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【雑感】2024/4/3 J1-第6節 FC東京vs浦和

今季初のミッドウィークの試合でしたが、両チームのスタメンの入れ替えは対照的でした。浦和は前節負傷から帰ってきたばかりの大久保と大畑が入れ替わって、ポジションは渡邊をWG、大畑をSBとしただけでそれ以外は継続。ビルドアップは4バック+グスタフソンのところに岩尾も絡んできて、グスタフソンが必ずしもへその位置に定位しないことで相手の基準をずらすことを目論んだのかなと思います。

一方、東京は前節が0-3の敗戦だったということとその試合で波多野が退場していて出場停止だったこともあってか6人も入れ替えてきました。ただ、4節の福岡戦での快勝からチームの肝になっている中央のところ(小泉、高、松木、荒木)はいじりませんでした。あくまでも2CB+2CHのビルドアップに荒木、松木が積極的に絡むことを奨励するようなスタンスは継続していきたいということだったと思います。


前半は東京の方に高のゴール取り消しはあったものの全体的には浦和の方がやりたいことが出来ていたように見えました。特にプレッシングのところでCF、右WG、左IHが前に出るという所に加えて、その後ろに残った状態になる右IH、左WGの矢印の出し方も整理されてきていて、意図的にボールを取り上げることが出来た場面がいくつかありました。

16'30~は東京のビルドアップ隊に向かってチアゴ、岩尾が出て行ってプレッシングを開始しました。岩尾が中央から土肥の方へ向かっていって、土井からのパスを受けた中村に対して渡邊が斜め前から正面に入るようにして内側へ行くような寄せ方をします。そこに対して岩尾、チアゴのプレスバックで囲い込んで最終的にはグスタフソンのところへボールをこぼして拾っています。

17'55~は形は違いますがチアゴが横から土肥へ寄せて、岩尾が小泉につきながら内側へのコースを切る位置にいます。土肥の正面にいる渡邊が中村の方を切る体制を取ることで土肥のパスの出し先が限定され、ボールの雲行きを読んだグスタフソンが難なくパスカットしています。この場面はボールを奪った後に渡邊から中央でフリーになっている前田へクロスを入れて決定的な場面を作りました。

さらに、前半ATの46'42~は前田が出て行った背中に酒井が続いて縦のコースを塞いでいて、そこから中へボールが入ってきたところを佐藤、敦樹、グスタフソンが囲んでいます。グスタフソンが運んで前田とトレヴィザンの1v1になったもののトレヴィザンが落ち着いて対応して決定機までは至りませんでした。

東京が荒木、松木も手前に下りてきて中央周辺に人数をかけるものの、初手では中にいれさせないようにするようにして自分たちのスタート位置や矢印の向きからボールの雲行きが読めるようになった時には上手くボールを取り上げることが出来ていたと思います。ただ、どの場面もボールを奪った後のパスや選択の精度が良くなかったのでボールを意図的に奪えた回数ほどチャンスを作れなかったというのは残念なポイントでした。

ただ、意図的に相手を追い込んで行けても水がこぼれることはあって、22'10~の東京のビルドアップは最終的に荒木が下りてきて出口を作って脱出したり、44'50~は右サイドが前田ではなく敦樹が前に出て行ってエンリケトレヴィザンに対して敦樹と前田が同じ縦のコースに立ってしまって前田の脇にいるバングーナガンデを経由して敦樹の背中を取った高にボールが入っています。まだまだ精度は高くないですが、札幌戦から定まってきたプレッシングでの自分たちの形が少しずつ出来てきたのはポジティブな所だったかなと思います。


浦和の保持に対して東京は2トップが中央を閉めてグスタフソンのところへCHを1枚(主に高を)前へ押し出すようなスタンスでした。これまでの試合を観た感じでは東京のSHが2トップ脇を縦スライドして4-2-4のようになるイメージでしたが、浦和の方がグスタフソンの周辺に岩尾や敦樹が漂うことでSHが縦スライドするとFW-SHのゲートの奥かSHの背中に人がいる状態になるので迂闊に出て行きにくい感覚になったのではないかと思います。

21’00~は手前に引いた大畑へ安齋が出て行っていますが、岩尾がその背中を取っており、大畑から岩尾を経由してヘソのグスタフソンへボールが入ってそこから一発で右サイドへ展開しました。前田が手前に入りながらカットインする間に敦樹がハーフスペースへ入り込めており、DFとGKの間にクロスを流し込んでいます。

敦樹はこのシーンのようにハーフレーンを上下することは多くなったものの、自分が相手DFラインの手前でボールを持った時に相手がロックしてくれる前にボールを離してしまうなど、ボールを持つ場所自体は良くなってきたもののもう1つ踏み込んだプレーが欲しかったなと思います。

先述したポジトラも含めてチアゴの超絶ゴール以外にももう少し決定的な場面やゴールシーンを作れて欲しかったですし、そこで試合を決めきれずに引っくり返されてしまったのは湘南戦と同じような流れになったなと思います。


後半は早々に個人の強度で守備の水漏れが発生してしまい同点に追いつかれてしまいました。48'50~は敦樹、グスタフソンが中方向に対して壁を作って縦方向へ限定出来ていました。その限定に対して正直に俵積田へ入ってきたボールを奪うことが出来ず、そのサポートに入ったバングーナガンデにも片手で押し返されてしまったところはとても残念でした。この後も簡単に外されてしまう場面があり、55分という早い時間帯で酒井が交代したのはやむ無しかと思います。

また、後半からは東京の2CHがグスタフソンとその脇へ下りる岩尾か敦樹を捕まえるようになって、それによってSHが内側を通される怖さが無くなったのか前半よりも縦スライドを積極的に行うようになったように見えました。

4-1-2-3の配置で前に人数を置きたい、そうした時に手前の人数へ相手が噛み合せてきた時に脱出が難しくなる、そこへの解決策として前節は岩尾や敦樹が手前に引いてグスタフソンと入れ替わるような挙動をするようになった、という流れでしたが、この試合の後半では相手が手前に引く選手に噛み合せてきたのだから今度は再び前に人数を置いて引っくり返しに行くということをしても良かったのではないかと思います。

ただ、岩尾から中島に代えて4-2-3-1の形に変更すると手前の4-2の配置がより固定的になりボールが前に進まなくなったように見えました。人を噛み合わされながらも前進出来たのは74'50~くらいだったかなと思います。グスタフソンのほんの少しだけ相手と距離を取れればそこを取っ掛かりに前進経路を作れるのは流石だなと思います。

また、非保持の矢印も弱くなってしまってなかなか後半は良い場面を作ることが出来ませんでした。前半から岩尾はスピードがある訳ではないですが、前に出るべき場面では行くというスタンスを貫いており、誰かが行くとそこで次の予測が出来るという連環を作れるので、そうしたことが出来る選手が増えていくと良いなと思います。


次の鳥栖も保持、非保持のベースは東京と近いチームだと思います。反省を即活かせるような流れかなと思いますので、次戦はホームですしきちんと勝てることを期待したいですね。


今回はこの辺で。お付き合いいただきありがとうございました。

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