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CLAMP COFFEE SARASA

最近はこんな感じの、生い茂っている店にどうにも吸い込まれがちだ、吸い込まれ、コーヒーとフレンチトーストをオーダーするモーニング、入ってすぐ、音楽が流れてくる大きなスピーカーと、同じ棚に並んだ書物が目に飛び込んでくる、先払いで前の客が注文するのを待つ間、しばし眺める、文庫は少なく、単行本が多い、なのに今どき文庫のほうが手に入りやすそうな、庄司薫や川上弘美の小説が置かれていた、こだわりなのだろうか、オーダーをすませ、座る、

カウンターはこんな感じで、古い家の、使い込まれたキッチンのようだ、左の方へ目をやると、奥のテーブル席はまた少し雰囲気が変わり、年季の入った工場のような雰囲気、コーヒーの焙煎機を置くのにこれほど似つかわしい雰囲気も珍しい、カウンターとテーブルで雰囲気は変わるが、つながっている、と思わせた、どちらも、歳月の流れを感じさせるからだろうか、それともやはり、入口のスピーカーから流れる、異国風の音楽のせいだろうか、

そんなことを思い巡らしつつ、カウンターでコーヒーとフレンチトーストができあがっていくのを見ていた、コーヒーは豆が、エチオピアのライトロースト、同じくエチオピアのミディアムダークロースト、ブラジル、マンデリン、グアテマラ、この中から選べ、エチオピアのミディアムダークローストを選んだ、ああ、これこそがモカだ、繊細かつ華やかな香り、それは紅茶にも少し似ている、そして圧倒的にフルーティな味、なのに何のフルーツの味とは言いがたい、コーヒーという、フルーツの味だ、このエチオピアの味わいを生かしつつ、しっかりと火の入った焙煎が生み出す飲み応えもすばらしい、そう、すばらしいではないか、でもなぜだろう、まだ何かを求めている自分がいる、これに満足しないとは、いったい、お前は、そんな自分に、自分でも驚いていた、

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