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三年計画の定点観測(2022年J1第4節~J1第5節)

◆前書き
昨年も書いてきた1か月程度の間隔で試合内容や会見のコメントなどを拾いながらクラブが提示した三年計画、コンセプトと照らし合わせて考えていく「定点観測」シリーズを2022シーズンも行います。


◆3月の戦績

3/2 (Wed) J1 第10節 (A) vs 川崎 ●1-2
3/6 (Sun) J1 第3節 (H) vs 湘南 ○2-0
3/13 (Sun) J1 第4節 (A) vs 鳥栖 ●0-1
3/19 (Sat) J1 第5節 (H) vs 磐田 ○4-1
3/20 (Sun) TM(45min×2) vs 順天堂大学 3-0
3/26 (Sat) TM(45min×3) vs 作新学院大学 9-0

※リーグ戦 2勝0分2敗 7得点4失点(+3)

第10節川崎戦、第3節湘南戦は前回の月報に含んでいるのでここでは割愛します。ご興味ある方はリンクを貼っておくので見て頂ければなと。


ざっくり言えばリーグ戦は内容は良くてもなかなか結果が出なかった4試合と、それに比べれば内容はもう一つな部分が多かったもののなんとか初勝利を掴めた湘南戦というのがそこまでの流れでした。

ちょうどこの月報を書いた直後にクラブ公式から柴戸のインタビューが掲載されていました。大事そうな部分を抜粋しておきます。

(湘南戦前までの手応えはありつつ結果が出ていないころはチームとしてどういう雰囲気でトレーニングしていたのか?)
「チームとしての雰囲気は全く悪くありませんでした。自分たちがやっていることは間違えていないというおもいがありながら勝てていないことで、選手一人一人が『もっと自分がやらなければ』となっていたと思います。逆にそれは試合に勝てなかった要因の一つだと思います。勝てないときこそチームが大事です。個人で頑張ることも大事ですが、個人で頑張り過ぎるとその選手の負担はかなり大きくなり、難しくなってしまうということはプロになってからのここ数年で感じていることです。そういった意味では、一勝できたことで、今まで取り組んでいた自分たちの行いは間違っていなかったと全員の自信になったと思います。それまでのトレーニングの取り組みもそうですが、雰囲気も全くネガティブな要素はありませんでしたし、一勝したことで全員がまた新たに上を向いて次のステップに進めたと思います。」
(進化、覚醒している手応えを感じるが、体の向きやポジションの取り方、ポケットの使い方で意識していることはどんなことか?)
「意識していることは、ボールに寄りすぎないところで、中間というか、ある意味、曖昧なポジションを取ることです。ボールとつながるというよりは次の選手とつながるようなポジションを取ることを意識しています」

(流動的に動いていく中で、スムーズに動けるようになった手応えはあるか?)
「まだまだな部分はたくさんありますが、昔と比べるとかなり良くなっていると思います」


1つ目に引用したものは、クラブ全体がシーズン前から「今年は結実の年だ!」「リーグ優勝を目指すぞ!」「Hungry for Victory!」と鼻息を荒くしていて、プレシーズンには選手からも同様の言葉が出ていましたし、だからこそ「自分がやらねば」という気持ちがより強くなったとも言えるでしょう。

また、2019年にクラブが「浦和を背負う責任」という言葉を打ち出しましたが、「責任感」というのは良く言えば「自分で解決しようとする姿勢を持つこと」になりますが、裏返せば「人に任せても良いことも自分でやろうとしてしまうこと」とも言えます。

なので、柴戸が結果が出なかったことの要因として「選手一人一人が『もっと自分がやらなければ』となっていた」という考えに至るようなチームの雰囲気だったことは、一歩引いた広めの視野で見れば、クラブとして明確に目指していることがいよいよ浸透してきたという見方も出来るのかなと思います。

「リーグ優勝って風呂敷を広げて肩に力が入りすぎてるから目標を下方修正して楽にしてあげようよ」というような言葉を見かけたことがありましたが、個人的にはそうではないかなと思っていて、クラブとして目指している方向に進んでいて、当たるべくして当たっている壁がやってきた、だからこれを突き破ることでさらに強くなれるはずだ、というのが責任原理主義穏健派としての意見です。


