読書メモ 『問いのデザイン』
この本を一言で
「問い」により、人が当たり前だと思っていることを揺さぶり前提を崩し、新しいアイデアを促す。
サマリー
「認識」と「関係性」は固定化しがち
認識の固定化
人の物の見方・固定観念によって物事の深い理解や発想が阻害されている状態。人は生活の中で認識を変化させたり固定化させたりしてコミュニティに馴染んでいくもの。獲得した認識は慣れていく中で次第に意識されなくなっていく。そうするとなぜこうなっているのか?を考えなくなっていく。
関係性の固定化
違って当たり前な人それぞれの考え方。それを理解せず、相互の認識や前提にズレがあるまま固定化されている状態。
「問い」とは
自分も相手も答えを知らない。創造的対話を促すためのもの。
問いの設定により導かれる答えは変わる。問われると思考や感情が刺激され、集団のコミュニケーションが誘発される。それぞれの考えは違うことに気づき個人の認識は内省される。集団の関係性は再構築され、新たな意味やアイデアを創発する創造的対話が生まれる。
課題のデザイン->プロセスのデザイン
問題の本質を捉え解くべき課題を定めるのが課題のデザイン。問いを投げかけ創造的対話を促すのがプロセスのデザイン。
問題と課題の違い
問題
目標に対し到達の方法や道筋がわからない、試してもうまくいかない状況のこと。
課題
関係者の間で解決すべきだと前向きに合意された問題のこと。
課題設定で気をつけること
関係者全員にとって建設的な課題となっているか
手段が目的化していないか
ネガティブ・他責な問いをしない
より解決に向かっていける動機付けとなるようにする
社会通念的に良いとされてることを問いにしない
逆に優等生的でない問いをすると規範的な思考に揺さぶりをかけることができる
壮大すぎないか
問題が大きくなると自分ごとに捉えられず現実的な解決を考えにくい。目先に囚われて視野が狭くなるくらいなら壮大な問いをすることで思考を揺さぶることもできるので一概に悪いとは言えないが。
問題の本質を捉えるときの考え方
素直にわからないことを掘り下げる
問題に対しあえて批判的な立場から考える
関連しそうな知識や異なる分野だとどうか考えてみる
問題を構成する要素を洗い出し関係を整理してみる
自分が問題だと思っていることはそもそも何か考える
良い課題とは
効果性
課題に取り組むことで問題にどんな効果があるか
社会的意義
課題を解決した世界はどれくらい良い世界か
内発的動機
取り組むメンバーが心から解決したいと思える課題になっているか
課題解決のため対話におけるファシリテーション
4つの問いかけ
シンプルクエスチョン
わからないこと、気になることを素直に質問する
ティーチングクエスチョン
参加者の思考や対話のプロセスにおいて検討されていない視点があった場合に意図的に介入する(気づかせる)
コーチングクエスチョン
参加者の意見・価値観を引き出す
フィロソフィカルクエスチョン
参加者が繰り返し同じ言葉を使っているようなとき、そもそもそれはどういうことか、と問いかける
考えたこと
特に課題設定の部分は参考になる部分もあったなあという印象。普段の仕事にしろ同人活動にしろ、定期的に振り返りをしている。問題を深掘りする時に本書で提示された問いを活用すると本当に解決すべき問題の本質を捉えやすくなるかもしれない。
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