動産屋さん。
国際線は数年前にタイへ旅行に行ったぶり。
荷物を計量すると、重量はクリア。
バックパックのフレームがあるため、寸法がギリギリでそこが怖いなーと思っていたが、細かく計測されることはなく意外やすんなりと通った。

僕はというもののずっと浮き足立っている。
海外旅行自体が久しぶりなので、めちゃくちゃワクワクしている。
飛行機に乗るのも好きだ。
テイクオフの瞬間はなんとも言えぬ高揚感を与えてくれる。

昔ロンドンへ行った時、そのときも確か14時間だったと思う。
その時は無限に続くんじゃないか?というくらい飛行機内で過ごす時間が長かったが、32歳になった今や割とあっという間に乗り換えのロサンゼルス国際空港に到着した。
いや、機内食が配られている瞬間だけは長く感じた。
機内食オプションをケチったのだが、食べている人を見るとすごく美味しそうだった。

ここで一度降りて、国内便に乗り換えデンバーに向かう。
当然だが、英語表記しかない。
周りの人らはみんな英語で話している。
飛行機を降りた後に感じる「遠くに来たんだな」的な空気。

とりあえず一服。喫煙所探しが難航する。
アメリカの喫煙事情がわからなく不安なので、ルールを守りたい。
英語で怒られでもしたら訳がわからなくて泣いちゃうかもしれない。
でも全然わからないので現地の人がタバコ吸ってるところで吸った。
あれ?結構喫煙事情ルーズなの?

ぷらぷら歩いているとようやく喫煙所を見つけ再度一服。
Can I ○△× lighter?おや?なんだか小慣れた英語でじろさんが話しかけられている。「ライター?あぁいいっすよ!」じろさんが日本語で返答する。
「!?日本の方でしたか!なんか雰囲気ですみません、日本の人じゃないかと思って。ありがとうございます。」
日本から来た若者だった。
僕もじろさんも濃い顔立ちしてるから、確かにそう見えるかもね…。

お腹が減って、空港内でハンバーガーと楽しみにしていたIPAを早速。
めっちゃ高いやんけーと思いながら、浮き足立っていたので我慢できなかった。
英語わかんねーけどにっこり笑顔でThis one please,Thank you とか言っておけばにっこりsmileで店員さんが対応してくれる。
自由の国アメリカ。ちょっと気だるそうだけど、話しかけるとフレンドリー。
シャイな日本人の僕は「お、友達できちゃったぜ!」なんて勘違いしそうだ。

アメリカ一発目の食事。
意外とあっさり。素材の味が美味しいハンバーガー。

乗り換えの時間までロサンゼルス国際空港でたむろ。免税店にゃ興味ねーぜ!
なにせ僕たちゃバックパッカー!

空港内の喫煙所。
ここではナイスな鼻歌を鳴らす人が。

デンバー行きの飛行機に乗り込む。
小さい、小さいぞこの飛行機。
持ち込みサイズギリギリのバックパックを添乗員さんにごそっと少し頭上のラゲッジへぶち込まれていざデンバー。

デンバーに到着すると時刻は20時。
ロサンゼルスとデンバーで時差1時間ある。
同国内で時差あるってどんだけ広いのユナイテッドステーツ。
またしてもお腹が減ったので、空港内のマクドナルド。
安心のマクドナルド。味は全く一緒。量もほぼ変わりないかな。飲み物がどでかいだけ。
でもお値段は日本の倍以上しちゃう。
物価たけぇぇぇ。

腹ごしらえが終わり、Uberで移動する。
電車が通っていて、アクセスはいいんだが初めてのアメリカ。夜電車に乗って、徒歩してモーテル行くのちと怖いなってことでUber使っちゃうもんね。

「チャイニーズ?!」
うわ、ちょっと陽気なんだかラリってるのかわかんないテンションのドライバーがきた。
「ノー、ジャパニーズ!」
とりあえず知っている単語で返答しておく。
「日本に行ったことある?」と聞いてみる。
「ないねー!●×△□●△」ないねー!のあと何言ってるかわかんないけど、なんだかペラペラ喋ってたドライバー。
ありがとね!
とりあえず夜遅くに最速で届けてくれたのでチップを弾んだ。

Motel6 Denverに到着。
とりあえずこの日はシャワーを浴びてパタンと寝た。

続く

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?