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意識の残滓を見られなかった話

Arts Chiyoda 3331で開催されているBWTC Trade Week/脳波買取センターにお邪魔してきました。

エントランス、かこよい!!!!


パートナーも興味を示してくれたので一緒に行きました。うれし

研究室あるいは病院みがある


動画作品の展示も。


とにかくスタイリッシュでかっこよい展示室……
見慣れた3331のメインギャラリーとは思えない空間だったので心うきうきわくわく🎶になってしまいました。落ち着け。

小部屋みたいになってるスペースがあるんですけど、そこで脳波を買い取っていただくんですね。私直前まで勘違いしてたんですけど、私たちは脳波を提供する(売却する)側で、買取の機械からお金が出てくる仕組みになってるんです。展示室で鑑賞者(体験者?)に利益出るって何事?ってなるじゃないですか。もうおもしろい。

脳波測定10秒=100円。100秒とったので1000円。

100秒間何を考えるかを決めて、タイトルをつけてから脳波を測定します。
私は「NOTHING」というタイトルにしました。何も考えない。何も考えないようにしても、「考えないぞ」ということを考えていたり、環境音を受信することで影響が出たり、意識に上ってくる思考があったり、そういう「思考の残滓」が取れるんじゃないかとおもったので。そういうのを可視化してみたかった。

3時間近くの待ち時間を経て(大人気、それはそう)、いざ測定。スタッフさんの指示に従い機械を操作します。脳波測定のかっけえ機械を頭に着けてスタート。

考えないようにがんばる、しかしやはりいろいろと気になる。頭を真っ白にするようにがんばっても、「頭を真っ白にするぞ」ということを言語化して考える。音が気になる。「あと何秒だろう」。ビールが飲みたい。エトセトラ。

100秒経って、待ちに待った脳波絵画の生成。

……エラー吐いた。

まあまあまあたまにはこんなこともありますよねってなわけで後ろの方に申し訳なくなりながらも再計測。


結果は

エラーでした。

再測定を勧めてくれるスタッフさんでしたが、私は「いや、もうこれはこれでおもろいのでいいです!」と。やや困惑されましたが、私はちゃんと満足しています。

「なにもとれない」というのは「NOTHING」というタイトルと合致していてやたらとコンセプチュアルな作品に仕上がっている。
それに、元コンセプトを辿れば、人間がはっきりとした意識以外=意識の残滓を捉えることは、機械の力を借りてもいまだ不可能だってことが作品として証明(?)されたわけです。
もちろん偶然だとはおもうんですけど(メンテも入ってたみたいだし)、このコンセプトで2回もエラーになったってことがおもしろすぎるし一周まわって必然としかおもえない。


700円でレプリカ印刷を購入できるんですが、私は迷わず購入。この体験ぜんぶひっくるめておもしろがっているので。スタッフさんが「エラーを印刷した方はたぶん初めてです」とおっしゃってました。なんかムフフ。

ちなみに生成された絵画は人の手で値段が付けられます(美しさや珍しさに基づいているそう)。エラー絵画は値段がつかないこともあるそうなのですが、私のはタイトルとの合致が評価されたのか、5500円ついていました。正常にとれたパートナーの脳波絵画は5900円とかだったので、エラーの割には高いのでは……?この判断、AIとかでもこうなるんだろうか。私は人の手ならではだとおもいました。

ところで今まで芯のところに触れてませんでしたが、この「脳波をイメージ化して第三者が値段をつける」って試み、かなりおもしろいですよね。こういう場合の思考ってどれも尊くて優劣を付け難いものじゃないですか。でもそれが波形(?)としてイメージ化されることで芸術としての価値が生まれてしまう。それを、その思考がどれだけ被験者にとって重要かなんて知ったことではない第三者が資本主義に則って価値判断する、っていう。斬新であり残酷であり。
でも考えてみると思考の価値判断ってもうされてるんですよね。身近なとこだといいねの多さとかで。この試みだけが残酷なわけじゃない(アッ横筋に逸れた)。
「芸術の価値ってなんなんだろう」とか、「思考の優劣」とか、「大衆にとっての価値」とか。いろんなことに考えを巡らせることが出来るよい体験&展示でした。

会期は8月7日(あした!)までです。かなり待ち時間できるかと思いますので、お時間には余裕を持って。
3331内のCafe Ubuntuさんや、徒歩5分以内のcafe oasis秋葉原店さんなんかが時間つぶしにおすすめです。

詳細(Art Sticker): https://artsticker.app/events/1413
詳細(fashion snap): https://www.fashionsnap.com/article/2022-08-02/bwtc/

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