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解剖図

言葉の解剖手術をしませう

落書きだらけの穴だらけ
酷く古びたトタンのその
数センチ下に捨て置かれた
脳はちいちゃく縮こまって
トタンの穴から落ちてくる
赤錆含んだ雨粒で
震えながらの雨ざらし

秘めやかであった言論統治が
今や表皮に顔を出し
伝染性の熱病患者の
皮膚に浮かんだ紅斑と
同じ色して赤白斑

言葉の解体作業をしませう

ようやく咲いた芥子の花
大きく空いた木のうろに
その身を隠して芥子坊主
密かに泣いては夢の種
夜ごと垂らして世に撒いて
死の気配がする性を消す
夜の眠りは常世の生 
堂々巡りと空回り

言葉の縫合術をしませう
切り開かれた言葉達を
時代とやらで縫い合わせて
立ち消えたはずの心音を
再度聞いてはまた止める

さようならだけ言葉が残る

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