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【雑感】2023/9/15 J1-第27節 浦和vs京都

スコルジャさんがインタビューで審判について言及したのは今まで記憶にありませんが、DAZNの試合後のインタビューで思わずそうした言葉が出てきてしまう、ある人の言葉を借りるなら「受け入れがたい」判定と試合結果になってしまいました。

前半に関根、後半にリンセン、それぞれ京都の選手がボールにはチャレンジ出来ていなかった、それを何とか踏ん張った結果シュートは枠外になったり力の入っていないものになったりした、それでもシュートは打ったのだから機会損失はしていない、というロジックだったのでしょうか。うーん。。浦和目線で観てしまう自分としては頑張り損に感じてしまうので返す返すも受け入れがたい。。


とは言え、試合の中での決定機というのはこの2シーンだけでは無かったですし、それ以外にももう少しチャンスの作りようはあったのではないかと思います。


お互いのプレッシングのスタンスは違いましたが、特に前半はどちらもボールを持った時にはSBの裏あたりを目掛けて長めのボールを入れることが多かったような印象です。ロングボールを入れられた方はDFが苦しい体勢になるのでタッチラインに出してスローイン、あるいはボールがそのまま流れてゴールキックといった具合にプレーが切れる回数が多かったと思います。

京都はアクチュアルプレイングタイムがJ1の中で最も短い、パスの成功率がJ1の中で最も低いというデータがあるという記事を以前見かけました。それはこの試合での印象とも重なります。

勿論、京都がボールを持った時にどういう選択をするのかという点もそうですし、浦和がボールを持った時に京都は人を捕まえに行くイメージで3トップ+IHが浦和のビルドアップ隊に対して多少距離があっても寄せて行ってボールを離すのを急かしに来ていたので、京都のペースに相手を巻き込めているという見方も出来ます。


京都は明確に誰が誰を担当するというマンツーマンではなく、基本となる並び順(4-1-2-3)になった時にそれぞれが近い選手をロックするところから始めているように見えました。

浦和はCHが岩尾と安居だったこともあってこの2枚が横に並ぶように立つことが多かったです。ただ、その中でも岩尾の方が手前に引く傾向にはあるのでスタート位置で岩尾が近くなることが多い谷内田は岩尾をチェックした流れのままCBや西川まで出て行ったりすることもありました。

また、浦和は2列目の3人があまり手前には引かずに中でポジションを流動的に入れ替えていました。特に早川と小泉はトップ下と右SHの位置が変わることが多く、開幕当初に大久保と小泉がそういう関係性だったことを思い出します。1トップと2列目の3人は流動的に中央付近でポジションを入れ替えながら相手ゴールに向かっていこうとするのはスコルジャさんっぽいスタンスだったと思います。

浦和の2列目のそうした振る舞いもあって京都のSBはプレッシング時にWGの背中を埋めに出て行くというアクションはあまり無かったのかなと思います。京都のプレッシングは3トップ+2IHの5人が前のエリア、アンカー+4バックの5人が後ろのエリアという分担のように見えました。

これはただの数字遊びのような気もしますが、京都の並び順は一応4-1-2-3ですが、イメージとしては5-2-3から3バックの真ん中を少し前目のポジションへズラしているという見方をしても良いのかもしれません。曺貴裁さんは長らく3-4-2-1(5-2-3)を採用してきた訳で、そこをベースに変化をつけるのであればそういう見方も出来るのかなと。


後ろの5人は浦和の選手が後ろ向きに受けるパスについてはどんどん食いついて潰しに行ってこれはセンターライン付近なのでファウルになってもその位置からのFKであれば脅威にならないのでOK、背中を取るようなロングボールはタッチラインに逃がして一旦プレーが切れればOK、という前提だったのかなと思います。

チームとして前向きなアクションを狙い続けるスタンスではあるものの、基準をあくまでも相手に置いているように見えるので、浦和はWGが外に張ったりしないため京都のSBはポジショニングが曖昧でしたし(保持で幅を取りつつ前に出る担当でもあるのでトランジションが増えるとよりポジショニングは曖昧になる)、CBもお互いの背中をカバーしあえるような関係性には見えませんでした。

浦和はそれを狙うようなボールを出して前半のうちに関根に2度決定機がありました。他にもそうしたものを狙ったようなボールが出てはいたものの、そこでボールを後ろ向きにでも収めてプレーを続けられたかというとそうではなく、ロングボールの追いかけっこになった時にスピードでぶっちぎれる選手がいるわけでもなかったです。

