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白は愛される象徴だと思っていた
この夏、一度しか服を買わなかった。
シーズンごとに何着も何着もいつも買っているわたしが、ほとんど買うことがなかったのはきっとこのご時世で出かけることが少なくなってしまったこともきっとひとつの理由になってしまっているんだろう。
数年ぶりに真っ白なウェディングドレスのような、すてきなロングスカートを買った。夏を向日葵をイメージして、こんなわたしでも白が似合うといいなあっと祈りながら。
どちらかというと昔から黒い服がすきだった。スカートもインナーもパーカーもカーディガンもコートも以前は真っ黒い洋服ばかりで、わたしのクローゼットはまっくろくろすけが住んでいるのかもしれないとさえ思うほどだった。それくらい真っ黒な洋服がだいすきだった。
それがここ数年、気づいたらピンクや白といったゆるふわな女の子が好むようなカラーがすきになっていた。いつものようにきっかけがなんだったのかは思い出すことができないけれど、LODISPOTTOのピンクのコートを買ってから増えたように思う。
バンドがすきだったからといって黒ばかりを着ていたけれど、どこかで強く見られたかったのかもしれない。100%自分のことだめだとは思っていないけれど、ふとしたときに「わたしはだめだから強くありたい」といつも願っていた。
だからアニメやドラマでよくある、可愛くてか弱い愛される象徴のピンクや白い洋服はなかなか着ることができなかった。こわくて。それに、わたし、愛されるような人間でもないと思っていた。たぶん。
年齢を重ねてたくさんの間違いに気づいて大切にするべきことにも気づいてわかったことは、きっと愛されることはあまり大切ではない。それほど重要なことではないのかもしれないってこと。
愛されなくたって生きていける。
でも必要とされなくなってしまったら、孤独を感じて生きていくことも苦痛に感じてしまうのかもしれない。どんなことが必要とされているのかというのはそれぞれかもしれない。けれど、いまのわたしは仕事がいちばん。仕事をもらえなかったりしてしまうと「ああ、わたしいらないんだ…」「世界中で、いまこのとき、わたしは必要ない」って思ってしまう。
例えば人間関係が上手くいっていなくても、恋愛が上手くいってなくても、家庭環境が悪くたって、基本的には仕事が上手くいってればすべて上手く進んでいるように思う。
でもね、愛されることがなくても、わたしが愛したり大切に想うことでいいんだって。人はきっと見返りを求めすぎているんだろう。だから愛されることがないと、さみしさを感じてしまうのかもしれない。でもきっと誰かを大切に大切にすることで、いつかはわたしも大切にしてもらえるのかもしれない。愛されないから愛さないって方程式は、わたしの中にはないけれど。
愛されないから誰かを愛さないことも大切にしないということもないし、愛されていないから白い洋服を着ることがだめなんてこともない。どんな色にも染まることができるから、きっと求める自分にもなれる魔法のカラーだったりもするのかもしれない。
なんかふとそんなことを感じた。
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