そして、3/10にはモーベルグが前日の合流に続いて加入会見を行いました。昨年の江坂や酒井の時などと同様にここでも西野TDも同席し質疑応答がありましたが、相変わらず西野TDのコメントは興味深いです。

西野TD
「ダヴィド モーベルグ選手の獲得についてですが、去年から今年にかけての編成のポイントとしてペナルティーエリア付近、もしくはその中でのクオリティーの向上が大きな課題でありました。そこで、ダヴィド モーベルグ選手にオファーし、合意して加入してもらえることになりました。彼には攻撃面でチャンスをつくるところ、そして自らゴールを取るところ、そして、すでにレッズにいる攻撃的な選手にゴールを取ってもらうべく、質の高いパスやクロスを供給してもらうところ、FK等も含めて、大きな期待をしています。」
(西野TDに質問です。ここ5戦の1勝1分3敗という成績をどう捉えているか?)
西野TD
「もちろん最終的な結果、勝ち点に関しては全く満足していません。一方で、やろうとしていることや日々のトレーニング、トレーニングキャンプからの積み重ねという観点で言いますと、試合中に選手たち、チームが出しているパフォーマンスは本当に日々進歩できていると思っています。もちろん第1節からの結果は大事ですが、それほど悲観はしていません。着実に力は付けられていると思っていますし、今は必要な学びの時間だと思っています」
(西野TDに質問です。前線の選手のさらなる補強という話もあったと思うが、現状はどうか?)
西野TD
「先ほど背番号の話が出ましたが、9番は空いていますし、前回のようにウインドーが空いている限りは獲得できる選手がいないか、継続してやっています」


引用が連続してしまいますが、さらに3/11にはリカルドの定例会見があったのでそこからも興味深い部分を抜粋します。

(J1リーグ5試合が終わり、成績には満足していないと思うが、内容で良くなっていると感じることは?)
「結果は伴っていませんが、良いものがたくさんあったと思います。11人対11人の状況では、相手にダメージを与えながら相手を上回り、相手より勝利に近い形でプレーできたと思っています。そこが昨季とは違うと思います。昨季は内容で上回られる試合もありました。試合を見ていてもそう感じますし、ビッグデータなどのスタッツを見ても相手よりいい数値を残すことができています。出場停止の選手やケガ人などがいて、選手が少ない中で戦ったことも考えながら総括すると、ポジティブだったと思います。今メンバーがそろったところで連勝できるようにしたいと思います。今は勝ち点が少ないので、順位をどんどん上げていきたいと思っています」
(柴戸 海選手がいろいろな選手の良さを盗んで成長しているということを言っていたが、昨季から見ていて彼の姿はどう映っているか?)
「非常にチームに貢献してくれる選手だと思います。ボランチは5人ともレベルが高く、いい競争があると思います。海の特長は、相手からのボール奪取能力だと思いますが、理解力も非常に良くなってきていて、ボールを持ったときのプレーも良くなったと思います。川崎戦でも良かったと思いますが、(岩尾)憲と佑一を起用したのは、(伊藤)敦樹や海が疲れているからであったりしました。ベンチからスタートしてその後にピッチに立ったときでも、プレスやボール奪取を見せてくれますので、どの立ち位置からスタートしても、非常に良いと思います。ゲームメークも昨季と比べて非常に良くなっていますし、向上心を持った非常に性格の良い選手だと思います。貢献力は高いと思います」


3日間で選手、監督、フロントの3つの視点からそこまでの試合内容、結果についての言及がありましたが、「結果には満足していないが、内容は充実しているのでこれを続けていくべきだ」という趣旨は共通しています。もちろん、対外的に不信感を示すようなコメントをする場ではないから当然と言えばそうかもしれませんが、きちんと意見を揃えて発信できているのは良いことだと思います。


そろそろ、試合の内容に話を進めていきますが、鳥栖戦は保持、非保持のどちらもスピードを上げて向かってくるスタンスの相手に対して上手く自分たちのペース(どちらかと言えばスピードを落としてプレーしたい)へ引き寄せきれずに苦しみました。

