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【雑感】2022/7/6 浦和vs京都(J1-第20節)

とても率直に感想を言うと、これくらい中盤が空くならもっとチャンスを作って欲しいし、これくらいチャンスがあるならもっと決めて欲しいし、それでも勝てないのが辛すぎる、という感じです。


試合序盤は京都の中央レーンに人数をかけて縦の優先順位が高い保持に対して後手に回りました。京都の保持での基本ポジションはSBが外レーンで浦和の中盤くらいの高さを取り、WGが内側に入る、IHはアンカーの川﨑の脇からCBの外側まで下りながらCBからボールをピックアップしながら前進していきました。1'38~の京都の前進で彼らの狙いが見えたのではないでしょうか。

一応、京都の選手の中で幅担当となるとSBだと思いますが、その幅の取り方もピッチの幅を目いっぱい使うことはせず、浦和の4-4-2のブロックよりは外側にいる程度で、浦和のブロックを広げるというよりも、自分たちがより近くでプレーすることでトランジションに素早く対応できるようにしているような感覚だったのかなと思います。


京都のIH対浦和のCHの部分で、浦和が上手くやり過ごしたのは先制点に繋がるFK獲得の手前の場面。明本ーモーベルグのゲート奥でボールを受ける武富を敦樹がきちんとチェックしていたことでその先の酒井がボールを拾い、そのまま明本へパスを出したところで獲得したFKからPKを獲得しました。メンデスの手の位置は不用意だったのでPKをもらえたのはラッキーでしたね。

一方で、その後の13'30、15'07は武富のターンで敦樹のところを裏返されていて、前者は明本のプレスバックで武富に運ばせずに遅らせることが出来ましたが、後者はファウルを取られていて、こちらはイエローカードを提示されてもおかしくない場面でした。


次の京都のプレッシングですが、基本的には両WGが外から岩波、ショルツへ出て行って、CFのウタカはアンカー役の岩尾をマークしつつ、機を見て西川まで出ていくというイメージだったと思います。IHが岩波、ショルツまで出ていく場面もありましたが、まずはWGが出る、それが出来なさそうな位置ならIHが出るという使い分けだっただろうと思います。

ただ、アンカーの川﨑のスタート位置が少し深めだったので武富、福岡が前に出た後のスペースは空きやすく、その位置で岩尾や敦樹が前を向けた時にはもっと素直にそのまま運んでも良かったのではないかと感じました。

岩尾については16'25~、敦樹については27'07~がそれです。前を向いたときに自分をチェックすべき相手のことを背中に置けているので、そこから数メートル運べば相手は別の人が出てくるか、そのままズルズル引いてくれるか、どちらかの現象が起きるのではないかと思います。

それぞれ、味方からボールを受けるところまでは良いのですが、その後に相手を困らせるアクションを取れていたかというとイマイチかなと。例えばこういうアクションは平野がとても上手なので、良いお手本が近くのいるうちに体得してもらえないかなーと期待します。


京都のDF陣は下りていく選手にしっかりついていくことが多かったので、出てきた選手を裏返すというのは何度も出来ていました。開幕節でも相手が前向きに出してくる矢印を裏返すためにロングボールを多用していましたが、その時は最初から「裏に蹴りますよー!」という状態で蹴っていたので相手の最終ラインは十分に引き出すことが出来ておらず、上手く裏返しきれていませんでした。

あの試合との違いは、先ほど岩尾と敦樹のターンのところを取り上げましたが、そうして相手の前線のプレッシングをかわすことが出来ていたり、30'28のように最終ラインの選手が少し運んでから裏にボールを飛ばしたり、きちんと相手が矢印を出してからその逆を取りに行けていたことだと思います。

ただ、相手を引き出してからの裏となると、引き出すためにも人数が必要になってしまうので、裏返した後に相手ゴールへ迫れる選手は限られます。勿論、ボールに追い越された選手たちは頑張ってゴール前まで出て行ってはいましたが、京都の選手たちとの競走なのでなかなか数的有利、数的同数という形でのゴール前の場面は作れなかったかなと。

松尾が頑張ってPKを獲得しましたが、これはモーベルグ2回目を止められてしまいました。またしても出ていない選手の名前を出してしまいますが、ユンカーはこうして相手を一発で裏返したときにスピードでぶっちぎってゴールを決めています。PKを取れたね、シュートを打てたねというのは大事なのですが、結局ゴールを奪うためにやっていることなので、そこまでいけないところには物足りなさを感じてしまいます。


後半に入るところで両チーム選手交代を行いましたね。浦和の明本→江坂は明本のコンディションに異変があったかもしれないとのことですが、京都は前半にカードをもらっていたCBのメンデスに代えて本多を入れて麻田をCBへスライドさせ、中盤も川﨑に代えて武田を投入し、武富を左SHへ移動させました。大前は非保持ではIH的なポジションを取って、保持ではトップ下のようなイメージでしょうか。保持でより前に人を残しておきたいという意図だったのかもしれません。


