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雲仙

念願の雲仙、もっと早く来るはずだったのに寝坊した雲仙、それは今日まで来れなかったという意味でもあるし、今日寝坊したという意味でもある、が、こうやって書くとまるで寝坊したのが僕じゃなくて雲仙の方みたいになるから不思議だ、文学の魔法、無論そんなことはないのだが、まあ日曜日だし、仕方がないことではある、

ちょっと薄暗いくらいが、雰囲気があっていい、そんな店内はBGMも微量だ、客の話し声も、自然と落ち着いた、優しいトーンを帯びてくる、

ほうほう、

モーニングのエッグベーカーセットと、ホットケーキを注文、計1450円、しかしモーニングでなくコーヒーとホットケーキを頼んだ場合だと1200円なので、なんだか得した気分だ、モーニングタイムにはギリギリ間に合ってよかった、ところでエッグベーカーとは、?、…、ああ、なるほど、

アヒージョね(違う)、

アヒージョもいいけど、トーストが、ちょっと、衝撃を受けるほどにうまい、表面はこんがり、むしろ焦げてるようなのに、パンが柔らかく、ふわっとしている、表面の切れ込みからそこへ向かって沁み込んでいくバターは、しょっぱい、それがパンのどこかから、本当にどこか分からないが、こんこんと湧き出てくる甘さと折り重なり、絶妙の甘じょっぱさだ、いったいどんな魔法を使ったのか、トーストを食べて、こんなにうまいと思ったのは初めてだ、

このタイミングで、ホットケーキがくる、色々と限界を迎えそうでやばすぎる、とりあえず冷めてしまう前に、コーヒーを味わおう、コーヒー、濃い、そう思ったら引いて、なだらかな味になる、濃いと思ったら、その濃さはずっと口に残り続ける、そういうものだと思っていたので、またしても不思議な感覚を味わった、雲の上の仙人が、下界に遊びに降りてくる、そういうことなのか、なあ、雲仙?、ホットケーキはトラディショナルな2段重ねスタイル、むちっとしていて、食べごたえがある、食べごたえ、は、やばいな、噛むほどに味わいが増してくる、人生、コーヒーの時に感じた、頂上からはじまってゆっくりと道を下っていくような印象は、ここでも健在だったよ、

雲仙、

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