DAZNの中継でのインタビューで川井監督は「我々は守備も攻撃と考えている」といった内容のコメントをしていましたが、ゴールに対して向かっていくのと同じエネルギー量で相手ボールに対して向かっていくというのは、昨年までの鳥栖のスタイルの延長線上にあると思いますし、昨年の主力選手をこれでもかというくらいに抜かれたにもかかわらずチームとしてのコンセプトをはっきりと示すことが出来ているのは素晴らしいと思います。


相手がスピードアップしたいスタンスの時にその勢いに飲み込まれがちなのは昨年から続く課題ですが、これについては一度日付を先に進めて3/25のリカルドの定例会見を見てみたいと思います。

(相手が効率よく守ろうとしてくるチームに対しては、うまく逆を取って進められていると思うが、鳥栖や京都のように勢いをつけてプレスをかけてくる相手を剥がしきれていない印象がある。それはグループでやることがもっと必要なのか?それとも個人個人の力がもっと必要なのか?)
「ビルドアップが良ければ、その後の展開が全て良くなっていきます。チャンスというのは、そういうところから生まれるものだと思います。プレスをかけられるとビルドアップが難しくなりますが、ハイプレスで来られたとしても、相手を見ながらプレーすればビルドアップできると思います。そのためにはさまざまなバリエーションを持っていなければいけませんし、全員がそれを理解して実行できるようにしなければいけないと思います」
(24日に日本代表が情熱的な試合をしたが、情熱と冷静に試合を進めることのバランスについてどう考えているか?)
「チームのスタイルにもよると思いますが、それをミックスすることが大事だと思います。たとえば、FCバルセロナを見ても、シャビ(エルナンデス)監督が来たばかりのころは、慌ててプレーしようとしてミスを犯していましたが、レアル マドリード戦では非常に落ち着いてバランスよくプレーしていたと思います。早く行こうとしてミスを犯してしまうことは避けなければいけません。守備は力強さや速さが求められますので、情熱をしっかりと持ってやるべきですが、攻撃は緩急をつけて、いつリズムを変えてスピードアップするのか考えながらプレーすることも大事だと思います」
(プレッシャーがある試合だと早くゴールを取って楽になりたいという心理が働くと思うが、鳥栖戦の際にダイレクトプレーが多くなってしまったという話をしていた。レッズも結果が出ない時期に焦ってしまうことがあると思うが、選手が急いでいるときにどういったアドバイスをして落ち着かせようとしているのか?)
「そういった状況で出す指示というより、常々言っていることは、どのようにペナルティーエリアの中に侵入していくのか、シュートポイントはどこなのか、押し込んだところでどのようなところにポジションを取るのか、また攻撃を仕掛けているときの相手FWをしっかりと見てリスクマネジメントするということです。それをすることによってカウンターを避けることができますし、連続して攻撃を仕掛けることもできると思います。必要なポジションに選手が入りますが、そこで2人が同じスペースに入って重なることは避けながらやっていかなければいけないという話もしています」

「相手を見ながら」はリカルドのチームの合言葉的なものだと思いますが、この言葉に補足を入れるならば、「相手のアクションを見るために、相手より先にポジションを取った状態を作る」ということが必要になります。

バックパスが最終ライン、あるいはGKまで来た時に岩波やショルツが一目散にボールを受けた選手と同じ高さまで下がって、相手選手から離れつつ相手ゴール方向に体が向いた状態でパスを受けられるようにしているのが頻繁にみられますが、これは自分がボールを受ける時に相手を見られるようにしておくためです。

これが出来るようにするためには、取るべきポジションの理解、ポジションを取りにいくタイミングの理解、そしてそのために足を動かす体力が必要です。川崎戦の後に馬渡が「疲れてくるとサポートの質が落ちたり、そういうところを少しずつサボったりすると引っかかってくる」というようなコメントをしていたように、頭では理解できていても体がついてこないということも起こり得ます。

「良い守備から良い攻撃」という言葉が呪文のように使われていますが、リカルドからすれば「良い攻撃から良い守備」の方がやりたいのだろうと思います。なので、保持の間のポジショニングに気を遣うし、スペースがあるからといって慌ただしくプレーすることはあまり奨励されないということはリカルド体制での浦和を見て行くときには留意しておいた方が良いでしょう。


