選び続けること。

なんだか心がふわふわしていても、お腹は空く。トイレにも行きたくなるし、眠くもなる。

理不尽なことがあっても、悲しみにうちのめされても、身体は生きようとしている。



『地獄の花園』を観た。

随所に登場するますのさんはタイミングといい雰囲気といい、いい味出してくすっと笑えるいいアクセント。菜々緒さんをはじめ、喧嘩シーンは見応えありで、キャスティングの妙が光る。総務部で魔王と呼ばれるOLにエンケンさんをお願いしようとは思わないでしょう。小池さんと室井さんは特にハマり役でした。広瀬さんが特訓を経て挫折を乗り越え、自分のアイデンティティを取り戻そうと奮闘する姿も好きです。ヤンキー漫画みたいでしょ?永野さんが実は最強という展開だって、分かってても胸アツだよ。王道じゃん。

そしたらオチは、友情エンドでいいはずなんだ。

夕日の決闘して、「やるじゃねぇか」「お前もな」「いいパンチだったぜ」って勝者が敗者に手を差し伸べる。私たち最強!!って更なる伝説への幕開けを感じさせたままで終わってもいいじゃん。

堂々とスクリーンいっぱいに映し出された「完敗」の文字。後ろで彼氏といちゃつく敗者を置き去りに、勝者が誰に見送られることなく去っていく。

喧嘩が強くなくてもかっこいい彼氏がいれば勝者?

仕事もできて喧嘩も強いのに彼氏がいなきゃ敗者?


なにそれ。引いた。

バカリさんのことは好きだしキャラ設定もアクションも本当によかったのに、オチで私は「2度と観るもんか」と思ってしまった。だって主人公としても現実でも、仕事ができて後輩や同僚と仲が良くて上司にお土産の分配任されて別部署からも相談されて解決してあげて会社のために働けて喧嘩が強いほうが勝者じゃん。

彼氏のいない女は、ただそれだけで全員負け組。そう言ってるようなもんだ。



私はそれをきっと選ばないだろう。

誰かと在れる空間は、居たいと思う気持ちは、素晴らしいと思うしそんな人と出会えることが奇跡だと、尚強く思う。それでもそうは生きられない人もいる。そうしたくとも出来ない人もいる。

揚げ足をとるように思われるかもしれないが。みんながみんな喜ぶ、賛同するものを創るなんて不可能だと私も思っているが。

せめて傷つく人が少ないエンタメを続けていってほしいな、と強く思う。

端っこでこんな風に文章を公開する身としても、物語だろうが感想だろうが、結末の行方はしっかり選んでいきたいと思う。

お付き合いいただきましてありがとうございました。