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【雑感】2022/9/17 湘南vs浦和(J1-第30節)

ゆうき(y2aa21)

浦和にとってはミッドウィークのC大阪戦に続いてとても厳しい内容の試合になりましたね。金曜日の定例会見でもチーム内にコロナ陽性者が出てから試合に出続けている選手が疲労でコンディションが落ちているのと、復帰した選手のコンディションが上がらないという2つの要素が噛み合ってしまったタイミングで連戦になってしまっている難しさも多分にあったと思います。

ただ、コンディションの問題で片づけて良い試合内容だったかというと特に前半はそうではなく、C大阪戦と同様にこの試合に向けての策がハマらずに試合を難しくしてしまったという感じに見えました。


湘南の非保持は5-3-2の2トップが中央を閉めて、2トップの脇からIHが縦スライドしていくのが基本形だと思います。どちらかというと池田は積極的に前を覗いてタリクは様子を見ながらという違いはあったかもしれません。

それに対して浦和は2CBとその前に2CHを置いた2-2の形でスタートしました。柴戸と敦樹がウェリントンと瀬川の背中あたりに立つのでショルツがボールを持った時には池田が出てくるのですが、シャルクが外レーンで高めの位置を取ってWBの石原を留めるようなポジションを取っているので池田の脇から背中のスペースで馬渡にボールを渡すというイメージをしていたのかなと思います。19'03~の前進はそれが上手くいった形かなと。

ただ、湘南の2トップが非保持に献身的でボールが外側に出て行けばそのままボールサイドにスライドして局面を狭くするので、そのスライドが速い場面では左サイドで右利きの馬渡がボールを持つと、利き足が相手ゴールから遠くなるのでなかなか前を向きにくかったり、そもそも浦和が2トップの近くに2CHがいるので狭い局面に人数が多くてボールを逃がしにくかったり、意図通りにボール前進出来た場面は少なかったと思います。

馬渡のところについては21'00~のように左足も自然に使える江坂がそのスペースに下りてくることで、ショルツからのパスを左足(池田から遠くて相手ゴールに近い方の足)でコントロールすることで前を向いて解消する場面もありましたが、2CHのところについてはそもそもの配置の問題なのでゲームの中での解消は難しかったかなと。


前半の湘南保持vs浦和非保持は無失点で済んだのが信じられないくらいでした。プレッシングの矢印の出し方も強度も曖昧だったのはいただけないです。。

7'13~が象徴的な場面かなと思うのでそこを切り取ると、湘南は非保持の配置と同じで3CBの前にアンカーの茨田がいる状態でビルドアップをスタートさせていて、対する浦和は江坂とユンカーが縦並びでアンカーを押さえつつ左右分断して、SHも左右CBへ縦スライドすることでさらに外のWBにしか出せなくするという手順で外レーンに押し込めることを目指したのかなと思います。

ただ、この場面では山本→杉岡のボールが出た時にユンカーが茨田へのコースを消せていなくて、湘南はヘソの位置の茨田を経由して逆サイドへ展開して一気に浦和ゴールへ迫りました。山本がボールを持った時に江坂がシャルクに対して岡本のところへ出るように促していたのと、杉岡にボールが入った時にはモーベルグがWBの中野をケアしようと撤退していたのとで左右の矢印の出し方のイメージにギャップがあったように見えます。

ギャップがあったとして、次にやることとしては杉岡に対して中へボールを入れさせないことと、そのまま外レーンで縦に進んでもらって4-4のブロックがスライドしているエリアに向かわせるというイメージだと思いますが、ユンカーの矢印の出し方はそうした誘導の要素が無かったのと、茨田を消せていなかったのとで、押さえておきたい2つの要素をどちらも満たせていなかったのはまずかったと思います。


「相手を外側へ誘導したい」という点で言うと、4バックvs5バックでの象徴的なミスマッチであるWBをどう管理するのかの部分ではSHがWBを自分の脇に置いてボールを受けた時に縦しか使えないようにするか、SBが縦を塞ぎながら出て行って中しか使えないようにするかのどちらかを行うのが多いと思います。しかし、35'06~のようにどちらもやれずにSHとSBの間にいる石原にボールが入って、そこから逆サイドまで持っていかれて前進される場面もありました。

図のプランBを実行するのは前提としてシャルクが岡本のところへ出て行って岡本→石原のコースしか空いていない状態にしているのが条件になる(そうしないと馬渡が出て行っても背後へ簡単に飛ばされたりする)と思うので、この場面ではプランAがベターかなと思います。湘南からすると、岡本からのパススピードが速かったのと、それを石原がしっかりコントロール出来たのが良かったと言えます。

この2つの場面のように、湘南が4バックvs5バックのギャップで生じる逆サイドに余ったWBへボールを届ける展開を浦和の陣形の内側を経由して作っていたので、良い状態でどんどん浦和陣内に攻め入ることが出来ました。ただ、これだけ良い展開を何度も作りながらゴールを決めきれなかったのが今の順位表での立ち位置を表しているとも言えます。浦和からすると前半で試合が壊れてもおかしくないくらいの内容だったと思います。


後半の頭から敦樹と馬渡に代えて岩尾と大畑を投入しましたが、ここは予めプレータイム調整で想定していたものかもしれません。連戦を闘っている敦樹と岩尾はそれぞれ45分ずつにして疲労を抑えるのと、戦線復帰した馬渡と大畑は45分ずつの起用でコンディションを慣らしていくというイメージもあったのかなと想像します。

ただ、ハーフタイムで攻守両面に修正が入ったので、戦局が変わった要因が「彼らの投入によって」なのか「そもそもの修正によって」なのかは分かりません。「両方あってこそ」とも言えそうです。