鳥栖戦は雑感で書いたように岩尾がその周辺の選手のポジショニングの板挟みになっていたのは、「取るべきポジション」の整理をうまくできていなかったのかなと思いますし、それに加えて開幕からの連戦の疲れはようやく1週間の間隔が空いたくらいでは癒えていない、離脱した選手のコンディションを高めるには時間が足りないという点で「足を動かす体力」を確保できていなかったのかもしれません。

前半の途中で酒井のスタート位置を前目に変えたり、後半は酒井が前に出て空いたスペースに敦樹が下りたりすることで鳥栖のプレッシングの目線を変えようとしましたが、鳥栖の両WBはあくまでも外レーンの一番前まで出てプレッシングというスタンスは崩さず、結局はそこの部分でボールを奪われて失点してしまいました。そう言えば鳥栖はあのポジションを昨季から「ウィングバック」ではなく「ウィングハーフ」と呼んでいますが、その通りのタスクだと思います。今後鳥栖の試合について言及するときはWBではなくWHと書くようにしましょうかね。


磐田戦に向けてのトレーニングでは練習に参加できる選手が増えてきたからこその充実感があったことが定例会見でうかがえました。

(今週は決定力を高めるための特別なトレーニングを行ったのか?)
「今週はそういったところにも集中してトレーニングしました。攻撃のトレーニングもたくさんやりましたし、シュート練習も行ってきました。同時に、ペナルティーエリア内での守備も修正しました。この前の試合ではポジショニングのミスがあり、それが失点になってしまいました。そのように、いろいろと積み上げることができました。ほぼ全員でトレーニングできましたので、いい1週間になったと思います。(ダヴィド)モーベルグが入国できていなかったり、新型コロナウイルスの陽性者がいたり、ケガ人がいたりして、少ない人数でトレーニングをしていた時期もありましたが、ようやくほぼ全員でトレーニングできるようになりましたので、トレーニングの質も上がっています」
(記者席で見ているとリカルド監督がどういうところに相手の穴を見つけているのかが理解できるので楽しいが、一方でスペースが空いているのにパスがずれてしまったり、コントロールに時間がかかって相手が間に合ってしまったりするようなことも目につく。戦術を機能させるための選手の技術をトレーニングでどのように高めていきたいのか?それは時間がかかることなのか?)
「鳥栖戦に限っていえば、選手と話したところ、グラウンドの状態もあまりよくはなく、非常にやりにくかったそうです。ですので、ボールコントロールが乱れることもあったそうです。相手のプレスが強かったこともあったと思います。ただ、全体的に話をしますと、確かにスペースや選手が見えているけれど、技術のミスでボールが届かないことはあります。それを解消するために必要なトレーニングは、私はまず一つは適切な狭いスペースでのトレーニングだと思います。狭いスペースでプレーできるようになれば、広げたときにより楽にプレーできます。ですので、そのような環境でポジショナルな部分を含めてやることが大事だと思います。ミクロからマクロにつなげることが一つの考え方です。もう一つはゲームの場面を切り取り、それを提示しながら行うトレーニングだと思います」


リカルドは定例会見の中で磐田について「特に遠藤(保仁)選手を使ってボールをキープしながらサッカーをするチームです。3センターバックがいて、5-4-1で守りますので、その守備をいかにこじ開けるかというところです。」と表現しましたが、試合でもまさにその通りの内容になったと思います。

そもそも磐田は鳥栖のように「相手ボールに向かっていく」というよりは、「相手が入ってきたところでボールを取る」というスタンスのチームなので、浦和の方はビルドアップでポジションを取るための時間は確保しやすかったのは大きかったと思います。試合開始早々から意図的なポジショニングによってボール前進できていましたし、その流れからきちんと先制点を奪えました。

また、この試合ではようやくユンカーがスタメンに復帰し(とはいえ45分で下がりましたが)、早速ゴールを取れたのは良かったですね。プレッシングに力を割けていないあたりも含めてまだまだ本調子ではないと思いますが、モーベルグの初ゴールも含めて結果は出るに越したことはありません。

