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「人を動かす」言語化スキルとは②

先の投稿内容を簡潔にまとめると、次のように整理できます。

【言語化スキルに注目する理由】
①近年、職場での関係者との人間関係をうまく築けないケースが多い(それに伴う離職も多い)
②ビジネスの基本的なタスク(ホウレンソウや調整する、上手に説明する、挨拶する、お礼を述べる、謝罪する等)が遂行できないことが一因になって①に至るケースが多い
③SNS環境の進化、不労所得の増加、非正規雇用や雇用の流動性などで言語化の経験機会が減少し、ブラッシュアップする場や機会が減少している
④ビジネスにおける言語化の目的を、「伝える」ことと解釈している人が多いが、それでは不十分で「関係する人に意図したように動いてもらうため」と考えるべきである
⑤人に動いてもらうためには、「共鳴」と同じように、「動くという必然性(意図と必要性)」と「情熱、熱意(エネルギー)」を分かち合う必要がある
以上に加えて、これからの社会はより専門性が求められる時代になり、これまでなかった価値を生み出す必要があります。それには、自分の専門性を言語化したり、他者の専門性を見出したり、統合したりする必要があります。そこで必要になるのが洗練された「言語化スキル」です。
 そこで、まず、取り上げる一つ目の言語化スキルは「聴くスキル」です。「聴く」というと言語化しないイメージですが、「互いに同調する」ことを目的とした行動です。よって、耳を傾けることもあれば、ことばを投げかけることもあります。
 よく「傾聴」が大切と言われますが、「オウム返し」のように聴くことはビジネス場面では不信感を抱かせることもありますから要注意です。
 「上手に聴く」ために、傾聴の要素から取り入れるのが次の3点です。
 ①聴き手の判断は保留して受け止める(受容する)
 ②良いところ、素晴らしいところ、がんばったところ、がんばろうとして  
 いることに焦点化する(取り組み姿勢に寄り添う)
 ③自らの解釈にズレがないかを確認する
 以上の3点を行うことで、聴き手は話し手に同調しながら同じように考え、感じ、結果として共感的な理解に至ります。
 聴き手が話し手に対して以上のような共感的な理解に至ると、話し手にとっては、これまで整理できていなかったことも整理できたり、理解が一層深まったりします。さらに、理解してもらえている、支えてもらっているなどのように力を与えられている感じにもなります。
 よく言われる「寄り添う」とは、このような共感的な理解により得られる心理的安心や勇気をもたらすことなのだと考えます。
 以上述べたような受容的な傾聴により信頼関係が構築されると、話し手が言いにくかったことや気づいていなかったことを言語化する可能性が生まれます。また、話し手がもっと次も話したいという気持ちに至ったり、逆に次は聴き手になって知ってみたいと思うようになります(仲間意識の涵養)。
 今回は、聴き手と話し手が同調する(同期状態になる)ことを目的としたポイント3点を述べました。ただし、「聴く」には、過去・現在を踏まえて、より未来を発展的に導く「進歩的傾聴」とでも言うべき役割もあります。次回は「進歩的傾聴」について述べさせていただきます。


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