まずビルドアップのところから見て行くと、前半の2CHの並びから岩尾をアンカーに据えて柴戸と江坂がIH的になる4-1-2-3のような並びに変更しました。これによってビルドアップ隊の周辺にスペースが出来たのと、そもそもビルドアップ隊に使う人数を減らして前に人数を増やせたという2点によって前進がスムーズになりました。分かりやすいのは56'45~でしょうか。

嚙み合わせで言うと中盤のところがお互いに逆三角形になるので、プレッシングで縦スライドする池田の背中に江坂が入れるのと、岩尾のところは2トップが背中で消しているので江坂から岩尾のコースを塞ぐ人がいないというミスマッチが発生します。C大阪戦の後に「パスの費用対効果」という岩尾のコメントがありましたが、それが良く分かる場面だと思います。

「縦パスを出せないことはないけど、パスの費用対効果だとリスクのほうが高いパスになる。受け手が誰とつながって準備しているのかは重要。相手のプレスを想定すれば、そんなに長く時間をもらえないのは分かっているので、パスを出した先で時間がないけど大丈夫なのか、となる。  3人目が使えるようなオーガナイズになっていれば怖がらずに出せるけど、そうは見えなかった。狭いところで受けようと思えば、3人目、4人目をボールの受け手が確認しておくとか、相手の1つ2つ先をいくのが必要になる。それは自分たちの課題かなと思う」

「費用対効果」という言葉を使うあたりが岩尾"課長"らしさ

岩尾がビルドアップ隊からのボールの受け手になるだけでなく、3人目として機能するようになったのが5月頃までのビルドアップで詰まり気味だった状態とそれ以降の大きな違いだと思います。7月のアウェー清水戦あたりで、小泉にしろ岩尾にしろ「味方との繋がりで活きる選手」というのを雑感かTwitterかで書いたのはそういう部分です。


また、左利きの大畑が縦スライドする池田の外側でオープンにボールを持てるのも後半になって良かった点です。先述の通り前半は江坂がこの位置に下りることもありましたが、やはり江坂は前でプレーして欲しいのでSBの選手がそのままの位置でやれるのがベストだと思います。

49'53~はショルツからのパスを受けた時に石原が前に出てきましたが、あらかじめバックステップで距離を稼いでいたことと、左足で前向きにボールを持ったことで中へドリブルして石原のプレスを外しています。

54'50~も池田の脇かつ、石原の縦スライドが届かない位置でショルツからパスを受けて前にもボールを出せる体勢を作ったことで手前に下りてきていた江坂がフリーになれています。

結果的に江坂が岩尾と同じラインまで下りて2CHのような状態になりましたが、最初から2CHで立っているのと、相手がいなくなった場所でボールと人が合流してその形になるのとでは意味合いが大きく違います。

相手からすると前者は最初から意識しているエリアになるので対応するスピードが出やすいですが、後者は別のエリアを意識させられているので対応のスピードは出にくいと思います。なので、「どこに立っているのか」と同じくらい「どこに人がいないのか」を認識して、いない場所を「今だ!」という瞬間に使うことが出来るかどうかで相手の守りやすさは大きく変わると思います。

自分たちの基本陣形を持っておく(チームとして習熟しておく)のは、「どこに立っているのか」「どこに人がいないのか」を考えずに無意識的に把握できるという点でとても有用です。だからこそ、C大阪戦も、この試合も配置をいじったことでこの2点を考えないといけなくなって判断のスピードや正確性が下がったという要素があったと思います。

ただ、同じ配置でだけやっていれば相手は当然対応してくるので、無意識的に把握できる配置パターンを増やしていく作業も必要です。ここの塩梅を試合をこなしながら調整するのはとても難しいですが。。


浦和のプレッシングでも後半はSHが左右CBへ出て行って、SBがWBへ出ていくという流れが出来るようになったので、前半のように湘南にとって理想的な形で前進されることは無かったと思います。

ただ、浦和が保持で前線に人数をかけながらも最後のパスが合わなかったりしてボールを失った後のネガトラで即時奪回をするだけの強度が出せず、終盤になるにつれてどんどんオープンな展開になりました。そもそものチームとしての志向も、この試合でのコンディションでも、オープンな展開になるのはあまり望ましくないとは思います。そうした展開になってもどんどんボールを運んで前進できるショルツは凄かったですけどね。


前半に湘南が試合を壊してくれなかったおかげで後半は浦和の良い部分が出たりもしました。ただ、前半のゲームプラン(特に配置面)がハマらず、後半にそれを改善するもコンディション的にやり切れないというC大阪戦と同じような印象を持ちました。試合に向けて策を打って、それがハマらないときに立ち返る場所として4-1-2-3のビルドアップの形があるのは良いことですが、同じようなことが2試合続けて起きるのは不安に思ってしまいます。

中3日、今度は大阪まで出かけての試合になるので、コンディション面でどれだけ回復や向上が出来るのかというとまだまだ難しいのではないかと思います。となると、次の試合も大事になるのは試合に向けてのプラン設定であり、後半にブーストがかけにくいのであれば尚更前半で何が出来るのかが問われるはずです。

カレンダーの先の方に大きなモチベーションを持てる場所があるのかないのかで生活のハリも大きく変わるので、唯一年内でタイトル獲得の可能性があるルヴァン杯に向けてしっかり準備して闘ってもらいたいですね。


今回も駄文にお付き合い頂きありがとうございました。

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ゆうき(y2aa21)
サッカー未経験者が真面目にサッカーを考える。浦和レッズの「3年計画」を定点観測します。