個人的にはそれ以上に岩波に代わって犬飼がスタメンに入って、ビルドアップで岩尾と前後を入れ替えたりしたようにとても柔軟な対応をしていたのは好印象でしたし、鳥栖戦までの懸案だった岩尾とその周囲の選手の関係性は最終ラインと中盤ラインの組み合わせ方と動かし方で一つの最適解が見えたように思います。

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ハーフタイムでの関根→モーベルグの交代に伴って中盤の並びとCBを左右反転させたことも、それまでのショルツの運びたいスペースに岩尾がいる点であったり、一番岩尾が向いているのでは?というアンカー役に敦樹がいる点であったりを解消させることが出来ていたと思います。


代表ウィークに入ったことで色々一段落という感じですが、3/25の定例では昨年あまり得点が取れなかったセットプレーの向上のために徳島から前迫コーチを招聘したことについての質疑応答がありました。

(ここまでセットプレーで数多くのチャンスを作れていると思うが、手応えはどうか?)
「セットプレーがしっかりと準備されているので、チャンスにつながっていると思います。長年、前迫(雅人)コーチと一緒に準備しながら、お互いに成長できたと思っています。しっかりと時間をかけて、新しいプレーや新しいパターンを見つけてきますし、どれを次の試合で使うのかということも考えながらやっています。いいキッカーもいますし、アタックできる選手もいますので、多くのバリエーションを持つことができています。CKやFKは昨季から多く得ていましたが、さらに生かすために前迫コーチを呼びました。求めていたものがすでに見られていますし、この短い期間で3点取ることができましたし、それ以外に数多くのチャンスも作れています」

GKコーチのジョアンもそうですが、選手だけでなくその周りを支える人たちの補強もしっかり行うのがシーズン前に西野TDが言っていた「環境設定」ですよね。

さらに、3/25にはオランダ人FWのアレックス・シャレクの完全移籍加入が発表されました。クラブ公式に書かれている彼の特長には「前線から献身的な守備もでき、得点能力も高い、左ワイドとトップが主戦場のストライカー。相手ディフェンスライン裏への飛び出し、ボックス内でのチャンスメークも期待。」とあります。

ようやくトレーニングに復帰し作新学院大学とのTMで5得点を挙げた松尾とも近いような気がしますが、浦和の2列目の選手たちは裏への飛び出しよりは手前で受けることに長所のある選手が多いので、そことの差別化というか組み合わせでそれぞれがより輝けるようになると良いなと思います。

相手の最終ラインを押し下げるのは別に長身FWを据えて中央から裏を取るだけではなくて、外側から相手の裏を狙い続ける選手を置いても良いわけで、とにかく相手のゴールに強く向かえる選手がいること、それによって相手が前に出たい選手と後ろが気になる選手でギャップが生まれて、間でボールが受けられる選手が輝けるという循環になると思います。

シャレクの合流時期はわかりませんが、色々な選手が入れ代わり立ち代わり裏を狙える状況を作れるようになるのは5人交代で前線をリフレッシュしやすい今のルールの中では有利に働くと思います。

(松尾選手はスピードを生かして相手を仕留めることができると思うが、前線が流動的に動いていく中、どういうことを大事にしながらプレーしているのか?)
「一番はゴールから逆算して動くことを意識しています。相手がどのように動いているのか、どのスペースを使えばゴールに向かえるか、ということに最も重きを置いています。その中で味方にスペースや時間を作ることも、僕の背後のランニングやスペースに降りていく動きでいい感じでできていますので、僕がアクションすることで、その流動性を生み出したいと思っています」


◆コンセプトは表現できていたか

※各項目5点満点
【個】個の能力を最大限に発揮する
 →3点(2月=2点)
【チーム】攻守に切れ目のない、相手を休ませないプレーをする
 →3点(2月=3点)
【姿勢】前向き、積極的、情熱的なプレーをする
 →3点(2月=4点)