後半早々にCKと直後のビルドアップ失敗であっという間に逆転されてしまいましたね。CKはあれだけピンポイントにボールを入れらると対応は難しいです。直後のビルドアップ失敗もやってはいけないことだし、反省してもらいたいとは思いますが、このスタイルをやる中では年に何度かこういう形でピンチや失点はあるだろうと思います。それよりは、それを上回る得点を取れなかったことの方を考えるべきでしょう。

後半は大前がIHになったこともあって、京都の3MFの非保持でのポジションがズレやすく、江坂が下りて受けるスペースを見つけやすかったように思います。57'16~の岩波からのパスを京都の中盤ラインを越える位置で受けてターンし、松尾へのスルーパスを出した場面が象徴的だったかなと。

江坂が下りるようになると、代わりに敦樹が前目の位置を取るようになりました。このあたりの前後の人数バランスのとり方で言えば、前に出ていける敦樹がすぐに対応できるのは良い点ですね。また敦樹よりも江坂の方が相手の背中を取るのが上手く、それも相手の中盤の選手に対して行うことが出来て、そこでボールを受けられれば後は対最終ラインになります。

京都は64分に大前を下げて井上を投入し5-4-1に変更しましたが、これは中盤の背後を取りに行く江坂を潰しに行っても最終ラインの人数を確保したいということだったのかなと思います。


この試合の大きなトピックは関根が左SBで起用されたことが挙げられます。これまでも試合の途中からSBということはありましたし、その時と起用意図は同じだろうと思います。

最終ラインにそこまで人数をかけなくても良いので外側で強さを持って前に出ていける選手を置いておきたい、という明本を左SBで起用したことと近しい理由ではないでしょうか。ただ、彼自身がサイドにいて自分より前に誰かがいる状態にどれだけ慣れているのかというのは気になりました。勿論ここからもっと慣れていけば良いと思いますが、前列の選手が突破しようとしたが相手に塞がれてボールを戻された時に、そのまま同サイドでプレーをすることの方が多かったのかなと思います。


例えば78'50~は左サイドで松尾、大久保、関根という3人とも自分で仕掛けられる選手が揃っていてお尻が浮きそうになる場面ですが、京都の選手たちがしっかりとサイドにスライドしているので、大久保も松尾も突破できずに後ろでサポートする関根へボールを下げています。

この時に関根はもう一度松尾へボールを託しますが、関根の右側、つまりピッチの中方向に相手がいないので、横方向にドリブルで運んでいくことで相手にスライドを強要し、目線を変えさせる選択をしても良かったかなと思いました。

もし、ここで関根が横方向へドリブルした場合、まず京都の方はサイドに寄ったアピアタウィア、白井、福岡、山田の4人が中方向へ戻ることになります。また、それ以外の5人も中央突破を防ぐためにより中を埋めようとするかもしれません。これらを相手がサボれば関根はそのままシュートを狙えるかもしれませんね。

京都側がきちんと中央を埋めようと動いた場合、逆サイドの大外にいる酒井が本多の死角になるのでそちらへ展開して相手の目線を逆向きにさせても良いでしょうし、既に関根のドリブルで大久保や松尾は相手の目線から外れた位置になるので、そこでもう一度同サイドを使っても良いかもしれません。

試合後の「たられば」なのでどうとでも言えてしまいますが、相手を突破すること、ビルドアップ時に運んで相手をロックしたり置き去りにしたりすることなどが出来る縦方向のドリブルだけでなく、相手の目線や陣形をズラしたり寄せたり出来る横方向のドリブルも出来ると中盤の選手としての価値がぐっと上がると思います。右利きの関根が左SBでこのアクションが出来れば常に相手ゴール方向を意識しやすいので、周りの選手もアクションを起こしやすいのではないでしょうか。

他のSBで起用されている選手とはまた一つ違う味が出せる可能性を持っているので、そうしたプレーが増えてくると楽しみだなと思います。ただ、試合後コメントでは「自分はSBでやっていくつもりもない」と言っているようですが。


浦和のシュートは決めるべきところで決まらないしバーに弾かれる、京都のシュートはポストに当たったもののそのままゴールになるなど、色々辛くなる要素が出てくるのが本当に辛いです。

誰が言ったか「勝負の神様は細部に宿る」という言葉がありますが、結局はお互いのゴール前の細かい部分で試合全体の結果は左右されてしまいます。大枠、ある程度の部分では内容が高くても、最後の細かい部分が伴わないといけません。

相変わらず中位~下位は団子状態なので、早くここを抜け出したいですね。結果は今一つだけど、悪いことばかりではないので頑張ってもらいたいです。


今回も駄文にお付き合い頂きありがとうございました。

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