見出し画像

読書メモ 『ジョブ理論』

この本を一言で

ユーザーはジョブを片付けるために何かを雇用する、という視点で考えてみるとあるべき方向に進むことができるよ、というビジネス本。

サマリー

ジョブとは

ユーザーはプロダクト(製品)が欲しいのではない。
特定状況下におけるプログレス(進歩)を欲している。
進歩をするために片付けるべきジョブがある。

特定の状況とは

今いる場所、時間・時代、一緒にいる人、何をしている時か、30分前に何をしていたか、周囲のプレッシャー、次に何をするつもりか、家族構成、ライフステージ、財政状態・・・などなど細かい点まで考慮する。
よくある企業の考えるポイントはプロダクトの属性、顧客特性、トレンド、競争反応などであるがこういった情報だけではジョブを考えるには不充分であるという。

ジョブ理論の視点で見たイノベーションとは

ユーザーの成し遂げたい進歩を可能にすること。即ち、それまで物足りない解決策しかなかった、あるいは解決策が存在しなかったジョブを片付けること。

ジョブを中心としたイノベーションの考え方

ジョブの特定

どのジョブにも機能・感情・社会的側面があり、それぞれの重要性はコンテキストに依存する。なぜそのジョブを解決したいのか?を考える。

求められる体験の構築

購入時と使用時のすぐれた体験が、ユーザーがどのプロダクトを選ぶかの基準となる。ユーザーが買う時、使うときにぶつかる障壁を取り除くような体験をデザインする。結果、それはサービスになる。

ジョブ中心の統合

ジョブと統合されたプロセス=仕事の仕方、信念の浸透のようなもの。Amazonが早い・安い・品揃えが多い、を忠実に実行しているのはそれを求めるユーザーのジョブを解決する業務プロセスが徹底されているから。

ジョブの機能・感情・社会的側面の例

会社員が喫煙所に行く時にその人はどんなジョブを片付けるか?

  • 機能

    • 体がニコチンを欲した

  • 社会

    • 仕事に区切りを入れて仲間とくつろぐ

  • 感情

    • 気持ちを落ち着かせリラックスする

仕事の合間にフェイスブックで、仕事とは別のことを考えながら数分リラックスし、他の人とコミュニケーションすることと多くの部分で共通しているから、フェイスブックはタバコと同じジョブをめぐって競い合っていると言える。

ネットフリックスはリラックスすることならなんでも競争相手だと言う。ゲームやワインを飲むこと、他の動画配信サービスもだし、ボードゲームも。

"特定の状況"を強調する理由

特定の状況においてどんな進歩を成し遂げたいのか?が大事。ユーザーそれぞれの状況を深く分析し、コンテキストに応じたユーザー体験を考えると解決すべきジョブが見つかる。
機能モリモリよりも汎用的な解決策より特定の状況を解決してくれるものが選ばれる。万能なものは結果何も解決せず選ばれない。

ジョブの定義は困難

ジョブの定義は多層的で複雑な作業

ユーザーのジョブを完全に満たすには・・・プロダクトを作るだけではなく、ジョブの様々な面に対する体験を創造し、体験を一貫して構築できる様、企業のプロセスに統合する必要がある。
作る側は機能面ばかりに目を向けがち。機能は大事だがそれ以外が選択に大きく影響することも多い。子供を預けることを考えた時・・・機能は大事だが、誰になら安心して預けられるか、という感情面・社会面が重視される。だからユーザーの状況を考えぬかなかればならない。

ジョブを考えるときのコツ

ジョブは動詞と名詞で定義される
「便利な〇〇」とか、形容詞や副詞で表現されるものは有効なジョブではない。「出勤中に目を覚ましたくてこの後会議もあるし小腹を満たせるものを食べたい」は有効なジョブ。

ジョブとニーズは別物
ニーズはぼんやりとしているが、ジョブは複雑な状況も考慮する。特定の状況で作用するニーズが集合したものがジョブ。

同種の別プロダクトだけが解決するジョブはニーズや嗜好とは言えてもジョブではない
ジョブには適切なレベルの抽象度が必要。「出勤中に目を覚ましたくてこの後会議もあるし小腹を満たせるものを食べたい」時に雇用する可能性があるのは?バナナ、コーヒー、ベーグルなど全て異なる製品カテゴリに属している。
「うまいラーメンが食べたい」はジョブではなくニーズや嗜好である。

考えたこと

同人誌を考えると、マーケットインというよりもプロダクトアウトなものだから、ユーザーを自分自身に置き換えて考えてみると面白い本のアイデアが出てくるかも?と思った。
そういえばイノウエ模型で最初に作ったのはガンダムの絵本だった。これは自分がそういう本が欲しいけどなかったから作ろう、という発想から生まれた。自分が片付けたかったジョブは、子育てしながら自分の趣味も楽しみたい、子どもと一緒に楽しめる絵本が欲しい、というものだった。そう考えるといい進め方だったのかもしれない。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?