元カレへ。

  
   元カレへ。さよならをして、1年と少し経ちましたね。お元気ですか。私はあの後、散々でした。何とか卒業はしたものの、重たい体を引きずって地元へ帰りました。カウンセリングの末に処方されたものは抗うつ剤と睡眠薬。貴方は、知らないでしょ。一人でも生きていけそうな私が、何があってもあっけらかんとしていた私が、真面目に授業を受けて寝坊なんかしなかった私が、今、どん底で生きているんです。無気力で何も出来ない…したくないって思うような人間になったんです。
   知らないままでいてください。何も知らないまま、ただ元気でいてください。

   先日、押し込めていた貴方の顔をSNSで不意に見てしまいました。知らない子と笑ってたね。幸せそうに、私の知ってるままの笑顔だった。
   いろんな人と仲良くなれるけど、少しわがままで子どもっぽいところとか、だらしないとことかあるから、ちょっと心配してたけど余計なお世話だったね。一人じゃ何も出来ないのは私で、成長したのは貴方だった。こんなに遠く離れたのに、まだ手元で貴方を思い出す現代の文明が憎いよ。

   ねぇ、友だちに戻れなくて、「またね」って言ってそれっきりの私のこと、少しは思い出したりしてた？
   わがままも、だらしないとこも、全部許した都合のいい女のことなんて、忘れた？
   私はね、忘れてないよ。声も匂いも忘れたけど、忘れてないよ。

   そうそう、今更何が言いたいかってさ、私今幸せだよ。相変わらずひとりぼっちで、ゴミクズみたいな人間やってるけど、貴方に隠してた趣味も性格もさらけ出してるんだ。だってもう、嫌われたくないって思う相手はいないもん。好きなものを好きだって言える今が、幸せだよ。貴方にも負けないくらい幸せ。

   最後にさ、落ちちゃって、自分てこんなダメだったんだって悲観してる今だから思うことがあるんだよね。
   薄っぺらいし、在り来りだけど、こんな私のこと好きになってくれてありがとう。一緒にいてくれてありがとう。

   どうか私の次に、幸せでいてください。