前回の記事を書いたときに比べてこの2試合は起用できる選手が増えたこともあってコンディションは上がり始めていると思います。その中で特に磐田戦で個々の能力をしっかり発揮できたと思います。その反面、鳥栖戦では小泉が相手にファウル覚悟で潰される場面が多かったのが象徴的だと思いますが、個々の能力を発揮することが難しい試合でした。一長一短ということで3点にしています。


プレーの切れ目の有無についても鳥栖戦は相手のマンマーク気味の非保持に対応すべく主に右サイドで選手のポジションを動かしていましたが、これによってトランジションが上手くいきませんでした。さらに言えば、ビルドアップで中盤より前にボールが進めない状況が続くとどうしても自分たちよりも相手の方が良いポジショニングが出来ているので、攻守の切れ目を作られてしまいやすかったと思います。

磐田戦は保持の時間が長くなった時間帯はネガトラへの移行も上手くいっていたので、昨年秋の横浜FM戦のように非保持から試合に入る前提のゲームプランにしない限りは、前述したように保持を長くして「良い攻撃から良い守備」という展開を多く作りたいということになるでしょう。

姿勢についてはこれまでが少し慌ただしい展開かつ、打開しないといけない状況だったからこそ湘南戦までがより前向き、情熱的に見えたのかもしれないなと今になって思います。やはりこの部分は評価が難しいというのが正直な感想です。

試行錯誤はしたものの90分通して大枠では同じようなやられ方が続いた鳥栖戦に物足りなさを感じたのと、割と穏やかに良い意味で「こうなったらこうなるよねー」という展開が続いた磐田戦ということで、ニュートラルな点数になりました。


◆4月の試合予定

4/2 (Sat) J1 第6節 (A) vs 札幌 (5pt / 0 / 5 / 0 / ±0)
4/6 (Wed) J1 第7節 (H) vs 清水 (5pt / 1 / 2 / 2 / -3)
4/10 (Sun) J1 第8節 (A) vs FC東京 (9pt / 3 / 0 / 1 / +2)
4/15 (Fri) ACL GS MD1 vs ライオン・シティ・セーラーズ
4/18 (Mon) ACL GS MD2 vs 山東泰山
4/21 (Thu) ACL GS MD3 vs 大邱FC
4/24 (Sun) ACL GS MD4 vs 大邱FC
4/27 (Wed) ACL GS MD5 vs ライオン・シティ・セーラーズ
4/30 (Sat) ACL GS MD6 vs 山東泰山

※()内は3/20終了時点でのリーグ戦の 勝点/勝/分/負/得失点差

書きながらやっぱりとんでもない日程だなと思いますが、いよいよ我々が望んでいたアジアでの闘いが始まります。中2日で6連戦というのはプロではなかなか経験しない日程ですが、だからこそやりくり上手なリカルドがコンディションが戻ってきたチームをいかに戦わせるかというところにとても興味があります。

個人的には浦和はこれまでもどれかのレギュレーションであっさり負けるとそれが尾を引いてその後の試合にも影響している印象があります。ACL初挑戦の選手が多いという点はあるものの、勝つことで自信をつけてほしい、勝つことに慣れてほしい、浦和はアジアで勝ってこそ浦和だ、という精神論をここでは振りかざしておきます。


ただ、そこへ挑む前に2~3月で出遅れた勝ち点を取り戻さなければいけません。そして、アジアへ向かう前の3連戦の初戦は札幌です。

「プレスをかけられるとビルドアップが難しくなりますが、ハイプレスで来られたとしても、相手を見ながらプレーすればビルドアップできると思います。」とリカルドはコメントしています。札幌戦はまさにこの部分が試されることになると思います。2週間で体力的な回復と、チームとしての積み上げがどれだけ出来るのかは注目したいですね。

清水、東京は札幌に比べれば、これまで得意にしてきたスタンスの相手になるだろうと思います。この3連戦を3連勝しても10試合で勝ち点16ということで優勝争い出来るラインである試合数×2の勝ち点にはまだ届きません。当たり前のように3連勝してくれることを期待したいですね。


これで月の終わりとまとめ記事のタイミングを揃えられたので、ここから先は胸を張って「月報」として出せればなと思います。毎度、公式コメントからの引用が多いので長くなってしまいますがご容赦ください。

今回も駄文にお付き合い頂きありがとうございました。

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