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【雑感】2023/8/6 J1-第22節 浦和vs横浜FM

なるべく情報を遮断した状態で1日遅れで試合を観ましたが、ボールを持った時には相手ゴールに近いところへ人もボールも送り込もうとする好戦的な姿勢が強く、何度かあった決定機もチームとして目指していたエリアを使えていたので、こういう試合を勝ち切ることが出来れば大きな自信が掴めそうな試合だったと思います。

そうなった大きな要因はマリノスの非保持でのWGの選手の振る舞いの怪しさにあったように思います。試合の序盤から浦和は右サイドで大久保や酒井がエウベルを越えた位置でボールを受けることが出来ていました。WGを越えた位置でボールを前向きに持てればCHやSBが対応のためにズレる必要が出てくるので、ハーフレーンの奥へ人とボールを送り込みやすい形になったと思います。

また、アンカー役の岩尾に対して渡辺を前に出してハメに行くような対応をするなど、マリノスはプレッシングの局面では人を捕まえに出ていく傾向があって、8'05~のビルドアップでは最後尾が西川も参加することで3vs2を作ってショルツがオープンにボールを持つことが出来、ショルツからエウベルを通り越して酒井までパス、そこから一気に加速という場面が作れています。


マリノスがプレッシングで人を捕まえにいくのはCBにもその傾向があって、30'00~は内側に入った大久保が喜田と渡辺の間に下りていくところへエドゥアルドがついてきています。大久保はこれをスルーなのかフリックなのかでカンテまでボールを流して、そこから相手WGの背中からスタートした酒井がアーリークロスを流し込んで早川か大久保が触れればゴールという場面も作っています。

38'24~もトランジションからではありましたが、酒井がWGの背中でボールを受けていて、そこを永戸が対応しようとしたところで敦樹がその裏のスペースを取りに行ってカンテの決定機を迎えています。


4-4-2で守ろうとしたときにサイドのアタッカーがどう振舞うかで守備組織の強度は変わってきます。ただ、守備のためにたくさん走れば攻撃時にゴール前でシュートを決め切るための体力がなくなってしまう可能性もあります。

この塩梅をどうするのかに個人のフットボール観や性格が表れるのだろうと思いますし、浦和は割と守備もきっちり頑張ることで非保持で簡単に穴が出来ないけどゴール前はもっと迫力が欲しいよねという課題があって、マリノスはリーグトップの得点力と引き換えにこの試合のように非保持で穴が出来るのでピンチは増えるというジレンマを抱えています。

リカルド体制でもそうでしたが、マンツーマンにもゾーンにも針を振り切らないチームがある程度守備ブロックに穴を作ってくれていれば、そこを使って前に出ていく姿勢を持てることが多いです。昨年のマリノスとのホームゲームも正にそういう試合でしたね。

ただ、そういう自分たちにとってやりやすい守備対応をするチームに対してゴールを奪えずに引き分けてしまったのはとても残念でした。順位表で上にいるチームとの直接対決だったということだけでなく、内容的に勝ちを得るべき試合で勝ち点を落としてしまったという感覚です。


試合終盤は浦和の方に疲れが出てきたり、選手交代によって一本調子な展開になったことでマリノスのチャンスが増えましたが、試合全体では浦和の4-4-2での非保持がしっかり機能したように見えました。

マリノスは2CB+2CHの4枚でのビルドアップがベースで、特に2CHは中央でかなり近い距離でプレーすることが多かったです。近い距離で素早くサポートに入ることで中にボールを刺しても簡単には失わない、それによって中から左右へ振っていくことが出来るのが彼らの強みだと思います。

ただ、浦和は2トップと2CHがそこに対して横から寄せてサイドを限定するような対応が出来ており、それによってマリノスの攻撃は縦には進むけど横に振ることはなかなかできず、最終的に浦和のCBはボールが入ってくるコースが読みやすくなるので決定機を作られるまでには至らずに対応できるという展開が作れていたと思います。


後半になってもマリノスのスタンスが特に変えない、それは主に非保持で穴を作らないような対応をしたわけではなさそうだったということなのですが、それによって大外アイソレーション気味の状態から関根、大久保が仕掛けるような場面が何度もありました。関根がこれだけドリブルでつっかけに行くのを見たのも久しぶりな気がします。

相手を休ませないとか、見ている人のお尻が浮くようなプレーというのは随所にあった試合だったのではないでしょうか。スペースがあって、相手のテンションとの噛み合せも良ければ現体制が目指しているような攻撃の試行回数を増やすようなアクションが増えるのだなと思いましたし、これを相手に関わらず自分たちからやっていけるかというのが課題であることも再認識しました。


今回はこの辺で。お付き合いいただきありがとうございました。

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