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原作が愛おしすぎる人の話

昨年の11月にゲゲゲの謎をみた。
鬼太郎についてはふんわりとした知識しかない中でもとても楽しめる作品で、そのままの勢いでアニメ6期をみてイベントに申し込みをし、二次創作も書いた。
大手ジャンル(流行りジャンル)なだけあって毎日のように新しい解釈、イラスト、考えもしなかったCPが流れてきてすごく楽しかった。

そんなある日、長らく原作を愛好しているという人たちの言葉を見て打ちのめされた。
曰く、既婚者である父と水木のカップリングが許せない。
ゲタ吉(映画には出てこないし何なら直接的な関連はない)とのカップリングなんてありえない。
二次創作(CP表現を含まないものも含めて)が不愉快、検索除けをしてほしい。作品に群がる腐女子が気持ち悪い。
かなりマイルドにしたがそんなことが書かれていた。

確かに、公開からしばらくしてから口コミを経て急速に拡大したジャンルである。それまで鬼太郎なんてキャラしか知らなかった人たちがたくさん入ってきて、勢いのままに検索除けもせず投稿されたCPイラストや解釈は原作を愛している人からすれば目に余るものだっただろう。
中にはセンシティブ設定や外部サイトへのリンクをすべき表現も含まれていた。
そこに対して苦言を呈する人がいるのは仕方がないと思った。
思ったが、しばらくしても延々と批判が流れてくる。徐々に検索でも目に余る投稿が減る中でずっと同じことにたいして文句を言い続ける人がいる。
そして映画から入ってきた人をイナゴ、とまで言う。

そもそも流行りに乗ることの何がいけないのか。
もちろんキャラクターの外側だけ借りて中身は別人、は論外である。
でもキャラクターの解釈は受け手それぞれ異なるので原作から愛好している人と映画から入った人で異なることは仕方がないのではないか。
そしてどちらが絶対的な正解とかもないと思う。
という話をすると二次創作する人間には原作を心から愛している人間の気持ちはわからないと言われるかもしれない。
そんなことない。

私はSPY×FAMILYの原作厨である。それも、原作者以外が描いたキャラクター(イラストや漫画など)すべてを受け付けないという重度の原作厨だ。
自覚をしたのはアニメ化が決まった時だ。
すごく楽しみだと思っていたはずなのに、アニメのイラストを見た瞬間に心が衝撃を受けた。受け付けられない。
デザインが悪いとかそんなことではない。自分でも信じられないほどに原作以外のものが無理なのである。
もちろん、アニメも舞台も原作者がOKを出しているし、素晴らしいものなんだと思う。そこからファンが増えることはいいことだし、二次創作だって大いに流行ればいい。
でも、私はそれを摂取することができない。苦しくて悔しくて悲しくなった。
アニメも舞台も何も悪くない。むしろ素晴らしい作品を作ってくださったからこそここまで人気が盛り上がり、たくさんのファンが増えたんだと思う。
でも私は受け入れられないのだ。
そう思うこと自体は別に悪いことではないはずだ。

ただ、だからと言ってアニメや舞台や二次創作やコスプレを目の敵にして攻撃しようと思わない。
私がそっと避けるだけである。
といってもあまりにも人気流行りジャンルすぎてSNSを遮断したところでコンビニでのタイアップ、ゲームセンターの景品、アニメショップでのグッズ展開、果ては駅に貼られたコラボ広告、回避不可能である。
ほぼ毎日どこかで目にする。そのたびに心がしわしわになりながらそれでも嫌いだ!と叫ぶことはない。
だって、それが好きで、うれしい人がいるんだ。
他人の楽しみ(犯罪ではない)に水を差したくない。

ゲゲゲで急に増えたオタクに戸惑っている人へ。
もう少し待ってほしい。まだ公開から3ヶ月ちょっとだ。これから落ち着いていくところである。
心苦しい気持ちも理解できるし、節度のない投稿には苦言を呈することも仕方ないと思うが、何もかも、映画から初めて入ってきた新しいファンすべてをイナゴ、などと称するのは控えてもらえるといいな、と思った。

もしかしたらそこから10年以上狂い続けるオタクが生まれてくるかもしれないので。

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