非保持では個人による質の差を見せつけることが出来るものの、保持でそうしたものがないというのが現在のチームの苦しいところですね。


京都の保持は2CBと主に金子、武田のどちらかが最終ラインに加わって3vs2を作りたいというスタンスに見えました。浦和は前半はそこに対してステイすることの方が多かったですが、後半は47'50~のプレッシングで関根がアピアタウィアまで出て行く、関根の背中には荻原が続いていくという流れのようにハイプレスを増やしたのかなと思います。

これによってボールを持つ位置が高くなったので京都は前半のように中盤の選手が最悪ファウルで潰せばOKとか、タッチラインに逃げて時間を稼げばOKとか、そうしたやり方では難しい展開になったのかなと思います。高い位置でボールを持てるようになったことに加えて、CHが敦樹になったことで前にかける人数が増えたということも京都の選手たちが後ろ重心になっていく一因だったかもしれません。

後半が始まって10分経たないうちに麻田を入れて5-4-1へ切り替えたのは一応残留争いの中にまだいてアウェーで勝ち点1でも積み上げる必要があるチームにとっては真っ当な判断だったと思います。


京都は5-4-1になったものの、チームとして前向きにアクションを起こしたいという意識はそのままだったように見えますが、浦和は特に荻原がそれを逆手に取るようにシャドーの脇でボールを受けてWBを引き出して、その背中に味方に入ってもらって縦関係になったところでワンツーで追い越そうとする動きを何度も行っていました。

78'08~はホイブラーテンからのパスを手前に引きながら受けた荻原に対して福田が出て行っていて、その背中に小泉が入ってパスを受けています。この場面では荻原が最初のパスを受ける前に手前に引いたポジションが取れていなかったので福田に寄せられながら小泉へパスを出すときに体制を崩してしまってすぐに裏を取りに行くことは出来ませんでした。


82'15~は自陣の深めの位置でホイブラーテンから荻原がパスを受けて、そこに福田が遅れて出て行って、福田の空けたスペースにリンセンが入ってきてという流れでした。こちらの場面ではリンセンが内側でサポートに入った興梠をすぐに使ったことでプレス回避して逆サイドへボールを脱出させることに成功しています。

このように手前のエリアで縦にも内にもボールが出せる状態を作りながら相手を引き出すことが出来ているので、そこを足掛かりに前進する取り組みは今後も継続して欲しいですね。


試合の終盤には前線がカンテ、興梠、リンセン、髙橋というファイアーフォーメーションになりました。その中でも髙橋は75'40~の決定機ではクソンユンのゴールキックを浦和陣内で跳ね返してからそのまま前線に出て行ってハーフレーンへ飛び出す敦樹へスルーパスを出しています。敦樹からのマイナスクロス、ニアに突っ込む小泉、中央でステイするリンセン、形としては完璧だったと思います。

リンセンがその直前にPKを取ってもらえなかったフラストレーションもあってか大きくボールをふかしてしまいましたが、髙橋はこうして必要なタスクであればガンガン走ってくれるというところが見えたのは良かったと思います。

リンセンも決定機を逃してしまったのは残念ですが、ルヴァン杯でも見られたように周りとプレーのスピード感を共有できるようになってきたのか、動き出しとボールが出てくるタイミングは合うようになってきています。


試合を通して京都が保持で浦和の組織の内側にボールを刺し込める回数はほとんど無くて、特にゴールに近いエリアではそういった場面は無かったように思います。そうでなくても勝ち点3以外は許容できない順位表の状況だったので、ここで勝ち点2を落としてしまったのは非常に痛いです。

負けないチームを作るためにシーズンの序盤は手堅い4-4-2の守備を構築してきましたが、今は負けないチームから勝つチームになるためにいかにゴールを奪うかというところへのトライが求められています。

前半戦の振り返りでも積み上げた強みを簡単に捨てられないので違う選手を試しにくくなってきているということを書きました。ACL直後はリンセンや髙橋をSH起用しながらも結果が出ないので安定のメンバーに戻してしのいできました。その中で過負荷になっていた大久保が故障してしまったこともあって、ルヴァン杯ガンバ戦の2戦目ではそこに対するトライを再開したように見えます。

ただ、リーグは残り7試合で、ルヴァン杯も準決勝まで来ています。本来は何かを試すという段階にして欲しくはないのですが、そうは言っても現実としては勝つチームになるためにどうすれば良いのかを探さないといけません。

幸か不幸か残り7試合のうち4試合は順位表の下半分にいるチームとの対戦です。負けないことよりも勝つことにフォーカスしないといけない舞台設定になるので、非保持の構造維持はどこかで割り切る、その分保持で強さを出せるようにするというスタンスになるのだろうと想像します。


さて、これからACLの新たなシーズンは始まります。幸い3連休で頭を冷やすには十分な時間があるのでそこに向けて一旦は切り替えていきたいですね。

今回はこの辺で。お付き合いいただきありがとうございました。


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