【雑感】2022/4/18 浦和vs山東泰山(ACL GS-MD2)
今回も23時KOで試合を観た直後に書いているので手短に。
この試合の前に行われたライオン・シティ・セーラーズvs大邱では、下馬評では浦和との2強になるのではと言われていた大邱が0-3で敗れたことで、浦和はグループ首位に立つことが出来ました。
中国勢はお国の都合で若手主体の編成でしたし、大邱戦での4-5-1から5-4-1への変更はあったものの、最終ラインがペナルティエリアのラインにかからないくらいの深さで、中盤はそこからなるべく距離を空けずに2ラインをコンパクトにすることに注力していたのかなと思います。
ボール保持者に強くいくというよりは相手選手を捕まえることが重視されていて、だからこそ浦和はショルツが運んだり、山東の中盤ラインの前でボールをさらしても前向きなアクションが出てくるわけではなかったように思います。また、ゴール前に人数をかけておけばどんなチーム相手でもそう簡単にはシュートコースが空かないので、そういう点で割り切っていたのかもしれません。
浦和は2CB+2CHがビルドアップ隊として3-1の形で後ろに残り、明本をCFで固定した状態で保持を行いました。ビルドアップ隊の4人以外は相手のブロックの中に潜り込んだり、相手の中盤ラインを越えるくらいの高さで大外にスタンバイしたり、そもそも山東がプレッシングをほとんど行いませんでしたが、少しでも下手な矢印を出せばその裏は使えるようなポジションを取り続けられていました。
小泉のスタート位置が少し右寄りだったことと、ショルツがグイグイ右ハーフレーンを運んで侵入してきたこともあって、関根か宮本のどちらかがWBの背後へ抜け出せるような場面が頻発しました。
関根と宮本が頻繁に内と外を入れ替わり、山東の右WBが外から内に入ってくる選手にそのままついて行くことが多かったので、それと入れ替わりで外に出れば簡単にフリーになれるし、そもそもボールを運んできたショルツへ制限がかからない場面が多かったですね。
どちらが内でも外でもというのは左の馬渡と大久保も共通でしたが、明本は中央がスタート位置だったので、どうしても2人でやりきらないといけないような状況が多く、個人の技量に差があるとしても5-4で構えたところに突っ込んでいって突き破れる確率は決して高くないので、左からはなかなかチャンスが作りにくかったように見えます。
セーラーズと比べると中盤ラインを越えた後に構えている人数がそもそも違うので、ハーフレーンをえぐったところで余裕をもってクロスを出せるほどの状況にはならず、悪くないんだけど点が取れない展開が続いてしまいそうな雰囲気も漂うのかなと思いましたが、関根が見事なターンで相手を外したところから最後は明本がこぼれ球を押し込んで先制し、その後すぐにPKで追加点を取ることが出来たので、ここで一気に気持ちは楽になりましたかね。
相手がそこまでボール保持者に制限をかけてこないという要素はあったにしても、これだけ相手の裏へ抜け出す動きが活発になっていることはとてもポジティブなことだと思います。
外の選手がハーフレーンの選手にボールを当てて飛び出すというのも、これまでは見ることが少なかったのではないかと。多少パターンのようになっても良いから裏を狙うアクションをデザインしておいても良いのではないかと以前どこかで書いたような気がしますが、それに近しいことがこの試合では出ていたのかなと思います。
後半に入るところでショルツと小泉は交代。おそらくこれはプレータイム調整のために事前に決まっていた変更でしょう。そして、後半の最初の方はビルドアップの形が前半とは変わっていましたので図にしておきます。
シャルクが左SHに入り、大久保が中央へ移っただけでなく、馬渡のスタート位置がビルドアップ隊に組み込まれるようになりました。ショルツから岩波への交代は昨年もカップ戦では45分ずつという運用をしていたので想像通りでしたが、ショルツから岩波に代わることで対角へボールを飛ばして前半よりも馬渡や左SHの選手にスペースがある状態でボールが渡るようになるのかなと想像していました。
ただ、図にした通り馬渡がビルドアップ隊、シャルクは内レーンをスタート位置にしていたので初期配置の段階では左外が不在でした。時間が経つにつれて知念を少し左にずらして、その分馬渡が外へ押し出されるようになっていきましたが、後半も左を使っての前進はなかなかうまくいっていないように思います。
65分に馬渡に代えてユンカーを投入し明本を左SBへ移すと、明本が左外の担当になり、前半と同じように2CB+2CHが3-1の形(今度は柴戸が左に下りて安居が中央)になりました。ユンカーをわざわざ使うのかと思ったりもしますが、シャルクを左SHで起用しながら左に外担当を置くとなると明本を移動させた方が手っ取り早かったのかなとも思いました。
そもそも5バック相手なので対角に飛ばしてもスライドが間に合う可能性が高いそうということもあってか、明本が左外に出てからも岩波から対角のボールはありませんでしたね。それよりは人を見る傾向が強い相手だったので、中央で人が流動的に動くことで穴が開くことを目論んだのかもしれません。岩波もショルツほどではないにしても運んで相手のブロックの中へ侵入したり、ズバッとブロックの中へ縦パスを差し込んだり、ある程度人が多い場所であってもゴールに近い場所から選択していたように見えました。
後半は早い段階でコーナーキックのこぼれ球から相手ゴール前を左右に振ってシャルクの初ゴールが入り、その後には見事なFKまで披露してくれました。何か飛び道具的なものを持っているわけではないように思いますが、スペースの見つけ方とか単純なボール扱いやキックといった一つ一つの技術はとても高い印象ですね。
シャルクは東京戦ではトップ下でしたが、今回は左SHから中に入って来させていて、どこが適正ポジションなのかはリカルドも探っている段階でしょう。個人的には大久保を左にしたまま相手をちょっと広げられるような選手と組ませてギャップにスッと入ってもらう方が上手くいきそうかな?と想像はしています。ここは今後どのように幅が出てくるのか楽しみにしたいと思います。
終了間際には安居にも初ゴールが生まれてシャイな笑顔を観られて満足です。正直ACLはもっとヒリヒリした展開こそが醍醐味で、そういうものを期待していた部分もありますが、良い意味でリーグ戦での出遅れを取り戻すキャンプという感覚でこの6試合を使えそうな状況になりつつあるので、それはそれで悪くないかなという感じでしょうか。
手短にと言いつつ普段とあまり変わらない文量になりそうなのでこのあたりでやめておきます。
今回も駄文にお付き合い頂きありがとうございました。